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相続の戸籍はどこまで必要?集め方と広域交付でできること・できないこと
「父の戸籍を取ったのに、銀行から足りないと言われた」「出生から死亡までと言われても、何通必要なのか分からない」。相続手続きを始めると、最初の書類集めで戸惑うことがあります。 相続で必要な戸籍は、亡くなった方の最後の戸籍だけで済むとは限りません。一方、家族全員の戸籍を手当たり次第に集めればよいわけでもありません。手続きの目的と相続関係に合わせて、必要な範囲を確認することが大切です。 この記事では、親が亡くなり、預貯金の解約や不動産の名義変更を進めたい方に向けて、戸籍の集め方と、途中で迷ったときの確認点を解説します。 まず「何の手続きに使う戸籍か」を確認しましょう 戸籍は、出生、婚姻、親子関係、死亡などを公的に証明する書類です。相続では、亡くなった方にどのような親族がいて、誰が相続人になるかを確認するために使います。 遺言書がなく、相続人で遺産の分け方を決めて預金を解約したり、相続登記をしたりする場合は、一般に、亡くなった方の出生から死亡までの連続した戸籍と、相続人の現在の戸籍などを準備します。ただし、遺言書に基づく手続きなどでは、必要な範囲が異なります。相続登記では、相続人の戸籍は亡くなった方の死亡日以後に証明されたものが必要となるため、以前取得した戸籍を使う場合も、証明日と記載内容を確認しましょう。 まずは、遺言書の有無と、銀行・証券会社・法務局などの提出先を整理してください。既に手続きの案内があれば、それを基に「誰の、いつからいつまでの戸籍が必要か」を確認します。銀行ごとの書類や、登記に用いる書類が、すべて同じとは限りません。 戸籍と、住所を証明する住民票や戸籍の附票は別の書類です。戸籍一式を集めても、亡くなった方の最後の住所などを証明する資料が別途必要になる場合があります。書類名が似ていても、何を証明するために求められているかを分けて考えましょう。 「出生から死亡まで」は、戸籍のつながりを確認することです 現在の戸籍に、過去の情報がすべて載るとは限りません 戸籍は、婚姻や転籍、制度の変更などによって作り替えられることがあります。そのため、最後の戸籍に死亡の記載があっても、それ以前の親子関係などを十分に確認できないことがあります。 必要に応じて集めるのが、現在の戸籍に加え、「除籍」や「改製原戸籍」です。除籍謄本は、転籍や死亡などにより、その戸籍に記載されていた人が全員いなくなった戸籍の写しです。改製原戸籍は、法改正やコンピュータ化などによって作り替えられる前の戸籍をいいます。 窓口で「古い戸籍もください」と伝えるだけでなく、「相続手続きに使う、亡くなった父の出生から死亡までの連続した戸籍が必要です」と目的と範囲を伝えると、請求内容を整理しやすくなります。取得済みの戸籍があれば持参し、重複が不要であることも伝えましょう。 必要な通数は、家族によって異なります 例えば、父の本籍が婚姻や転籍により複数の市区町村へ移っていた場合、最後の戸籍から以前の戸籍へとさかのぼり、出生までつながるかを確認します。「3通あれば十分」など、通数だけでは判断できません。 また、相続人になるはずの子が先に亡くなっている場合は、その子の出生から死亡までの戸籍などを調べ、孫などが代わって相続する代襲相続の有無を確認します。兄弟姉妹が相続人になる場合には、亡くなった方の父母の出生から死亡までの戸籍なども必要になるのが一般的です。家族が知っている関係をメモすることは役立ちますが、そのメモだけで相続人の確認を終えることはできません。 戸籍を集める作業と、記載内容を読み、必要な人や期間に漏れがないかを判断する作業は別です。古い文字が読めない、前の戸籍へのつながりが分からない場合は、何度も取り直す前に、手元の資料を確認してもらう方法があります。 広域交付を使えば、近くの窓口で取れる戸籍があります 本籍地が遠方にあっても、広域交付の対象となる戸籍は、最寄りの市区町村の窓口で請求できます。芦屋市に住む子が亡くなった親の戸籍を集める場合も、利用を検討できます。 ただし、請求できるのは、本人、配偶者、父母・祖父母などの直系尊属、子・孫などの直系卑属に関する戸籍です。兄弟姉妹の戸籍は、その関係だけを理由に広域交付で請求できるわけではありません。父の戸籍を集めることと、別の戸籍にいる兄弟の現在の戸籍を集めることは、区別する必要があります。配偶者の父母なども、その関係だけを理由に広域交付で請求することはできません。 また、広域交付では、請求できる方が直接窓口へ行き、有効な運転免許証やマイナンバーカードなど、官公署発行の顔写真付き本人確認書類を提示する必要があります。委任状を持つ家族や専門家が代わりに請求することや、郵送で請求することはできません。 戸籍の附票や戸籍抄本などの個人事項証明書、一部のコンピュータ化されていない戸籍などは対象外です。広域交付でそろわない分は、本籍地への窓口・郵送請求など、別の方法を確認します。司法書士に戸籍収集を依頼する場合も、広域交付を代行するという意味ではなく、依頼内容に応じた適法な方法で収集します。 芦屋市は、古い戸籍や相続関係の確認に必要な戸籍について、後日交付や、内容によっては交付までに2週間程度かかる可能性を案内しています。「近くで取れるから当日中に全部そろう」とは考えず、窓口と受付時間、交付の見通しを事前に確認しましょう。後日交付の場合も、原則として請求者本人が再度来庁して受け取る必要があるため、その日程も見込んでおくと安心です。 提出先が複数あるなら、法定相続情報証明制度も検討します 銀行が複数あり、不動産の相続登記も必要な場合は、同じ戸籍の束を何度も提出する負担が生じます。その負担を減らす方法の一つが、法定相続情報証明制度です。 必要な戸籍などを集め、相続関係を記載した「法定相続情報一覧図」を作成して法務局に申し出ます。登記官の確認を受けると、認証文の付いた一覧図の写しが無料で交付され、相続登記や預金の払戻しなどに利用できます。必要な通数を用意すれば、複数の手続きを並行して進めやすくなります。 ただし、この制度を使うためにも、最初に戸籍などの資料をそろえる必要があります。戸籍収集そのものを省ける制度ではありません。また、交付手数料が無料でも、戸籍の取得費用や、専門家に依頼する費用は別です。提出先が戸籍の原本を返却するか、証明書の発行時期に指定があるかも、先に確認しておきましょう。 一覧図は、戸籍に基づく法定相続関係を示すもので、遺産の分け方を決めるものではありません。遺産分割協議書や印鑑証明書など、手続きに応じた別の書類は必要になります。相続放棄の有無も反映されないため、該当者がいるときは提出先へ伝えてください。 当事務所では、戸籍収集と法定相続情報の代理取得を取り扱っています。銀行と不動産の手続きを予定している方は、提出先をまとめてお伝えいただくと、どの書類を共通して使えるか、一覧図を利用するかを相談しやすくなります。 戸籍が集まった後に、手続きが止まることもあります 例えば、亡くなった父の戸籍を集める途中で、家族が把握していなかった子の存在が分かったとします。これは説明のための架空の例ですが、この場合、当初考えていた家族だけで遺産分割を進めてよいか、確認が必要になります。 また、父が亡くなった後、手続きを終えないうちに相続人だった母も亡くなっていれば、母の相続関係も調べる必要が生じます。父の戸籍が出生から死亡までそろったことだけで、必要な調査が終わるとは限りません。 相続人に連絡が取れない、家族の関係に認識の違いがあるときは、署名や押印を集め始める前に、誰が手続きに関わるのかを整理しましょう。戸籍から関係が確認できることと、遺産の分け方について合意できることは別の問題です。 書類集めが長引いていても、相続に関する期限が自動的に延びるわけではありません。借金が疑われて相続放棄を考えている、不動産の登記期限が気になるといった事情があれば、戸籍がそろうのを待たずに相談してください。 集めた戸籍を持ち寄り、残っている作業を整理しましょう 必要な範囲が分かり、広域交付や郵送請求を利用できる場合は、ご自身で戸籍を集めることもできます。一方、古い戸籍を読み取れない、どこまでさかのぼるか分からない、仕事や介護で時間を取れない場合は、司法書士への依頼を検討できます。 相談時には、取得済みの戸籍、提出先の案内、遺言書の有無、家族関係のメモ、亡くなった日が分かる資料などを、手元にある範囲で用意しましょう。集めた書類を最初から取り直す必要があるとは限りません。どこまで確認できていて、何が不足しているかを整理することが出発点です。 当事務所では、相続登記に加え、預貯金口座の解約や有価証券の名義変更に関する支援も行っています。戸籍の収集だけを相談したいのか、その後の手続きまで任せたいのかをお伝えください。依頼範囲と費用は、見積りで確認してから検討できます。 ご自宅などへの訪問相談にも対応しているため、来所が難しい方も相談方法をお問い合わせいただけます。芦屋市や周辺にお住まいで、相続の書類集めに迷っている方は、「不足と言われた書類が分からない」という段階からご相談ください。必要な戸籍とその先の手続きを整理し、ご自身で進める部分と任せる部分を考えていきましょう。
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亡くなった親の預金を解約したい|相続手続きの必要書類と進め方
親が亡くなり、通帳を整理していると、「銀行に何を持っていけばよいのだろう」「きょうだいが遠方に住んでいても解約できるのだろう」と迷うことがあります。銀行が複数あれば、それぞれへの連絡や書類の準備も負担になります。 亡くなった方の預金は、通帳やキャッシュカードを持っているだけで自由に解約できるわけではありません。遺言書の有無、相続人、預金を受け取る人などを確認し、金融機関に応じた相続手続きを進めます。 この記事では、親の預金を解約したい方に向けて、最初に確認すること、必要書類、手続きが止まりやすい場面、司法書士に相談するメリットを解説します。 銀行へ連絡する前に、口座と支払いを整理しましょう まず、通帳、銀行からの郵便物、取引明細などを手掛かりに、取引先の金融機関と支店を整理します。普通預金だけでなく、定期預金、投資信託、証券口座なども確認してください。預金と有価証券では、必要な手続きが異なることがあります。 通帳が見つからない場合も、金融機関へ相談できます。財産の把握に必要であれば、相続開始日現在の残高証明書や取引履歴の取得方法も確認しましょう。 金融機関が名義人の死亡を知ると、原則として預金の入出金などの取引が制限されます。いわゆる口座の凍結です。死亡届を役所に出しただけで、すべての銀行の口座が一斉に凍結されるわけではありません。 ただし、まだ使えるからといって、キャッシュカードで預金を引き出し、家族の判断だけで分けることは避けましょう。後から使い道や金額を説明できず、相続人間の争いにつながることがあります。借金が疑われ、相続放棄を検討している場合は、預金の処分が判断に影響する可能性もあるため、使う前に相談することが大切です。 親の口座から公共料金などが引き落とされていた場合は、契約先に連絡し、契約の終了や支払方法の変更も確認します。銀行の解約と、電気・ガスなどの契約の手続きは分けて考えましょう。 必要書類は、遺言書と遺産分割の状況で変わります 遺言書がある場合 最初に、遺言書が残されていないかを確認します。遺言書がある場合は、その内容や遺言執行者の有無によって、手続きをする人と必要書類が変わります。遺言執行者とは、遺言の内容を実現するために手続きを進める人です。 遺言書がないからといって、家族全員の署名が必ず必要になるわけではありません。一方、遺言書を持参すれば、それだけで直ちに解約できるとも限りません。自宅などで保管されていた自筆証書遺言は、原則として家庭裁判所の検認が必要です。封印がある場合は、自分で開封せずに相談してください。公正証書遺言や、法務局の保管制度を利用した自筆証書遺言は、検認が不要です。遺言書の種類や内容を金融機関に伝え、自分のケースで必要な書類を確認しましょう。 遺言書がなく、相続人で話し合う場合 一般的には、亡くなった方の出生から死亡までの連続した戸籍、相続人の戸籍、印鑑証明書、金融機関所定の相続手続書類などを準備します。遺産分割協議書に基づいて払い戻しを受ける場合は、その協議書も必要です。通帳や証書などについても提出の要否を確認します。窓口で手続きをする方の本人確認書類や、払戻金の受取口座の情報なども、金融機関の案内に沿って用意します。 必要な戸籍は、最後の戸籍だけで足りるとは限りません。相続人を漏れなく確定するため、転籍や婚姻前の戸籍までさかのぼる必要があるためです。家族が把握している関係と、法律上の相続関係が一致するかを確認します。兄弟姉妹やおい・めいが相続人になる場合などは、亡くなった方の戸籍に加え、父母などの戸籍が必要になることもあります。 また、預金の解約に遺産分割協議書が必ず必要とは限らず、相続人全員が金融機関所定の書類に署名・押印する方法で対応できる場合もあります。印鑑証明書の発行時期を含め、必要書類は金融機関や手続きの内容によって異なります。一律の一覧だけで集め始めず、提出先の案内を確認してください。 複数の金融機関がある場合 戸籍一式を複数の提出先で使う場合は、法定相続情報証明制度の利用を検討できます。戸籍などを基に作成した相続関係の一覧図について、法務局から認証文付きの写しの交付を受ける制度です。 この写しは、預金の払い戻しや相続登記などに利用できます。ただし、誰がどの財産を受け取るかを証明する書類ではありません。遺産分割協議書や金融機関所定の書類まで不要になるわけではない点に注意しましょう。 また、相続放棄の有無は一覧図に反映されないため、相続放棄をした方がいる場合は、そのことを証明する別の書類が必要になることがあります。 「家族で決めたのに解約できない」ときの確認点 例えば、父が亡くなり、相続人が母と子ども2人で、「預金は母が受け取る」と話し合ったケースを考えます。子どもが遠方に住んでいる場合、窓口に行く人だけが書類を書けば済むとは限りません。採用する手続きに応じて、必要な人の署名・押印や印鑑証明書などを準備します。 この場合は、先に金融機関の必要書類を確認し、誰に何を依頼するかを整理してから郵送などで集めると、やり直しを減らせます。相続人が遠方にいることと、相続人間で合意ができていないことは、別の問題として整理しましょう。 連絡が取れない相続人がいる、相続人に未成年者がいる、判断能力に不安のある方がいる場合などは、通常の署名・押印だけで進められないことがあります。「家族だから代筆しておけばよい」と判断せず、必要な対応を確認してください。 親と未成年の子がともに相続人で、遺産分割協議で利益が相反する場合には、子のために家庭裁判所で特別代理人を選ぶ手続きが必要になることがあります。 また、自宅は母、預金は子どもが受け取るなど、財産全体を見て分け方を決める場合もあります。預金だけの手続きを先に終える前に、不動産や借金を含めて何が残されているかを把握すると、後から話し合いをやり直す負担を減らせます。 当事務所では、不動産の相続登記に加え、戸籍の取得、預金口座の解約、有価証券の名義変更などの支援も行っています。銀行と不動産の手続きを別々に考えて迷っている方は、相続全体の中で必要な準備を整理するところからご相談いただけます。 葬儀費用などで、早く預金が必要な場合はどうする? 遺産分割の話し合いが終わる前でも、一定の範囲で各相続人が単独で預金の払い戻しを受けられる制度があります。家庭裁判所の判断を経ずに利用する制度では、口座ごと(定期預金は明細ごと)に「相続開始時の預金額×3分の1×払い戻しを受ける人の法定相続分」で計算します。ただし、相続人1人につき、同じ金融機関からの払い戻しは全支店を合わせて150万円が上限です。 例えば、相続人が子ども2人だけで、父の普通預金が1口座600万円だったとします。子ども1人がこの制度で単独で払い戻しを受けられる額は、600万円×3分の1×2分の1で100万円です。「誰でも150万円まで受け取れる」という仕組みではありません。 利用には戸籍などの書類が必要で、手元にカードがあればすぐ引き出せる制度ではありません。この制度で払い戻しを受けた預金は、その相続人が遺産の一部として取得したものと扱われるため、後の遺産分割でも考慮する必要があります。払戻額と支払先・使い道を記録し、領収書なども残しておきましょう。急ぎの支払いがある場合は、必要な金額と時期を金融機関に伝え、利用条件と必要書類を確認しましょう。 相続放棄を検討している方は、制度があることだけを理由に払い戻しを進めないでください。相続放棄は、原則として自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に家庭裁判所へ申述する必要があります。借金の有無が分からない場合も、預金を使う前に早めに相談しましょう。期間内に調査しても判断できない場合は、期限が来る前に家庭裁判所へ熟慮期間の伸長を申し立てる方法もあります。 自分で進めるか、司法書士に任せるかを考えましょう 相続人が明確で、分け方にも合意があり、必要書類をそろえられる場合は、ご自身で金融機関の案内に沿って進める方法があります。窓口へ行く前に予約の要否や提出方法を確認しておくと、負担を減らせます。 一方、銀行が複数ある、戸籍が読み解けない、仕事や介護で書類を集める時間が取れない、不動産の名義変更も残っている場合は、司法書士への依頼を検討できます。依頼する際は、戸籍収集、協議書作成、金融機関への手続き、払い戻し後の分配のうち、どこまでが対象かを確認しましょう。 費用も、銀行手続きと相続登記がすべて一律の料金に含まれるとは限りません。金融機関や支店の数、財産の種類、必要な書類によって変わるため、依頼範囲と実費を含めた見積りを確認することが大切です。 相続人間で分け方が争いになっている場合は、弁護士への相談が必要になることがあります。相続税の申告や税額の判断は税理士の分野です。当事務所では、必要に応じて弁護士や税理士をご紹介することも可能です。預金の解約だけで解決できる問題か、ほかの専門家の確認が必要かも整理します。 書類をそろえる前でも、相談を始められます 相談の際は、分かる範囲で、亡くなった日、ご家族の関係、金融機関名、遺言書の有無、不動産や借金の有無をまとめておきましょう。通帳、銀行から届いた案内、すでに取得した戸籍などがあれば、手元にあるものを用意してください。相談前に、すべての書類を集め終える必要はありません。 当事務所では、何から始めればよいか分からない段階から、必要な手続きを一緒に整理します。ご自宅などに伺っての相談にも対応しており、来所が難しい方も相談方法についてお問い合わせいただけます。 芦屋市で親の預金の解約に迷っている方は、「銀行で何を求められたか」「どの作業で止まっているか」をお聞かせください。誰が預金を受け取るのかを確認し、ご自身で進める部分と任せたい部分を整理して、状況に合った方法で相続手続きを進めましょう。
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パートの有給休暇は何日?中小企業が確認したい付与日数と管理の注意点
「週3日のパートにも有給休暇が必要なのか」「勤務日数を減らしたら、残っている有給休暇も減らしてよいのか」。短時間で働く従業員がいる会社では、正社員と同じ管理方法でよいか迷うことがあります。 パートやアルバイトにも、一定の要件を満たせば年次有給休暇が発生します。日数を決める際は、雇用形態の名称ではなく、継続勤務期間と所定労働日数・時間を確認します。この記事では、会社が付与日数を判断し、勤務表や給与処理へ反映する際の注意点を解説します。 まず、入社日と出勤率を確認します 法律上、最初の年次有給休暇は、雇入れの日から6か月継続勤務し、その期間の全労働日の8割以上出勤した場合に発生します。その後も、原則として1年ごとに出勤率などの要件を確認して付与します。会社が法律より有利な制度を設けている場合は、その定めも確認してください。 「週に数日しか来ない」「時給に有給休暇分を含めている」という理由で、付与の対象から外すことはできません。また、本人から申請がなくても、要件を満たせば権利は発生します。希望を出された時点から日数を計算し始めるのではなく、会社が付与日を把握しておく必要があります。 出勤率を計算する際の全労働日は、暦の日数ではなく、原則として働くことになっていた日です。週3日勤務の人について、正社員の勤務日数を分母にして出勤率を下げないようにしましょう。 さらに、年次有給休暇を取った日や、法律に基づく産前産後休業、育児休業・介護休業、業務上のけがや病気による療養のための休業期間は、出勤したものとして取り扱います。会社都合の休業日など、全労働日から除く日もあるため、打刻がない日をすべて欠勤として計算しないことが大切です。 契約を更新しながら働いている場合も、更新のたびに勤続期間がゼロになるわけではありません。雇用の実態が継続しているかを確認します。契約書だけでなく、入社時からの勤務記録を残しておくと判断しやすくなります。 付与日数は、週の勤務日数と時間を組み合わせて判断します 週所定労働時間が30時間未満で、週所定労働日数が4日以下の人には、原則として所定労働日数に応じた「比例付与」が適用されます。所定労働日数・時間とは、契約上、通常働くことになっている日数・時間です。 例えば、入社から6か月が経過し、出勤率の要件を満たす場合、週4日勤務なら7日、週3日なら5日、週2日なら3日、週1日なら1日が法定の付与日数です。いずれも週所定労働時間が30時間未満であることを前提とします。 一方、週5日以上勤務する人や、週所定労働時間が30時間以上の人には、通常の労働者と同じ日数を付与します。例えば、1日4時間・週5日勤務であれば、週20時間でも、最初の付与日数は原則10日です。「短時間だから全員5日」といった扱いはできません。 勤続期間が長くなると、付与日数も変わります。週3日・週30時間未満の勤務を続けている場合、法定日数は入社6か月で5日、1年6か月で6日、2年6か月で6日、3年6か月で8日となります。初年度の日数を毎年そのまま使わず、付与の都度、該当する区分を照合してください。 週以外の期間で所定労働日数を決めている場合は、年間の所定労働日数を基に判断します。月ごとに勤務日数が異なり、今後1年間の日数が確定していない場合も、「決まっていないから付与できない」とは扱えません。契約内容と過去の実績から、どの基準で算定するかを確認する必要があります。 よくあるのが、週のシフトが固定しておらず、週によって出勤日数が異なる場合、付与しなくてもよいという判断をしてしまう場合がありますが、年間の所定労働日数をしっかり確認して付与が必要です。 勤務日数を変更しても、付与済みの日数は減らしません 付与日数は、原則として、有給休暇を付与する日である「基準日」の所定労働日数・時間と継続勤務期間によって判断します。その後に勤務日数が変わったからといって、既に付与した日数を減らすことはできません。 例えば、週5日勤務の従業員に10日を付与し、未取得のまま、その後に週3日勤務へ変更した場合を考えます。会社が「週3日の区分は5日なので、残りも5日にする」と処理するのは適切ではありません。付与済みの10日は、そのまま管理します。 次の基準日には、その時点の勤務条件と通算した勤続期間を基に、新たな付与日数を判断します。反対に、週3日から週5日に増えた場合も、法律上の追加付与が変更日に当然に発生するわけではなく、原則として次の基準日に反映します。会社独自の上乗せ制度があれば、その内容も確認します。 このとき、過去の取得分や時効による消滅も別に管理します。有給休暇は原則として発生から2年で時効により消滅するため、前年からの繰越分と新たな付与分を区別しておくことが必要です。 当事務所では、有給休暇の管理方法に関する相談と、就業規則の作成・変更を取り扱っています。勤務条件を変更する際は、契約書の修正に加えて、次の付与日と日数、残日数の管理方法も相談事項として整理すると、従業員への説明の行き違いを防ぎやすくなります。 「年5日の取得義務」があるかは、その年の付与日数で確認します 法定の年次有給休暇が年10日以上付与される人には、基準日から1年以内に5日取得させる義務があります。パートでも対象になるため、正社員だけを管理していては不足します。 例えば、週4日・週30時間未満で働く人は、勤続3年6か月で法定の付与日数が10日になります。出勤率などの要件を満たしてこの日数が付与される場合、年5日の取得義務の対象です。 一方、前年の繰越分と今年の付与分を合計した残日数が10日以上あっても、今年の法定付与日数が10日未満なら、その合計だけで取得義務の対象になるわけではありません。「残日数が10日以上」と「その年に10日以上付与」を区別しましょう。 本人の申請や計画的付与によって取得した日数は、5日から差し引けます。既に5日以上取得していれば、会社による時季指定は不要です。不足分について会社が取得日を指定する際は、本人の意見を聴き、その意見を尊重するよう努める必要があります。 なお、年5日の取得義務の対象外であっても、本人が有給休暇を取れないという意味ではありません。会社による取得確保の義務と、本人が持つ休暇の権利は別の問題です。 よくある相談の中で、会社が一斉休業として計画的付与をする際に、有給休暇がない人や足りない人の扱いをどのようにするかということがあります。方法としてはいくつかありますので、状況に応じて対応しましょう。 勤務表と給与計算にも、有給休暇を正しく反映します 有給休暇は、もともと働く義務がある日に取得するものです。例えば、月・水・金が勤務日の人が水曜日に取得した場合は、1日分として扱います。勤務のない火曜日を有給休暇にして残日数を減らすことはできません。 1日4時間勤務の人が、その勤務日を丸1日休む場合も、原則として1日分の有給休暇を使います。「正社員の半分の時間だから0.5日」とは数えません。半日単位や時間単位の取得制度を使う場合は、会社の制度と必要な労使協定などを別途確認します。 取得日の賃金には、平均賃金、所定労働時間働いた場合の通常の賃金など、法律上の計算方法があります。どの方法を採用しているかを就業規則等で確認し、その都度、会社に都合のよい方法を選ばないようにします。 例えば、通常の賃金を支払う方法を採用し、時給1,300円・その日の所定労働時間が4時間なら、基本となる額は5,200円です。手当がある場合や日によって勤務時間が違う場合は、その条件も確かめます。 従業員ごとに、基準日、付与日数、取得日、取得日数、残日数を記録し、勤務表と給与処理の内容を照合します。申請を受ける上司と給与担当者が異なる会社では、承認後の連絡方法も決めておくと、反映漏れを減らせます。 日数や残高に疑問があれば、記録をそろえて相談しましょう 勤務条件と付与日が明確で、公的な付与日数表に沿って管理できる場合は、社内で対応することも可能です。一方、これまでパートに付与していなかった、契約上の日数と実際の勤務が違う、勤務日数の変更時に残高を減らしたといった場合は、現在の残日数を確定する前に確認が必要です。 相談時には、入社日が分かる資料、雇用契約書・労働条件通知書、契約変更の履歴、就業規則、勤務表、勤怠記録、有給休暇の付与・取得記録を用意します。過去の記録が不十分な場合も、分かっている事実と不明な点を分けて伝えてください。後から帳簿だけを整え、実際には休んでいない日を取得済みにすることは避けましょう。 当事務所では、労務相談のみの契約にも対応し、給与・賞与計算の代行も取り扱っています。給与計算は社内で続けながら、付与日数や規程の運用について相談する方法もあります。 パートの有給休暇は、入社日、出勤率、基準日の勤務条件を順に確認することで、管理の土台を整えられます。豊島区で労務管理に悩む経営者の方も、従業員から質問された機会に、契約書と休暇の記録が合っているかを確かめてみましょう。 判断に迷う点ほど、事前の整理と相談が大切です。お互いの『共通の認識』を作っておくことが、ブレない安心の労務管理につながります。
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Gマーク申請は年1回・2週間だけ。準備で見落としがちな5つのポイント【お客様の声つき】
Gマーク、そろそろ取りたい。でも何から手をつければいいのか分からない。この記事は、そんな運送会社の経営者さん・運行管理者さんに向けて書きました。 Gマーク(安全性優良事業所)を申請できるのは、毎年7月の約2週間だけです。しかも点数の多くは、申請書を書く日ではなく、それまでの点呼や記録、巡回指導の結果で決まります。7月に入ってから慌てても、過去の記録は増やせません。 前半でGマークの条件と点数のしくみを整理し、後半で準備のときにつまずきやすい5つのポイントをまとめました。最後に、運送会社向け「Gマーク準備チェックリスト」の確認をお手伝いした日本電興株式会社様の感想も載せています。 Gマークとは?取ると何が変わるのか Gマークは、全日本トラック協会が「安全への取り組みがしっかりしている営業所」を認定する制度です。正式には「安全性優良事業所」といい、認定されるとトラックの車体や名刺、ホームページにGマークを表示できます。荷主さんから見ると「この会社は安全面で第三者のお墨付きがある」という目安になります。 申請できる営業所の条件 Gマークは会社単位ではなく「営業所単位」で申請します。主な条件は次のとおりです。 ・一般貨物自動車運送事業(または特定貨物)の営業所であること ・その営業所で運輸開始から3年以上たっていること ・その営業所に配置している事業用自動車が5両以上あること 数えるのは会社の年数ではなく、営業所の年数です。本社が20年やっていても、去年つくった営業所はまだ申請できません。 評価は100点満点で「80点以上」 評価は3つのテーマに分かれていて、それぞれの基準点をクリアしたうえで、合計80点以上が必要です。 評価テーマ 配点 基準点 安全性に対する法令の遵守状況 40点 32点以上 事故や違反の状況 40点 21点以上 安全性に対する取組の積極性 20点 12点以上 合計 100点 80点以上 引用元:全日本トラック協会「安全性優良事業所(Gマーク)認定制度」の評価基準をもとに作成 ※評価項目や基準は見直されることがあります。申請前に必ずその年度の申請案内を確認してください。 認定されると受けられる主なメリット ・行政処分の違反点数が早く消える(通常3年のところ、2年間新たな点数がなければ消去) ・カメラ付き機器などを使ったIT点呼ができる ・特殊車両通行許可や基準緩和の有効期間が延びる場合がある ・特定技能(自動車運送業・トラック)の受け入れ要件を満たす方法のひとつになる ・トラック協会の助成で優遇される場合がある 有効期間は、新規認定で2年、1回目の更新で3年、2回目以降の更新で4年です。更新を忘れると失効し、次は新規扱いからやり直しになります。 申請は毎年7月の約2週間だけ Gマークの申請受付は年に1回です。2026年度は7月1日から14日までの2週間、ウェブ上で受け付けが行われました。申請は全国で8,215事業所。そのうち新規申請が1,278事業所、更新申請が6,937事業所でした。審査を経て、12月中旬に認定が公表される予定です。 引用元:LNEWS「Gマーク申請、2026年度は8215事業所」 https://www.lnews.jp/2026/07/s0722101.html 申請書は2週間あれば書けます。でも、点呼記録や教育の記録は2週間ではつくれません。Gマークの準備は、前の年から始まっています。 準備で見落としがちな5つのポイント ①営業所ごとに条件を確認していない 先ほどのとおり、Gマークは営業所単位です。「会社としては10年やっている」でも、申請したい営業所が移転したばかりだったり、配置車両が4両だったりすると、そもそも申請できません。まずは営業所ごとに「運輸開始から3年」「5両以上」を確認しましょう。 ②巡回指導の結果がそのまま点数になる 40点ある「法令の遵守状況」は、トラック協会の適正化事業実施機関による巡回指導の結果をもとに評価されます。巡回指導で指摘された項目をそのままにしていると、ここで大きく点を落とします。指摘を受けたら、改善報告まで終わらせておく。地味ですが、点数に直結するところです。 ③「やっている」と「記録が残っている」は別もの 点呼も安全教育も、やっていても記録がなければ点になりません。点呼記録や運転日報(業務の記録)は1年、乗務員等台帳や指導・監督の記録は3年など、書類ごとに保存期間が決まっています。抜けや押印漏れ、日付の空白がないか。月に1回、見直す日を決めておくだけでもだいぶ違います。 ④「取組の積極性」は日頃の積み重ね 20点の「安全性に対する取組の積極性」は、安全方針の掲示、事故防止の会議、安全教育の計画、健康管理などの取り組みが対象です。申請の直前にまとめてそろえようとしても、会議の記録や教育の実績は日付をさかのぼれません。年間計画をつくり、毎月ひとつずつ実施して記録を残す。これを1年続ければ、申請のときに困りません。 ⑤使っているチェックリストが最新の基準と合っているか ネットや業者さんから手に入るチェックリストは便利です。ただし、作られた時期が古いと、評価項目の見直しに追いついていないことがあります。使う前に、その年度の申請案内と一度見比べてください。 お客様の声:日本電興株式会社 代表取締役 下川慎二様 日本電興株式会社様(東京都千代田区)は、デジタルタコグラフなど車載機の取り付けを手がける会社です。お客様の運送会社に配る「Gマーク準備チェックリスト」の内容確認をご依頼いただき、修正点を修正指示書にまとめて納品しました。修正後のチェックリストは、運送会社様への配布が始まっています。 「全日本トラック協会の申請案内と一項目ずつ照らし合わせ、配点の誤りだけでなく、認定要件の抜けや、当社がどこまで関わってよいかの線引きまで具体的に示していただきました。納期より早く届き、修正後の確認も迅速でした。安心してお客さまにお渡しできる資料になりました。」 (日本電興株式会社 代表取締役 下川慎二様) ※ご本人の了承を得て、会社名・お名前を掲載しています。 Gマークの準備でお困りの方へ 私の現場経験は28年あり、運送の仕事では点呼を受ける側でした。忙しい日ほど記録があと回しになる感じは、よく分かります。 Gマークは、その毎日の積み重ねを、荷主さんや取引先に目に見える形で示せる制度です。点数の大半は申請の前に決まるので、今日の点呼と記録が、そのまま来年の点数になります。 「うちの営業所は申請できる?」「巡回指導で指摘された所をどう直せばいい?」「自社のチェックリストを見てほしい」など、Gマークの準備でお困りのことがあれば、お気軽にご相談ください。運行管理者(貨物)の資格を持つ行政書士として、現場の目線でいっしょに準備を進めます。
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休日出勤は代休で相殺できる?中小企業が確認したい振替休日と給与の扱い
「日曜日に出勤してもらったので、来週の平日に休んでもらう」「同じ日数だけ休ませれば、追加の給与は要らないはず」。休日出勤への対応で、このように考えていないでしょうか。 別の日に休みを設けても、働いた日の割増賃金が不要になるとは限りません。判断の出発点は、休日と勤務日を事前に入れ替えたのか、休日に働いた後で休みを与えたのかという違いです。さらに、出勤した日が法定休日かどうか、1週間の労働時間が何時間になるかも確認します。 この記事では、原則1日8時間・週40時間の労働時間制で働く社員を中心に、振替休日と代休の違い、給与計算と社内運用の注意点を解説します。 最初に、出勤した休日と変更の経緯を確認します 会社のカレンダーで休日になっている日が、すべて労働基準法上の「法定休日」とは限りません。法定休日は、原則として毎週少なくとも1回、または適法に採用した4週4日の制度によって確保する休日です。会社がそれに加えて設ける休日は、法定休日とは区別します。 例えば、土日を休みとし、日曜日を法定休日と定めている会社では、土曜日に働く場合と日曜日に働く場合で、割増賃金の判断が異なります。「休日出勤だから一律35%増し」「土曜日だから割増なし」とは決められません。就業規則、勤務カレンダー、実際の勤務状況を照合してください。 次に、いつ、誰が、どの日を休みにすると決めたのかを確認します。社内で「振休」と呼んでいても、出勤後に休む日を決めたのであれば、呼び方だけで振替休日になるわけではありません。申請書やメールを確認し、給与担当者にも判断の根拠が伝わるようにします。 振替休日は、出勤前に休日と勤務日を入れ替えます 振替休日は、あらかじめ休日だった日を勤務日に変え、その代わりに別の勤務日を休日にする扱いです。適切に振り替えられていれば、元の休日は勤務日となるため、その日に働いたことだけを理由とする法定休日労働の割増賃金は生じません。 ただし、「いつか暇になったら休んでよい」と伝えるだけでは、振替先の休日を特定したことになりません。就業規則等に振替の根拠を設け、出勤日と振替先の休日を事前に具体的に指定し、本人へ知らせることが必要です。少なくとも前日までの予告を基本とし、規程でより早い期限を定めている場合は、その手順にも従います。 振替後も法定休日を確保しなければなりません。4週4日の制度を用いる場合は、4週間の起算日などの確認が必要です。単に「1か月で4日休めばよい」と扱わず、会社が採用している休日制度に沿って判断してください。 また、1日全体の休日を別日に移すことと、休日に数時間だけ働いた分を別日の早退に充てることは同じではありません。原則として休日は暦日単位で確保するため、時間数だけを合わせて振替扱いにしないよう注意が必要です。 当事務所では、就業規則の作成・変更と、人事・労務全般の相談に対応しています。休日の振替を始めたいときは、規程の文言だけでなく、誰がいつ承認し、給与担当者へどう連絡するかという運用も含めて、相談事項を整理してください。 代休を与えても、休日労働の割増賃金は残ります 代休は、休日に働いたことへの代償として、後から別の労働日を休みにする扱いです。休日労働を行った事実は変わらないため、法定休日に働いた場合は、原則として35%以上の割増賃金が必要です。同じ週に代休を取った場合でも、この点は変わりません。 法定休日以外の休日に働いた場合は、1日8時間や週40時間を超える法定時間外労働に当たるかを確認します。該当する時間には原則25%以上の割増が必要です。月60時間を超える法定時間外労働には50%以上の割増が適用され、中小企業も対象です。深夜に働いた場合は、深夜割増も別に確認します。 代休の日を有給にするか無給にするかは、就業規則や労働契約などの定めによります。会社が有給と定めているのに、通常賃金分を当然に差し引くことはできません。「代休を取ったら常に35%分だけ払えばよい」という理解も避けましょう。 例えば、割増賃金の基礎となる1時間当たりの賃金が1,500円で、法定休日に8時間働いたとします。深夜労働等がなければ、その労働に対する賃金は1,500円×8時間×1.35で16,200円です。後日の代休の賃金をどう扱うかは別に判断し、休ませたことだけで16,200円の支払義務がなくなるわけではありません。 無給の代休を設ける場合も、控除の根拠、計算方法、賃金の算定期間を確認します。給与の締め日をまたぐときに、「来月休む予定だから今月の休日出勤分は払わない」と処理することは避け、各支払期の賃金を適切に精算してください。 事前に振り替えても、週をまたぐと時間外労働になる場合があります 振替休日の手続きを整えていても、時間外労働の割増まで必ず不要になるわけではありません。振替後の勤務について、1日と1週間の実労働時間を確認します。2週間や1か月の合計だけで帳尻を合わせないことが大切です。 例えば、週の起算日を月曜日とし、月曜から金曜まで毎日8時間勤務、土日休み、日曜日を法定休日としている会社を考えます。ある土曜日に8時間働いてもらい、翌週の水曜日を休日にすると、土曜出勤を含む週の実労働時間は48時間です。 この例では、翌週が32時間になっても、前の週の40時間を超えた8時間が消えるわけではありません。通常の労働時間制では、その8時間について時間外労働の割増賃金を検討します。適切な事前の振替であっても、週ごとの労働時間の確認は必要です。 一方、同じ週の水曜日と土曜日を事前に入れ替え、各日8時間、週40時間の勤務に収まり、ほかに時間外・深夜労働もなければ、法定の割増が生じない場合があります。ただし、会社の規程で法定基準を上回る手当を約束している場合は、その定めも確認します。 変形労働時間制やフレックスタイム制、週44時間の特例が適用される事業場などは、同じ計算をそのまま当てはめられません。まず適用される制度と週の起算日を確かめましょう。 出勤を依頼する前に、規程・36協定・給与処理をそろえます 休日出勤を依頼する際は、振替か代休か、出勤日と休む日、予定する労働時間、賃金の扱いを具体的に決めて伝えます。法定時間外労働や法定休日労働をさせる場合は、原則として事前に36協定を締結・届出し、協定と法令の範囲内で運用する必要があります。休みを別に与える予定があっても、この確認は省けません。 勤怠システムでは、「休日出勤」「振替」「代休」の名称だけで自動計算を任せず、設定が規程と合っているかを確認してください。出勤の承認記録、振替の通知日、実際に休んだ日を対応させて残すと、担当者が変わっても経緯を追いやすくなります。 規程と手続きが明確で、勤務時間と給与を正確に計算できる場合は、社内で対応できることもあります。一方、後から振替扱いにしている、休む日が未定のまま積み上がっている、給与の締め日をまたぐ、過去の割増賃金に疑問がある場合は、処理を確定する前に相談してください。 相談時には、就業規則・賃金規程、雇用契約書、36協定、勤務カレンダー、勤怠記録、給与明細、休日出勤や休みの指定が分かる記録を用意しましょう。当事務所では、労務相談のみの契約も可能で、給与・賞与計算の代行も取り扱っています。給与計算を社内で続けながら、休日の運用や賃金の判断について相談することもできます。依頼範囲と費用は個別に確認してください。 休日出勤への対応は、「別の日に休ませたか」だけでは決まりません。事前の振替の有無、休日の種類、週ごとの労働時間、規程上の賃金を順に確かめることが大切です。豊島区で労務管理に悩む経営者の方も、社員への説明と給与処理が食い違わないよう、出勤を依頼する段階から準備を進めましょう。
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固定残業代があっても追加支払いは必要?中小企業が確認したい計算と運用
「毎月、固定残業代を払っているので、残業代の精算はしていない」「契約書には20時間分と書いているが、昇給後も同じ金額でよいのか」。固定残業代を取り入れている会社では、こうした疑問が生じることがあります。 固定残業代は、一定の残業代を毎月定額で支払う仕組みです。支払っていれば何時間でも働いてもらえる制度ではなく、実際に必要な割増賃金が支給額を上回れば、差額の支払いが必要です。この記事では、すでに制度を運用している中小企業に向けて、書類と毎月の給与処理を確かめる手順を解説します。 まず、何の対価として支払う手当なのかを確認します 固定残業代では、通常の労働時間に対する賃金と、時間外労働などに対する割増賃金に当たる部分を、明確に区別できることが重要です。「月給に残業代を含む」とだけ伝えている場合は、何円が何時間分の残業代なのか確認しましょう。 例えば、基本給と別に「業務手当」を支給していても、名前だけで固定残業代になるわけではありません。職務への手当なのか、営業成績に応じた報酬なのか、時間外労働の対価なのかを、雇用契約書や賃金規程、採用時の説明などから確認します。 担当者が以前から残業代のつもりで処理していたという事情だけでは、従業員との認識が一致しているとは限りません。通常の賃金と区別できない場合などには、支払済みの手当を残業代として扱えるかが問題となり、追加精算の範囲にも影響します。 最初に、基本給、固定残業代の金額と対象時間、対象となる労働の種類、超過分の支払方法を書き出してください。対象が法定時間外労働だけなのか、深夜労働や法定休日労働も含むのかによって、毎月の照合方法が変わります。「残業代込み」という一言で済ませないことが出発点です。 毎月、実際の割増賃金と固定額を照合します 固定残業代を導入していても、労働時間の把握は必要です。始業・終業時刻や休憩を記録し、法定時間外労働、深夜労働、法定休日労働などを区分して集計します。固定残業代の対象時間に合わせて勤怠記録を修正したり、超過した時間の申告を止めたりしてはいけません。 確認は、実際の労働時間から必要な割増賃金を計算し、そのうち固定残業代で支払う対象の金額と、支給済みの固定額を比べる順で進めます。不足があれば、その月の給与で差額を支払います。固定残業代の対象外とした深夜労働などの賃金は、別に計算する必要があります。 例えば、計算方法を説明するため、通常の賃金の時間単価を1,600円、固定残業代を法定時間外労働20時間分の40,000円とします。深夜・法定休日労働はなく、月60時間を超える法定時間外労働もない場合、法定時間外労働1時間に対する額は、25%の割増を含めて2,000円です。 この月の法定時間外労働が25時間なら、必要な額は50,000円です。支給する固定残業代40,000円との差額10,000円を追加します。反対に10時間だった月も、時間外労働の有無にかかわらず定額を支払う定めであれば、実績が少ないという理由だけで固定残業代を減らしません。 また、残業の少なかった月の余りを、翌月の不足分に充てる処理はできません。毎月の給与について必要額を確認しましょう。欠勤や休職、入退社月の扱いは、実績が少ない月とは分けて、契約や賃金規程の定めを確認します。 当事務所では、残業手当の管理方法を含む労務相談と、給与・賞与計算の代行を取り扱っています。勤怠の集計と給与計算が別の担当者に分かれている会社も、現在の計算表や給与明細を基に、どの段階で差額を確認しているか整理しておくと相談を進めやすくなります。 昇給後は「20時間分」の金額が足りるか再確認します 導入時には適切に設定していても、基本給などの変更によって、固定額と対象時間の関係が変わることがあります。基本給を上げたときは、固定残業代を据え置いてよいかも確認してください。 先ほどの例で、昇給により通常の賃金の時間単価が1,800円になったとします。25%の割増を含む額は1時間2,250円となり、20時間分は45,000円です。契約上の固定残業代が40,000円のままなら、実際の法定時間外労働が20時間でも、必要額との差は5,000円になります。 このように、「契約書の時間数を超えていないから追加はゼロ」とは判断できません。時間数だけでなく、現在の賃金を基に計算した金額で照合することが大切です。 割増賃金の計算の基礎となる賃金や所定労働時間の確認が必要です。基本給以外の手当も計算の基礎に含まれることがあり、名称だけで算入・除外を決めないようにします。実際の運用で決定します。昇給、手当の新設、勤務時間の変更があったときは、給与設定を一緒に点検しましょう。 例年10月には最低賃金の改定もありますので、最低賃金と割増賃金の時間単価の確認も忘れずにすることが必要です。 求人票・契約書・給与明細の説明をそろえます 求人票では固定残業代があると説明しているのに、契約書には総額しかなく、給与明細では別の手当名になっていると、従業員が支払いの内容を理解しにくくなります。会社側も、どの条件で合意したかを確認しにくくなるため、書類を並べて照合することが有効です。 募集時には、固定残業代を除いた基本給、固定残業代の時間数・金額等の計算方法、超過分を追加支給する旨を明確に示します。採用時の労働条件通知書・雇用契約書や賃金規程についても、対象となる労働と精算方法が明瞭になっているか確かめます。 給与明細でも、基本給と固定残業代、追加で支払った残業代を区別して示すと、支払いの根拠を説明しやすくなります。ただし、明細の欄を分けるだけで、契約内容や計算上の問題まで解決するわけではありません。 見直しの際は、過去の契約書や給与記録を残したうえで、変更内容と適用時期を整理します。現在の月給の一部を、後から固定残業代だったことにする処理は避けてください。基本給の一部を固定残業代へ振り替える変更も、従業員に不利益となり得るため、総額が同じという理由だけで進めず、労働条件変更の手続きを含めて検討する必要があります。 当事務所では、就業規則の作成・変更にも対応しています。日々の給与処理で疑問が出たときに、計算方法に加えて規程の記載や運用を併せて確認することで、担当者が変わっても同じ基準で処理しやすくなります。 不足が疑われたら、制度の変更前に事実を整理しましょう 固定残業代の時間数は、「その時間まで必ず残業させる」という意味ではありません。また、固定残業代の支払いと、法定時間外労働などに必要な36協定の締結・届出は別の問題です。制度を導入していても、協定の内容や時間外労働の上限を守り、長時間労働を防ぐ必要があります。 追加の支払いが毎月続く場合は、固定額を増やすことだけで対応せず、仕事量、担当者の偏り、締切の設定なども見直しましょう。実際の残業が少ないことを理由に制度を廃止する場合も、従来の賃金を一方的に減らせるとは限りません。 相談するときは、雇用契約書・労働条件通知書、賃金規程、求人票、勤怠記録、賃金台帳や給与明細、昇給の履歴を用意します。「いつから、誰に、何時間分として、いくら支払ったか」と、差額精算の実施状況をまとめると、確認すべき範囲が明確になります。 契約内容が明確で、勤怠記録と計算方法も整っていれば、社内で毎月の照合を進めることもできます。一方、固定残業代の内訳が不明、昇給後に計算を見直していない、最低賃金を確認していない、従業員から過去の残業代を請求されたといった場合は、回答や制度変更を決める前に相談することが望まれます。請求をめぐる紛争がある場合は、内容に応じて弁護士への相談も検討します。 当事務所は、労務相談のみの契約にも対応しています。給与計算を自社で続けながら、固定残業代の考え方や規程の運用について相談したい場合も、お気軽にご相談ください。 固定残業代の運用では、導入時の説明だけでなく、毎月の実績との照合と、賃金変更時の再確認が欠かせません。豊島区で労務管理に悩む経営者の方も、まずは契約書の内容と直近の給与計算があっているか、確かめるところから始めてみてください。
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建設業許可の技術者が退職したら?後任の確認と変更届の進め方
建設業許可で届け出ている技術者から退職の申し出があったとき、「資格を持つ社員に交代すればよい」「次の更新までに変更すればよい」と考えていないでしょうか。 営業所に置く技術者は、許可を取得するときだけでなく、取得後も必要な存在です。後任を決める際には、担当する業種の資格・経験に加え、勤務の実態や交代する日付も確認しなければなりません。 退職が決まったら、まず現在の届出内容と後任候補を照合し、要件が途切れないよう準備することが大切です。この記事では、北海道知事許可を受けている建設業者を主に想定し、確認の順序と変更届の注意点を解説します。 営業所の技術者は、許可の維持にも必要です 建設業許可では、営業所ごとに、許可を受ける業種に対応した資格や経験を持つ技術者を専任で置く必要があります。従来の「専任技術者」は、現在、一般建設業では「営業所技術者」、特定建設業では「特定営業所技術者」と呼ばれ、両者をまとめて「営業所技術者等」といいます。 この人が退職し、要件を満たす後任がいなければ、関係する業種について許可の維持に問題が生じます。許可通知書に有効期限が残っていても、それだけで安心はできません。 また、現場に配置する主任技術者・監理技術者とは、制度上の役割が異なります。営業所技術者等と現場の技術者を兼ねられる制度もありますが、一定の条件があります。「現場を任せている社員だから、営業所の後任にもできる」と一律には判断しないでください。 まずは申請書の控えや直近の変更届を確認し、退職する人が、どの営業所で、どの業種を担当しているのかを把握しましょう。日常の役職名だけでは、許可上の担当範囲は分かりません。 後任候補は、業種・資格・勤務実態を確認しましょう 資格の名称だけでなく、担当できる業種を照合します 後任候補に国家資格があっても、現在の許可業種をすべて担当できるとは限りません。資格の種類や区分と、許可を維持したい業種を一つずつ照合します。一般建設業と特定建設業でも要件が異なるため、前任者と同じ役職に就けるだけでは足りません。 さらに、営業所技術者としての資格の数がとても多く、また、資格を持っているだけで営業所技術者の資格を満たすものと、資格プラス実務経験年数が必要なものがありますので注意が必要です。これは手引きの中に数ページにわたって表が掲載されていますのでよく確認しなければなりません。ご不明な場合は、管轄の振興局建設指導課などに相談するか、専門家への相談をお勧めします。 例えば、前任者が複数の業種を担当している一方、後任候補の資格では、そのうち一部の業種しか担当できない場合があります。この場合は、別の適格者を組み合わせて配置できるかなどを検討する必要があります。 資格証明書は、本人の申告だけで判断せず、写しを取り寄せて確認しましょう。氏名変更がある場合や、資格と実務経験を組み合わせる場合には、追加の資料が必要になることもあります。 実務経験を使って要件を満たす場合は、「長年働いている」という説明だけでは足りません。対象業種の工事に、いつからいつまで、どのように関わっていたのかを整理し、証明に必要な資料が残っているかを確認します。 必要な経験年数や証明方法は、学歴、資格、業種などによって変わります。一律に「資格がなければ必ず10年」と考えず、適用できる要件を確認してください。以前の勤務先での経験を使う場合は、証明への協力や資料の確保に時間がかかることもあります。 つまり、建設業許可において営業所技術者の実務経験年数10年を証明する書類や資料を収集するのがもっとも困難なミッションの一つだと考えて差支えありません。専門家に依頼しても割増料金の対象となる確率が高い業務です。ですので前述のとおり安易に10年で、と考えるのは危険とも言えます。 さらに、後任がその営業所で専任として勤務できるかも確認します。雇用関係だけでなく、実際の勤務状況や、他社・他営業所での役割などを整理することが必要です。資格を借りるだけの名義上の配置では、要件を満たしません。 当事務所では、建設業許可の申請に加え、技術者の実務経験の証明についてもご相談を受けています。経験を使うことを検討している方は、資料をすべて集め終えてからではなく、どの経歴を確認する必要があるのかを整理する段階でご相談いただけます。 退職日と交代日を整理し、届出の期限を確認します 後任の要件が確認できたら、前任者の退職日と後任者が担当する日を整理します。書類を提出する日だけでなく、実際に要件を満たす人が配置されているかが重要です。書類上の日付だけを合わせることはできません。 退職前に有給休暇の取得を予定している場合や、後任が別の会社から転職してくる場合は、雇用と勤務の実態を踏まえた確認が必要です。担当者が不在となる期間を生じさせないよう、早めに許可行政庁へ相談しましょう。 北海道の案内では、営業所の技術者の変更や、技術者を欠いた場合の届出は、事実発生後2週間以内の事項として示されています。一方、変更届出書のうち様式第22号の2については、30日以内とする注記があります。 そのため、「変更届は全部30日以内」「交代なら書類は全部2週間以内」とひとまとめにせず、変更の内容と提出する様式ごとに期限を確認することが大切です。期限まで待つのではなく、退職予定が分かった時点で必要書類を調べておくと、準備の遅れを減らせます。 なお、届出期限は、後任がいなくてもその期間は許可要件を満たしていると扱われる猶予期間ではありません。すでに技術者が不在となっている場合は、後任探しだけを続けず、速やかに許可行政庁へ事実関係を伝えてください。 後任が見つからないときは、契約と許可業種も確認します 適格な後任がいない場合は、要件を欠いたことの届出や、関係する業種の廃業など、必要な対応を個別に確認します。新たな人を採用すれば過去の不在期間も解消できる、とは考えないでください。 一人の技術者が複数業種を担当していた場合や、複数の営業所がある場合は、会社全体への影響を整理します。どの業種・営業所の体制が維持でき、どこに要件の不足があるのかを分けて確認する必要があります。 例えば、土木工事と舗装工事を担当していた人が退職し、後任候補が片方の業種の要件しか満たしていないとします。このときは、担当できる業種が残るからといって、従来どおりの許可内容で営業を続けられるとは限りません。ほかの技術者の配置状況も含めて、許可の扱いを確認します。 受注済みの工事がある場合は、契約日、工事の種類、施工の進み具合などを整理してください。既存契約の工事を続けられるかと、新しい契約を締結できるかは、分けて確認する必要があります。「退職したので全工事を直ちに中止」「契約済みなら何も確認せず続けてよい」のいずれも、自己判断は避けましょう。 相談するときは、現在の許可と後任の資料をそろえましょう 相談の際は、現在の許可通知書、許可申請書と変更届の控え、前任者の担当業種、退職予定日、後任候補の資格証明書などを準備すると確認が進めやすくなります。実務経験を使う予定なら、職歴や工事内容が分かる手元の資料も役立ちます。 書類の種類や後任の要件が明確で、提出先の案内に沿って準備できる場合は、自社で届出を行う方法もあります。一方、複数業種に影響する場合、実務経験の証明が必要な場合、交代まで時間がない場合は、行政書士に相談することで、確認すべき事項と手続きの順序を整理しやすくなります。 当事務所では、地元の建設業者を中心に、新規・更新の許可申請や、決算報告、経営事項審査、入札資格審査申請を支援しています。技術者の変更についてご相談いただく際も、現在の許可内容や今後の申請予定をお伝えいただくことで、関連して確認したい事項を整理しやすくなります。 ご相談では、お話を丁寧に伺い、対応の進め方をご提案します。初回相談は60分無料で、正式なご依頼の前にお見積りをご案内しています。必要な支援の範囲や費用を確認してから、ご依頼を検討していただけます。 技術者の退職への対応は、後任の名前を届け出るだけで終わるとは限りません。上富良野町で建設業を営む方も、退職予定が分かったら、まず担当業種・後任の要件・交代日を確認しましょう。必要な資料や進め方に迷う場合は、手元の申請書の控えをもとにご相談ください。 最後になりますが、ここまで読んでくださった方は、建設業において営業所技術者がいかに大切な存在であるかわかっていただけたと思います。その企業にとって技術者は「宝」といっても良いでしょう。ただ資格がある者を後から雇い、後任に据えればよいと安易に考えることなく、企業としての人材育成なども含めた人事管理なども大切になってきます。私は建設業を応援する行政書士として微力ながら業界の発展にお役に立てるよう今後も情報発信をしていきたいと思います。 対応エリア 上富良野町、中富良野町、富良野市、美瑛町、旭川市、芦別市、赤平市、滝川市など
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遅刻を繰り返す社員に減給できる?中小企業が確認したい給与控除と指導の進め方
「注意しても遅刻が続くので、給与を減らしたい」「10分の遅刻でも、30分単位で差し引いてよいのか」。始業時刻を守らない社員への対応では、周囲の負担や不公平感も気になるところです。 ただし、働かなかった時間分の賃金を支払わないことと、罰として給与を減らすことは、異なる扱いです。遅刻を改善してもらうためにも、給与の控除と指導を混同せず、事実と社内ルールを確認する必要があります。この記事では、通常の始業・終業時刻が決まっている社員を中心に、会社が確認したい点を解説します。 遅刻時間分の控除と、懲戒としての減給を区別します 本人の事情で遅刻し、働いていない時間については、原則として賃金は発生しません。その時間に対応する額を給与から差し引く扱いを、ここでは「遅刻控除」と呼びます。これに対し、職場の規律に違反したことへの制裁として、本来支払う賃金を減らすのが「減給の懲戒処分」です。 例えば、時給1,200円の社員が10分遅刻し、その10分について賃金を支払わない場合、対応する額は200円です。一方、「遅刻したら一律3,000円を引く」という運用は、単なる遅刻時間分の控除とはいえません。 月給制の場合は、雇用契約書や賃金規程を確認します。遅刻しても月額を減らさない定めがあれば、その内容に従う必要があります。また、基本給と各手当で支給条件が異なることもあるため、総支給額を一律に時間割りするとは限りません。「月給だから必ず控除できる」と決めつけないようにしましょう。 当事務所では、人事・労務全般の相談に加え、給与・賞与計算の代行を取り扱っています。遅刻への対応を見直すときは、指導方針だけでなく、賃金規程と実際の計算方法が一致しているかも、相談事項として整理できます。 この計算方法がきちんと行われていない場合、遡って正しい計算をし直す必要があり、間違いを発見してからかなり遡る必要が出てくる場合があります。 端数の切上げで、働いた時間の給与まで引かないようにします 遅刻控除として差し引く場合は、実際に働かなかった時間を確認します。10分の遅刻を30分に切り上げ、30分分の賃金を控除すると、実際に働いた20分についても支払わないことになります。 勤怠システムの集計単位が15分や30分になっていても、その設定だけで適法になるわけではありません。遅刻した時刻の記録と、給与計算に使う時間がどう処理されているかを確認してください。実際に働かなかった時間を超える部分は、単なる遅刻控除として処理できません。 先ほどの時給1,200円の例では、10分の遅刻控除は200円ですが、30分として計算すると600円になります。差額400円を「計算上の端数」として当然に引くことはできません。 また、始業時刻の前に会社が義務付けた準備作業を行わせている場合は、その時間の扱いも別に確認します。打刻時刻だけで遅刻かどうかを決めず、会社が働くことを求めている時刻と、実際に業務を始めた時刻を照合しましょう。フレックスタイム制などでは、通常の固定勤務と同じ基準をそのまま当てはめられない場合があります。 減給処分は、金額の上限だけで判断できません 懲戒として減給する場合、労働基準法第91条により、1回の事案に対する額は平均賃金1日分の半額まで、複数の事案がある場合の総額は一賃金支払期の賃金総額の10分の1までという制限があります。両方の制限を確認しなければなりません。 平均賃金は、通常の1日分の給与や基本給の日割額と同じとは限りません。原則として、算定事由が発生した日以前3か月間の賃金総額を、その期間の暦日数で割って求めます。賃金締切日がある場合の算定期間や、除外する期間・賃金、時給制・日給制等の最低保障なども確認が必要です。 ただし、「上限以内なら減給してよい」という意味ではありません。懲戒の事由と種類・程度について就業規則等の根拠があり、社員に周知されているか、定められた手続きを守っているかを確認します。後から規定を作り、過去の遅刻を当然に処分できると考えるのも避けましょう。 さらに、労働契約法第15条は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない懲戒を無効としています。遅刻の理由や回数、時間の長さ、業務への影響、これまでの指導、本人の改善状況などを踏まえる必要があります。 「遅刻3回で必ず1日分を減給」「月給の1割なら何か月でも減らせる」といった機械的な扱いは適切ではありません。遅刻控除と減給処分を併せて検討する場合も、それぞれの根拠と金額を分けて確認します。 指導では、遅刻の理由と改善してほしい行動を確かめます まず、遅刻した日、予定の始業時刻、実際の業務開始時刻、事前連絡の有無を整理します。「いつも遅い」という印象ではなく、具体的な記録を基に本人と話すことが大切です。 面談では、遅刻の理由と、会社が求める勤務ルールを理解しているかを確認します。寝坊、交通機関の遅延、通院などでは事情が異なります。体調や職場環境に関する訴えがあるときは、勤務態度だけの問題と決めつけず、必要な事実確認や勤務上の配慮を検討してください。 そのうえで、「始業時刻までに業務を開始する」「遅れると分かった時点で所定の連絡先へ知らせる」など、求める行動を具体的に伝えます。次に勤務状況を確認する時期も決め、会社の説明、本人の意見、合意した対応を記録します。改善が見られた点も残しておきましょう。 周囲の社員には、業務分担や連絡体制に必要なことを伝えますが、本人の健康状態や家庭事情、処分に関する情報を不用意に広げない配慮も必要です。皆の前で繰り返し叱責するなど、指導の方法自体がハラスメント問題にならないように進めます。 具体例で考える、給与処理と改善のための対応 例えば、従業員9人の会社で、事務担当者に月4回、各10分の遅刻があったとします。社長は「合計40分では軽すぎるので、半日分を引こう」と考えています。 この場合、遅刻控除として検討するのは、原則として働かなかった合計40分に対応する賃金です。まず、契約と賃金規程に基づく控除の可否・計算方法を確認します。半日分との差額を、そのまま遅刻控除に含めてはいけません。 別途、懲戒を検討するなら、規定の根拠、本人の事情、指導の経過、処分の相当性、減給額の制限を確認します。「9人だから就業規則は関係ない」と考えるのも適切ではありません。常時10人未満の事業場で作成・届出義務がない場合でも、懲戒には根拠となるルールの確認が必要です。そのため、常時10人未満の事業場でも、就業規則は準備しておいた方がトラブルになりにくいです。 面談で、本人が「始業時刻に出社すればよい」と理解していたことが分かったなら、会社が求める業務開始の時刻や準備作業の扱いを説明し直す必要もあります。給与を減らすことだけで解決しようとせず、原因に対応した指導と、その後の確認を進めましょう。 給与を確定する前に、規程と指導記録をそろえて相談しましょう 遅刻の事実と理由が明確で、控除の定めと計算方法にも疑問がなく、指導後に改善している場合は、社内の手順で対応できることもあります。すべての遅刻について、専門家への依頼が必要なわけではありません。 一方、減給処分を考えている、勤怠システムで時間を切り上げている、規程に控除の定めがない、本人と遅刻時間や理由の認識が異なる場合は、給与を確定する前に相談してください。既に控除している場合も、対象期間と計算の経緯をそのまま共有してください。 相談時には、雇用契約書・労働条件通知書、就業規則・賃金規程、勤怠記録、給与明細、注意や面談の記録を用意します。本人の説明と会社の受け止めを分けてまとめると、追加で確かめる事項を整理しやすくなります。 当事務所は、労務相談のみの契約にも対応し、就業規則の作成・変更を取り扱っています。給与計算は社内で続けながら、控除や従業員対応の判断を相談したい会社も、必要な部分だけご相談いただけます。処分の有効性などをめぐって紛争が生じている場合は、内容に応じて弁護士への相談も検討します。 遅刻への対応では、働かなかった時間の給与処理を正確に行い、勤務ルールを守ってもらうための指導を積み重ねることが大切です。豊島区で労務管理に悩む経営者の方も、規程と事実を検証してから従業員への対応を判断しましょう。業務で多忙など、検証に時間がかかるような様々なご事情があるかと思います。そんな時にはお気軽に弊所にお問い合わせください。
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会社都合の休業・早退で給与はどうなる?中小企業が確認したい休業手当の基本
「仕事が少ないので、明日は休んでもらいたい」「今日は暇だから、パート社員に早く帰ってもらいたい」。受注や来客が減ったとき、人件費をどう扱えばよいか迷う経営者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。 会社の判断で社員を休ませた場合、働いていない時間だからといって、給与を支払わなくてよいとは限りません。休業の理由によっては、休業手当の支払いが必要です。さらに、「6割払えば必ず問題ない」とも言い切れません。 この記事では、仕事の減少による休業や早退を中心に、支払いの判断、計算で間違えやすい点、社員へ伝える前に準備したいことを解説します。 仕事がないために休ませる場合は、休業手当を確認します 労働基準法第26条は、使用者の責めに帰すべき事由によって労働者を休業させる場合、平均賃金の60%以上の休業手当を支払うよう定めています。これは、会社側の事情で働けなくなった労働者の生活を保障するための制度です。 ここでいう会社側の事情は、経営者の故意や不注意だけに限られません。注文が減った、材料がそろわない、機械が故障したといった、経営上の事情も含まれます。「取引先から仕事が来ないので、会社も困っている」という理由だけで、支払いが不要になるわけではありません。 対象は正社員だけではなく、パートやアルバイトも含まれます。例えば、勤務が決まっていたパート社員に、予約が少ないことを理由に出勤を取りやめてもらう場合も、休業手当を検討します。 一方、もともとの休日や、本人の私的な事情による欠勤は、会社が休業させる場合とは区別します。まず、その日が働く予定の日だったのか、誰の判断で働かなくなったのかを確かめましょう。 自然災害などが関係する場合も、災害が起きたという理由だけで、一律に支払い不要とは判断できません。実際の被害、休業の直接の原因、休業を避けるためにできたことなど、個別の事情を確認する必要があります。 「月給の6割」ではなく、平均賃金を基に計算します 基本給だけを基準にしないようにしましょう 休業手当の基礎となる平均賃金は、原則として、算定事由が発生した日以前3か月間の賃金総額を、その期間の暦日数で割って求めます。賃金締切日がある場合は、原則として直前の締切日からさかのぼる期間を確認します。 賃金総額には、基本給のほか、残業手当や通勤手当なども原則として含めます。一方、臨時に支払われた賃金や、3か月を超える期間ごとに支払われる賞与など、算入しないものもあります。給与明細の総支給額を、そのまま機械的に使えるとは限りません。 例えば、対象期間の算入すべき賃金総額が72万円、暦日数が90日で、除外すべき期間などがないとします。平均賃金は8,000円となり、1日を全部休業させる場合の労働基準法上の最低額は、その60%の4,800円です。 この例で3日間休業させるなら、最低額は合計14,400円となります。ただし、就業規則や労働契約による支払いの定め、民法上の賃金請求の問題は、別に確認します。 時給・日給の社員には最低保障の確認も必要です 時給制や日給制などの場合は、暦日数で割る原則の計算に加えて、実際の労働日数などを使う最低保障の計算も確認します。勤務日数が少ないパート社員について、暦日数で割った金額だけを採用すると、平均賃金を低く計算してしまう可能性があります。 また、入社して3か月に満たない場合や、算定期間中に会社都合の休業、業務上の負傷による療養などがある場合は、計算に使う期間や賃金の扱いを確認します。全社員に同じ計算式を当てはめる前に、賃金の決め方と勤務の経過を整理してください。 当事務所では、労務相談に加えて給与・賞与計算の代行を取り扱っています。休業を実施するかという判断と、給与にいくら反映するかという処理を併せて検討したい場合は、賃金台帳や勤怠記録を基に相談できます。 半日だけの休業や早退は、1日全体の支払額を見ます 「午前中だけ働いてもらい、午後は帰ってもらう」という場合は、働いた時間の賃金に加えて、休業手当が必要になるかを確認します。休ませた時間に、そのまま時給の60%を掛けるという計算ではありません。 1日の一部を会社都合で休業させた場合は、その日に実際に働いた分の賃金が平均賃金の60%に届かなければ、少なくともその差額を休業手当として支払う必要があります。 例えば、平均賃金が8,000円、時給が1,200円の社員が、予定していた勤務のうち2時間だけ働き、会社の指示で帰宅したとします。働いた分の賃金は2,400円です。平均賃金の60%である4,800円との差額2,400円が、労働基準法上必要となる休業手当の最低額です。 反対に、その日の労働に対する賃金が平均賃金の60%以上であれば、同条による差額の支払いは生じません。ただし、これで契約上の支払いまで確定するわけではありません。給与を全額支払うべき事情や、社内規程で定めた保障がないかも確認します。 現場の責任者が「今日は上がってよい」と伝え、給与担当者は本人希望の早退として処理してしまうことも考えられます。勤怠記録には、帰宅時刻だけでなく、会社の指示なのか、本人の申出なのかも残すことが大切です。 6割の支払いと、給与を減らせるかという問題は別です 休業手当の60%という数字は、労働基準法上の最低基準です。就業規則や労働契約で、それより手厚い支払いを定めていれば、その内容を確認しなければなりません。月給の社員について、休業分をどのように扱うかも、賃金規程などを確かめます。 さらに、民法第536条第2項により、会社側の事情によって働けなかった期間の賃金を全額請求できる場合があります。労働基準法上の休業手当を支払ったことだけで、それ以上の賃金を支払う義務がなくなるとは限らない点に注意が必要です。 「休業手当を払う代わりに、有給休暇を使ったことにする」という一方的な処理も避けてください。本人が希望する年次有給休暇と、会社が仕事の都合で休ませることは区別します。計画的付与などの制度を利用する場合にも、必要な手続きがあります。 シフト制では、確定していた勤務を取り消したのか、まだ勤務日が確定していなかったのかも確認します。ただし、シフトを確定させなければ自由に勤務をゼロにできるという意味ではありません。雇用契約で約束した勤務日数・時間や、これまでの運用も踏まえて判断します。 社員に伝える前に、理由・日程・支払いを整理しましょう 休業を検討するときは、まず理由、対象者、予定日、終日の休業か一部の休業かを書き出します。ほかの業務や研修に振り替えられないかも検討し、実施する場合は、いつ見直すのかを決めておきましょう。 社員には、休業の理由と期間に加え、給与の取扱い、支払日、連絡窓口を具体的に説明します。支払いの扱いを曖昧にしたまま休んでもらい、給与明細で初めて減額を知らせると、認識の違いが生じやすくなります。休業手当も賃金であり、原則として通常の賃金支払日に支払います。 相談の際は、雇用契約書・労働条件通知書、就業規則・賃金規程、賃金台帳、勤怠記録、確定済みのシフト表などを用意すると、判断と計算を進めやすくなります。すでに社員へ伝えている場合は、通知やメールの内容も共有してください。 規程と計算方法が明確で、個別の事情も整理できている場合は、社内で対応できることもあります。一方、初めて休業を実施する、時給制と月給制の社員が混在する、社員から全額の支払いを求められている場合は、給与処理を決める前の相談が望まれます。賃金請求をめぐる紛争がある場合は、弁護士への相談も検討します。 当事務所では、人事・労務全般の相談、就業規則の作成・変更に対応し、労務相談のみの契約も可能です。給与計算を社内で行う会社も、休業時の判断や規程の運用について相談できます。依頼する業務の範囲と費用は、個別に相談してください。 会社都合で社員を休ませるときは、「何割払うか」を決める前に、休業理由、契約と規程、平均賃金の計算を順に確かめることが大切です。豊島区で労務管理に悩む経営者の方も、社員への説明と給与処理が食い違わないよう、実施前から準備を進めましょう。
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役員報酬は年度途中で変更できる?中小企業が知っておきたい増額・減額の注意点
「売上が伸びたので、来月から社長の報酬を増やしたい」「資金に余裕がないので、しばらく報酬を減らしたい」。会社の業績に合わせて役員報酬を調整したいと考える経営者もいるでしょう。 ただし、会社として報酬を変更することと、その支出を法人税の計算で損金にできることは別です。毎月の役員報酬には、支給額や改定時期に関する税務上のルールがあります。変更を決める前に確認したいことを、中小企業の経営者に向けて解説します。 支払った役員報酬がすべて損金になるとは限りません 損金とは、法人税の所得計算で収益から差し引くことが認められる原価や費用などです。会計上の費用と範囲が一致するとは限りません。会社が役員報酬として費用を計上しても、税務上の要件を満たさない部分は、申告時に所得へ加算することになります。 毎月支払う役員報酬で基本となるのが「定期同額給与」です。一般的には、毎月など1か月以下の一定の間隔で支払い、各支給時期の金額が同額である給与をいいます。一定の要件を満たす改定では、改定前と改定後でそれぞれ同額であることなどが求められます。 したがって、今月は利益が多いから増やし、翌月は支払いが多いから減らすという運用では、定期同額給与の要件に問題が生じます。従業員の給与と同じ感覚で、役員報酬を毎月調整しないようにしましょう。 また、定期同額給与に該当していても、不相当に高額な部分まで損金になるわけではありません。支給方法や時期に加え、金額の妥当性も確認が必要です。役員賞与には別の制度が関わるため、月額報酬とは分けて考えます。 通常の見直しは、原則として期首から3か月以内に行います 毎期の業績見通しなどに基づく通常の改定は、原則として事業年度開始から3か月以内に行うことが、定期同額給与として扱われるための要件の一つです。 例えば、4月1日から翌年3月31日までを事業年度とする会社では、通常の改定について、6月30日までという時期を意識する必要があります。「3月決算だから、次の決算までいつでも変更できる」ということではありません。 ここで確認するのは、単に振込額を変えた日だけではありません。いつ報酬を改定したか、いつの支給分から新しい額を適用するか、従来の支給日とどうつながるかを整理します。決議日と初回の支給日が異なる場合もあるため、「3か月以内に振り込めばよい」とだけ覚えるのは避けましょう。 報酬額は、直前の決算の利益だけで決めず、新年度の売上見込み、人件費や家賃、借入金返済、納税予定なども踏まえて検討します。利益が見込めても、代金の回収が遅ければ、毎月支払える資金が十分とは限りません。 当事務所では、会社の業績をお伝えし、必要な売上や借入れの状況などを踏まえて改善点を一緒に検討しています。役員報酬を見直す場面でも、希望額に加え、今後の収支や支払いの予定を共有いただくと、検討すべき点を整理しやすくなります。 期中の変更は、増額・減額の理由を確認します 利益が増えたことだけで、自由に増額できるわけではありません 期首から3か月を過ぎてから、「予想より利益が出そうなので、社長の報酬を増やしたい」と考えることがあります。しかし、利益が増えたという理由だけで、増額分が当然に定期同額給与として認められるわけではありません。 一方、役員の地位の変更や職務内容の重大な変更など、一定の臨時改定事由による改定は、通常の改定とは別に検討します。肩書を変えたという形式だけで結論を出さず、実際に職務や責任がどう変わったかを確認することが大切です。 「忙しくなった」「売上目標を達成した」という事情と、税務上の臨時改定事由は同じではありません。変更前後の業務、責任、改定の必要性を具体的に説明できるかが検討の出発点になります。 期首から3か月を過ぎてからの役員報酬の増額は税務上デメリットが生じやすいため、決算時の打合せで翌期の役員報酬の金額を相談することは重要です。 利益が出ているときに、役員報酬を増額させることは資金繰りにもつながります。期首から3か月以内に増額させた役員報酬は、会社の損金になります。会社の損金になると、利益を圧縮することができ、決算時の法人税はその分少なくなります。役員報酬から控除される源泉所得税は増えますが、源泉所得税は毎月又は半年に一度、会社で納税します。会社の利益を、役員報酬にある程度割り振ることで、税金を所得税と法人税に分けて納税できます。一度に多額の法人税を納税するよりも、期中所得税で納税しておいた方が、資金繰りは安定します。 資金が足りない場合も、減額理由の確認が必要です 減額であっても、税務上の確認は必要です。経営状況が著しく悪化したことなどによる一定の減額は、業績悪化改定事由による改定として検討します。 ただし、一時的な資金繰りの都合や、単に業績が目標に届かなかったことは、この理由には含まれません。「売上が少し下がったから」「今月だけ支払いが重なったから」という説明だけでは、判断できないのです。 確認したいのは、売上や利益がいつからどう変化し、今後どのような見通しで、なぜ報酬を減らさざるを得ないのかです。試算表や資金の予定、取引の変化を示す資料を揃え、経営状態と減額の理由をつなげて検討しましょう。 経営状況が著しく悪化する事由、例えば「売上の大半を占める主要な得意先が不渡りを出した」など客観的に明らかな場合以外は、減額しない方が良いでしょう。もし資金繰りが厳しい場合、中小企業では役員報酬はいったん支給しますが、社長から借入をする会計処理をして、会社に資金を残すことも多いです。 「社長が自分から減額すると言っているから問題ない」とも限りません。本人の了承があることと、法人税上の損金算入要件を満たすことは別に確認します。 変更前後の金額と経緯を記録しましょう 例えば、説明用の架空の会社として、3月決算法人が毎月50万円の社長報酬を支払い、10月から70万円に増額したいと考えた場合を想定します。理由は「利益が予想より増えたため」で、職務内容や地位に変更はないものとします。 この場合、通常の改定時期を過ぎており、増額の理由も確認が必要です。仮に定期同額給与として認められない増額であれば、上乗せした月額20万円について、損金にできない部分が生じます。「会社から実際に支払ったので、70万円全額を損金にできる」とは考えないようにしましょう。 一方、減額の場合は、「減らしたのだから税務上は何も問題にならない」とは限りません。改定前の支給額と改定後の支給額、その期間などに応じて、損金不算入額の検討が必要になることがあります。増額の例と同じ計算を、そのまま当てはめないことが大切です。 変更を検討するときは、現在の報酬を決めた資料、各月の給与台帳、振込記録、変更理由が分かる資料を揃えます。会社の形態や定款等に応じた決定手続きも確認し、決定内容を議事録などに残してください。 議事録があれば、どのような変更でも税務上認められるわけではありません。また、既に支払った後に、以前からその金額を決めていたような記録を作ることは避けましょう。相談が遅れた場合も、実際の経緯をそのまま伝えることが適切な処理につながります。 税理士への相談は、変更を決める前が適しています 例年どおりの時期に報酬を見直し、社内で必要な資料や手続きを確認できる会社では、自社で準備を進め、税務上の判断を確認する方法もあります。すべての見直しに、同じ範囲の外部支援が必要なわけではありません。 一方、期中に増額・減額したい、業績悪化に当たるか分からない、既に支給額を変えてしまった場合は、早めに税理士へ相談しましょう。変更理由と時期を確認したうえで、損金にできる範囲や申告への影響を検討できます。 相談時には、事業年度、現在の月額、希望する月額、改定予定日、最初に変更額を支払いたい日を伝えます。直近の決算書・試算表、給与台帳、報酬決定時の議事録などがあれば、確認を進めやすくなります。資料が不足しているときは、分かっている事実と未確認の点を分けて伝えてください。 報酬の変更では、法人税だけでなく、役員個人の税負担や社会保険料への影響も含め、会社と個人の双方で負担を考える視点が必要です。手取り額だけ、会社の利益だけといった一つの数字で決めず、必要な確認先や手続きも整理しましょう。 当事務所は、法人の会計・税務に関する日々の相談を取り扱い、その都度、迅速な回答を心がけています。ホームページでは予約制の無料相談をご案内していますので、まずは困っていることと変更の希望時期をお聞かせください。継続的な相談を希望する場合は、支援範囲や費用も併せて確認しましょう。 役員報酬の見直しでは、「いくらにしたいか」に加えて、「いつ、なぜ変えるか」が重要です。報酬を決定したり振込額を変えたりする前に、会社の数字と変更の経緯を整理し、税務上の扱いを確認しておきましょう。
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