士業コラム
記事一覧
-

公共工事を受注したい建設会社は経審が必要?申請の流れと準備書類
民間工事を中心に請け負ってきた建設会社が、自治体などの公共工事にも参加したいと考えたとき、「建設業許可があれば入札できるのか」「経営事項審査(経審)はいつ受ければよいのか」と迷うことがあります。 建設業許可、経営事項審査、入札参加資格審査は別々の手続きです。順番を誤ると、希望する入札の申請時期に間に合わないこともあります。 ここでは、公共工事への参加を検討する会社が確認したい条件と、決算後の実務的な準備を説明します。 公共工事に参加するには何が必要か 建設業許可だけでは入札参加の条件を満たさない場合がある 国や地方公共団体などが発注する公共工事を、発注者から直接請け負おうとする建設業者は、原則として経営事項審査を受ける必要があります。 ただし、経審を受けただけで個々の入札に参加できるわけではありません。発注機関ごとに入札参加資格審査があり、資格登録や工事種別、地域要件などを満たす必要があります。 まず「どの発注者の、どの工事に参加したいか」を具体化することが出発点です。 経審は会社の状況を客観的に評価する仕組み 経審では、経営規模、経営状況、技術力、社会性などを一定の基準で評価します。 結果として通知される総合評定値(P点)は、発注機関が格付けなどに利用する資料の一つです。いわゆる建設業許可を取得している業者の通信簿のようなものです。 しかし、点数が高ければ必ず受注できるわけではなく、発注者ごとの評価や入札条件、価格なども関係します。 経審の目的を「許可の取得」と混同しないことが重要です。 申請前に確認したい3つの前提 どの許可業種で公共工事を請け負うか 参加したい工事の内容と、自社が取得している建設業許可の業種が対応しているかを確認します。 例えば、実際に請け負う工事が許可業種と一致しなければ、経審の準備だけ進めても目的を達成できない場合があります。 工事の名称だけで判断せず、具体的な施工内容を確認してください。 決算変更届の提出状況 経審の準備は決算書だけでは完結しません。 許可行政庁への決算変更届(事業年度終了届)の提出状況を確認し、工事経歴書などの記載内容と整合させる必要があります。 税務申告書と建設業法上の財務諸表は、そのまま同じ形式で使えるものはほとんどありません。 過年度の届出に漏れがある場合は、先に対応方法を確認します。 審査基準日と申請時期 経審は原則として直前の事業年度終了の日を審査基準日とします。 公共工事の請負契約を締結する際には、所定の有効期間内の経審結果が必要です。 経審結果の有効期間は審査基準日から1年7か月であり、通知書を受け取った日から起算するわけではありません。 毎年継続して公共工事を請け負う会社は、決算後の手続きに空白期間が生じないよう逆算する必要があります。 経審から入札参加までの基本的な流れ 1.対象の発注機関と受付時期を調べる まず北海道、各市町村、国の機関など、参加を希望する発注者の入札参加資格申請の案内を確認します。 受付期間が定期受付なのか随時受付なのか、電子申請の有無、求められる経審結果の基準日などは発注者によって異なります。 「経審が終わったら申し込む」と考えるのではなく、資格申請の締切から必要な作業を逆算します。 多くの都道府県や市町村では公共工事の入札資格審査は2年に1度審査を行い、2年間有効という仕組みになっており、公共工事に入札したいとお考えの業者様は当該市町村等のホームページをご確認いただくか、専門家にご相談下さい。 2.経営状況分析を申し込む 建設業法上の財務諸表などを整え、登録経営状況分析機関に経営状況分析を申請します。 分析結果通知書は、その後の経審申請に使用します。 決算書の数字と工事の完成工事高の区分が適切か、税務申告との違いが説明できるかも確認しましょう。 特に、経審では建設業決算報告の完成工事高と消費税の確定申告書を見比べて決算報告の完成工事高の方が高額になっている場合は、消費税の課税標準が誤っている可能性があり、行政庁から注意される対象となりますので事前の確認をしっかり行いましょう。 よくある誤りとしては、建設業決算の損益計算書の完成工事高に税込の価格を入力してしまっている場合などがあげられます。特に経審を初めて受ける業者が自社で手続を行う場合などは注意が必要です。 3.経営規模等評価・総合評定値を申請する 許可行政庁に経営規模等評価の申請を行い、通常は総合評定値の請求もあわせて行います。 技術職員の資格・常勤性、工事種類別完成工事高、社会保険加入状況など、審査項目に応じた資料を準備します。 ちなみに今年7月から法改正により、健康保険、厚生年金、雇用保険の加入状況の確認書類は不要になりました。これは、建設業許可を出す際の前提条件としてこれらの社会保険・労働保険に加入していることを既に確認しているためです。 申請先や提示資料の取扱いは許可区分や行政庁の案内に従ってください。 4.入札参加資格審査を申請する 経審の結果通知書を受領したら、希望する発注機関の資格申請に進みます。 申請には経審結果のほか、納税証明書、許可関係書類、委任状などが求められる場合があります。 必要書類と提出方法は発注機関ごとに確認し、資格登録後も個別案件の入札公告を読むことが欠かせません。 なお、国の機関や北海道、市町村の機関に関しては、電子申請が原則となっており、それぞれのサイトから申請する必要があります。 また、入札資格審査は、公共機関のみに限らず、土地改良区や農業協同組合(JA)なども対象となっております。 私の地域ではこのような機関に関しては、紙での提出を求められていますので、参考にしていただければと思います。 書類準備でつまずきやすい点 完成工事高と工事経歴書の整合 工事別の売上計上、許可業種ごとの完成工事高、決算変更届の工事経歴書が食い違うと、確認に時間を要します。 工事台帳、請負契約書、注文書・請書、請求書などを照合し、工事内容と金額を説明できる状態にしておきましょう。 会計上の売上と建設業法上の完成工事高の扱いが異なる場合は、その理由を整理します。 北海道では、経審受審する各業種の工事経歴書に記載している工事のうち請負金額の上位3件の契約書や注文書の写しの提出が求められます。これは、元請、下請やJV(共同企業体)などを問わず請負金額のみで判断します。 技術職員の資格と在籍状況 技術職員名簿に記載する資格の種類や対象業種、常勤性などは点数に関係します。 資格証の写しだけでなく、雇用・在籍関係を示す資料なども求められます。 決算期末前後に入退社があった場合は、審査基準日時点の取扱いを確認してください。その年に退職している方でも審査基準日現在で在籍していた場合は、技術者に加えることも可能です。 直前になって点数を上げようとしない 経審の評価は、審査基準日時点の状況や対象期間の実績を基礎にします。 決算後に講習を受けたり資格を取得したりしても、今回の審査に反映できないことがあります。 また、注意が必要なところとして監理技術者証と監理技術者講習の有効期限はそれぞれ別なものとなっています。監理技術者証を更新したからといって、講習の有効期限が切れている場合は、その年の点数がその分は上がらないことになります。 改善策は次回以降の審査を見据えて計画し、実態と異なる記載や根拠のない数値調整は避けるべきです。 相談前に用意したい資料と進め方 公共工事への参加を検討し始めた段階なら、まず社内で参加したい発注機関・工事種別・時期を整理し、直近の許可通知書、決算変更届の控え、決算書、工事台帳、技術者の資格資料を集めると見通しを立てやすくなります。 すでに経審を受けている会社は、前回の結果通知書も確認してください。 一方、決算変更届が未提出である、工事の業種区分が分からない、受付期限が近い、初めて経営状況分析を受けるといった場合には、行政書士への相談が役立ちます。 必要な作業と提出先を整理し、申請書類の整合性を確認することが重要です。 行政書士加藤隆行事務所では、建設業許可の新規・更新に加え、決算報告、経営状況分析、経営事項審査、入札資格審査申請を取扱っています。 北海道・上富良野町や富良野地方などで公共工事への参加を検討されている方は、希望する発注機関と決算時期、現在の許可・届出状況を整理したうえでご相談ください。 当事務所は北海道行政書士会から任命された、「建設業相談員」として実際に振興局へ出向して各業者様の経審の審査業務を担当しており、審査する立場として依頼業者様への適切な助言や書類作成が可能となっております。また、建設業決算、経営状況分析から経営事項審査、そして入札資格審査まで一手に引き受けることができますので、お気軽にご相談下さい。
- 許認可・届出
-

運送業許可を取りたい人へ。行政書士・社労士・税理士・司法書士、誰に何を頼む?
トラック運送業(一般貨物自動車運送事業)の許可について調べていると、行政書士のほかに、社労士、税理士、司法書士の名前も出てきます。誰に何を頼むのか、どこから手をつけるのかが分からないまま、物件探しやトラック選びを先に進めてしまう方もいます。 運送業の許可では、車庫、資金、役員の試験、ドライバーの社会保険まで見られます。この記事では、許可の要件と申請の流れを押さえたうえで、4つの士業がそれぞれ何を受け持つのかを表で整理しました。順番を間違えて許可が遅れる例も載せています。 これから会社をつくって運送業を始める方、白ナンバーで運んでいて緑ナンバーに切り替えたい方は、物件の契約や車両の購入の前に読んでください。 運送業許可を取るまでに関わる士業は4つ 運送業を始めるには、運輸支局への許可申請のほかに、会社の登記、社会保険の加入、開業後の税務申告が必要です。手続きごとに担当の士業が決まっていて、法律で「その資格がないとできない」とされている手続きもあります。 運送業の開業で各士業に頼むこと 士業 運送業の開業で頼むこと 行政書士 一般貨物の許可申請、事業計画・資金計画の作成、運輸開始までの届出 社会保険労務士 社会保険・労働保険の加入手続き、36協定届、就業規則 税理士 開業後の会計・決算・税務申告 司法書士 会社の設立登記、目的・役員・本店の変更登記 ※事故の示談や取引先との争いになったときは、弁護士に相談します。 行政書士は許可申請の担当 緑ナンバーのトラックで他人の荷物を運び、運賃をもらう事業には、貨物自動車運送事業法の許可が要ります。申請書と添付書類を作って運輸支局に出すのが、行政書士の仕事です。 許可の主な要件 一般貨物自動車運送事業の主な許可要件 項目 基準の内容 車両 営業所ごとに5台以上(けん引車と被けん引車は合わせて1台) 営業所 使う権利があり、都市計画法・農地法・建築基準法などに違反していない 車庫 原則として営業所に併設し、計画する車両がすべて入る 休憩・睡眠施設 ドライバーが休める施設を用意する 運行管理体制 運行管理者と整備管理者を選任する 資金 事業開始に必要な資金の100%以上の自己資金を、申請日から許可まで持ち続ける 法令試験 常勤の役員が試験に合格する 引用元:東北運輸局 公示「一般貨物自動車運送事業及び特定貨物自動車運送事業の許可申請、事業計画変更認可申請等の処理方針について」、中国運輸局「一般貨物運送事業 新規許可申請における所要資金及び自己資金の注意点について」 ※細かい取り扱いは、運輸局ごとに異なる部分があります。 申請から運輸開始までの流れ(関東運輸局の場合) ①営業所のある都県の運輸支局に申請書を出す ②役員が法令試験を受ける(奇数月に実施、30問中8割の正解で合格、1回の申請で2回まで) ③書類の審査を受ける(不備があれば補正する) ④許可が出たら登録免許税12万円を納める ⑤運行管理者・整備管理者を選任し、車両を緑ナンバーで登録する ⑥運輸開始届と運賃料金設定届を出す(運輸開始は許可から1年以内) 引用元:関東運輸局「一般貨物自動車運送事業の申請から許可までの流れ」https://wwwtb.mlit.go.jp/kanto/content/000263002.pdf 申請してから許可が出るまでは、3〜5か月ほどかかるのが一般的です。法令試験に1回落ちると、そのぶんさらに延びます。2回とも不合格だと、申請は却下か取下げになり、出し直しです。 行政書士に頼んで最初に決めるのは、書類の中身より準備の順番です。車庫の候補地が基準に合うか、資金がいくら必要か、役員が何月の試験を受けるかを決めないと、申請日も運輸開始日も決まりません。 社会保険労務士は人を雇う手続きの担当 ドライバーを雇うなら、社会保険(健康保険・厚生年金保険)と労働保険(労災保険・雇用保険)に入ります。法人の場合、健康保険と厚生年金保険は、社長1人の会社でも加入が必要です。運送業の許可でも社会保険等への加入は要件になっていて、運輸開始の前に加入しているかを報告します。 この加入手続きを会社の代わりにすることや、労働者名簿・賃金台帳などの帳簿を作ることは、社会保険労務士法で社労士しかできない業務です。行政書士が代わりに出すことはできません。 運送業では、ドライバーに残業をしてもらうための36協定届や、拘束時間のルールに合わせた勤務表づくりも必要になります。2024年4月からは、トラックドライバーの時間外労働に年960時間の上限がかかっています。運輸開始の日が見えた時点で社労士に連絡しておけば、採用と保険の手続きが間に合います。 税理士はお金と税金の担当 許可の申請では、車両費、人件費、燃料費、保険料などを積み上げて「所要資金」を出し、それ以上の預金があることを残高証明で示します。残高証明は、申請のときと許可の前の2回出します。 申請してから許可が出るまでの間に、開業準備で預金が減って所要資金を下回ると、許可は出ません。 所要資金の計算は申請書類の一部なので、行政書士が作ります。一方で、開業後の会計、決算、税務申告は税理士の担当で、税務書類の作成や申告の代理は税理士しかできません。融資で資金をそろえるなら、返済の計画も含めて、早めに税理士と話しておいてください。 司法書士は会社の登記の担当 これから会社をつくる場合、法務局への設立登記は司法書士に頼みます。注意したいのは、定款の「目的」です。目的に貨物自動車運送事業が入っていないと、許可の申請の前に目的を変える登記が要り、そのぶん日数と費用がかかります。 許可を取ったあとも、役員や本店の所在地が変われば登記が必要です。運送業ではこのとき運輸支局への届出も要るので、司法書士と行政書士の両方の手続きになります。 順番を間違えて許可が遅れる4つの例 許可の要件を知らないまま準備を進めると、あとからやり直しになることがあります。起きやすいのは次の4つです。 先に進めてしまいやすいことと、その前に確かめること 先にやったこと 起きること その前に確かめること 車庫・営業所の物件を契約 市街化調整区域や農地で、基準に合わず使えない 都市計画、農地、前面道路の幅 会社を設立 目的に運送事業がなく、変更の登記が要る 定款の目的の書き方 トラックを購入 預金が減り、自己資金の基準を下回る 所要資金の額と購入の時期 ドライバーの採用を決定 試験や審査が延び、入社を待ってもらうことになる 試験の月から逆算した運輸開始の時期 4つとも、許可の要件を先に確かめていれば防げます。車庫と営業所は、契約したあとで使えないと分かっても、解約に違約金がかかることがあります。 相談の順番は、許可から逆算する 4つの士業のうち、開業の日程を決めるのは許可です。車庫、資金、役員の試験、ドライバーの採用の時期は、どれも許可の要件と審査期間から逆算します。最初に運送業の許可を扱う行政書士に相談しておけば、社労士・税理士・司法書士にいつ頼めばいいかも決まります。 行政書士を選ぶときは、次の3つを聞いてみてください。 ①運送業の許可を専門、または主な業務にしているか ②営業所や車庫の候補地を、契約の前に見てくれるか ③社会保険や登記など、ほかの士業の手続きが要る時期も教えてくれるか 当事務所は、運送業の許可と法令対応を専門にしている行政書士事務所です。現場で28年(うち運送業15年)働いてきた経験と、運行管理者(貨物)の資格をもとに、許可を取ったあとの点呼や運行管理まで考えて準備を組み立てます。新規許可のご依頼には、許可後1年間のLINE・メールでのご相談がついています。 車庫や営業所の候補が見つかったら、契約の前に、住所と図面を公式LINEで送ってください。基準に合いそうかどうかを無料でお返事します。公式LINEは、事務所のホームページから登録できます。LINEを使っていない方は、メール(info@aobato-office.com)で送っていただいてもかまいません。神奈川・東京を中心に、全国からオンラインでご相談を受けています。
- 許認可・届出
-

建設業許可の営業所技術者は現場に出られる?兼務の条件と注意点
建設業許可を取得している小規模な建設会社では、資格を持つ社員が限られており、「営業所の技術者に工事現場も任せたい」と考えることがあります。しかし、営業所技術者等は営業所での職務を担うことが原則です。現場の主任技術者や監理技術者との兼務が認められる場合はあるものの、どの工事でも自由に兼務できるわけではありません。ここでは、兼務の基本的な考え方、例外の確認事項、受注前に準備しておきたい資料を整理します。 営業所技術者等と現場技術者は役割が違います 営業所技術者等は営業所ごとに必要です 建設業許可では、許可を受ける業種について一定の資格または実務経験を持つ営業所技術者等を、営業所ごとに専任で置くことが求められます。一般建設業では「営業所技術者」、特定建設業では「特定営業所技術者」と呼びます。以前の資料では「専任技術者」という名称が使われていることもあります。営業所技術者等は、工事の見積りや契約締結に関する技術的な検討など、営業所の業務を支える役割です。 主任技術者・監理技術者は工事現場の施工を管理します 一方、主任技術者や監理技術者は、工事現場で施工の技術上の管理を担います。建設業者は原則として、請け負った建設工事の現場に主任技術者を配置し、一定の下請契約を締結する元請工事では監理技術者を配置します。現場によっては専任配置が必要です。営業所に配置する人員と、現場に配置する人員の要件を別々に確認することが出発点です。 営業所技術者等は原則として現場と兼務できません 専任を要しない現場にも条件があります 営業所技術者等は営業所に常勤し、専らその職務に従事することが基本です。ただし、専任を要しない現場については、当該営業所で請負契約を締結した工事であること、現場と営業所が近接し常時連絡できること、直接的かつ恒常的な雇用関係があることなど、所定の条件を満たせば兼務が認められる場合があります。単に「現場が近い」「電話がつながる」という事情だけで決めず、条件を一つずつ確認してください。 専任が必要な現場には別の特例があります 2024年12月13日からは、一定の条件を満たす場合、営業所技術者等が専任を要する工事現場の技術者を兼務する特例も設けられています。ただし、兼務できる現場数や工事の規模、営業所と現場との関係、情報通信技術の活用、連絡・施工管理体制など、詳細な要件の確認が必要です。専任を要しない現場の例外と同じ条件だと思い込まないことが重要です。 受注前に確認したい4つのポイント 1.対象工事に専任配置が必要か まず、工事の請負金額や工事の種類、元請・下請の立場、下請契約の内容を整理し、主任技術者または監理技術者の配置要件と専任義務を確認します。法令上の金額基準は改正されるため、過去の基準を使い続けないようにしてください。発注者との契約条件で追加の配置条件が定められていることもあります。 2.営業所と現場の距離・連絡体制は適切か 営業所の技術者が現場に出ている間も、営業所の職務を実質的に果たせることが必要です。営業所からの移動時間、連絡方法、営業所側の対応者、現場での施工管理方法を具体的に確認します。道内では移動距離や冬季の交通事情も業務運営に影響しますが、地理的な近さだけで法令上の要件を満たすとは判断できません。 3.兼務する本人の資格と雇用関係は適切か 兼務予定者が営業所技術者等として担当する許可業種と、現場で必要となる技術者資格・経験をそれぞれ満たすか確認します。直接的かつ恒常的な雇用関係など、該当する制度で求められる条件も確認してください。資格者証や実務経験を証明する資料、雇用関係を確認できる書類を整理すると判断しやすくなります。 4.他の現場との兼務や配置状況に問題はないか すでに別の工事現場を担当している場合、新たな兼務が認められるとは限りません。営業所の業務に加え、現場ごとの工期や施工管理の負担も確認します。現場技術者の兼務特例には別の制度もあるため、複数の特例を組み合わせてよいかを含め、適用関係を個別に確認する必要があります。 少人数の建設会社で想定される判断例 例えば、営業所技術者を務める社長が、同じ会社で新たに受注する工事の主任技術者も担当したいと考えたとします。これは説明のための架空の例です。まず、その工事が専任を要するかを確認します。専任を要しない工事であれば、当該営業所での契約締結、現場との近接性、連絡体制、雇用関係など、適用される要件を点検します。専任を要する工事なら、2024年12月からの特例の対象になるかを別途検討します。 いずれの場合も、社長が営業所技術者であるという事実だけで兼務が認められるわけではありません。また、代表者である場合には、通常の従業員とは異なる雇用関係の確認が必要になることがあります。自社の人員配置や契約内容に応じて、許可行政庁へ確認することが大切です。 兼務を検討するときの進め方と相談資料 受注を確定する前に配置計画を整理します 最初に工事の概要を一覧にし、工事名、請負金額、工期、施工場所、元請・下請の区分、配置予定者を書き出します。次に営業所技術者等の担当業種、資格、日常の勤務状況を確認します。そのうえで、専任義務の有無と適用できる兼務特例を調べ、必要な施工管理体制や書面の準備を進めます。兼務できない場合は、別の有資格者の配置や受注時期の調整も検討します。 余談ですが、一般的に兼務をすることが多い業種と多くはない業種がありますので、兼務が考えられる場合は事前に整理をしておくことも必要です。例えば、建築一式工事を請負う業者に営業所技術者として配置されている一級建築士の方が、大工を兼務するというのはほとんどありません。ですが、第一種電気工事士を取得されている方が現場に出て電気工事を担当するというのは、現実的に考えられるものです。そのような業者個々の事情を踏まえて計画的に上記の検討および人員の確保が必要です。 専門家に相談するときに用意したい資料 相談の際は、建設業許可通知書または許可内容が分かる資料、工事の見積書・契約案、工期と施工場所が分かる資料、技術者の資格証明書、雇用・常勤状況が分かる資料、現在の現場配置一覧などを準備すると確認が進みます。すべてを最初から揃える必要はありませんが、どの条件が未確認なのかを明らかにしておくと有効です。 行政書士加藤隆行事務所では、上富良野町を拠点に建設業許可の新規・更新申請、決算報告、経営事項審査などを取り扱っています。営業所技術者等の兼務を前提に受注を検討している場合は、工事の条件と現在の人員配置を整理したうえで、許可行政庁への確認事項を含めて相談することをお勧めします。
- 許認可・届出
-

建設業許可の変更届はいつ必要?商号・役員・営業所変更の期限と準備
建設業許可を取得した後、会社の商号を変えたり、役員が交代したり、事務所を移転したりすることがあります。「登記を変更したので建設業許可の手続きも終わった」と考えていませんか。商業登記と建設業許可の変更届は別の手続きです。届出を後回しにすると、許可の更新や事業体制の確認で問題が見つかることもあります。 ここでは、北海道知事許可を持つ建設業者を主な対象として、変更の種類による期限の違い、必要資料の集め方、営業所を移す際の注意点を整理します。 変更内容によって届出期限が異なる 商号・営業所所在地・役員等の変更は原則30日以内 商号や名称、営業所の名称・所在地、法人の役員等に変更があった場合は、原則として事実発生後30日以内に変更届を提出します。会社の登記事項を変更した場合、登記を済ませただけで建設業許可の変更届が不要になるわけではありません。登記事項証明書などの添付が必要になる場合もあるため、登記の予定と許可の届出を合わせて管理しましょう。 役員の変更には、新任・退任などがあります。誰がいつ就任または退任したか、登記の日付だけでなく変更の事実が生じた日を確認することが大切です。個人事業主と法人では必要書類も異なります。 許可要件に関わる変更には2週間以内のものがある 経営業務の管理体制を担う常勤役員等や、営業所技術者等の変更など、許可要件に関係する事項では、2週間以内の届出が必要となるものがあります。北海道の案内では、これらの事項について証明書類等を2週間以内に提出し、変更届出書(様式第22号の2)は30日以内とする扱いも示されています。書類ごとの期限を区別して確認してください。 特に、担当者が退職して許可要件を満たさなくなる場合は、届出期限だけの問題ではありません。後任者が要件を満たすか、継続して適切な体制を確保できるかを早急に確認する必要があります。 商号や役員が変わったときの確認事項 商号変更は登記と許可の情報をそろえる 会社名を変更する場合は、株主総会等で決定した内容、変更日、登記の完了予定日を確認します。そのうえで、建設業許可の変更届に必要な登記事項証明書等を準備します。取引先に提示する許可通知書や建設業の許可票についても、変更後の表示が適切か確認しましょう。 変更後の名称で契約書や請求書を発行し始める前に、社内の管理資料、金融機関への届出、公共工事の入札参加資格に関する手続きなど、別途確認すべき事項を一覧にしておくと漏れを防げます。これらは建設業許可の変更届とは別の手続きです。 役員変更では経営管理の要件も点検する 役員が交代した場合、役員等の一覧や所定の調書、登記事項証明書など、変更内容に応じた書類を確認します。新しい役員が就任したというだけで、その人が経営業務の管理体制を担えるとは限りません。 例えば、社長が退任し、別の役員が代表者になる想定例を考えます。代表者変更の届出と同時に、従来の常勤役員等が退任するなら、後任者の経営経験や常勤性などを別途確認する必要があります。代表者と経営管理を担う人が同一とは限らないため、役職名だけで判断しないことが重要です。 営業所を移転・新設するときの注意点 住所変更だけで済まない場合がある 営業所の所在地変更や新設では、住所や登記だけでなく、その場所が建設業の営業所として機能するかを確認します。工事の見積り、契約締結等の営業活動をどこで行うのか、電話・事務設備、使用権原などの資料を整理してください。北海道の手引きに沿って、写真や賃貸借契約書など必要な確認資料を確認します。 自宅の一部を営業所にする場合や、別の市町村へ移す場合も、建物の利用状況や営業実態が重要です。看板だけ設置して実際には営業していない場所を届け出ることは避けましょう。 営業所の配置で許可区分が変わることも 営業所を増やすときは、その所在地が同一都道府県内か、他の都道府県にも及ぶかを確認します。建設業を営む営業所を北海道以外にも設ける場合は、知事許可から国土交通大臣許可への許可換えが必要になる可能性があります。単純な住所変更の届出で済むと決めつけないでください。 また、新しい営業所で扱う許可業種と、配置する営業所技術者等の資格・経験も確認します。現在の営業所の担当者を形式上だけ別の営業所へ移すことはできません。勤務実態と担当業務を整理し、配置変更の前に要件を点検しましょう。 届出漏れを防ぐための進め方 変更日・届出対象・添付資料を一覧にする まず、変更が生じた日と内容を時系列で書き出します。商号、代表者、役員、資本金、営業所、技術者など、複数の事項が同時に変わることもあります。変更項目ごとに届出期限が異なるため、一括して「30日以内」と考えないことが大切です。 次に、最新の北海道の変更届案内と様式を確認し、変更届出書、登記事項証明書、役員関係書類、営業所の確認資料などを整理します。変更が重なる場合は、同じ資料を複数の項目で使えるか、提出先へ確認しておくと効率的です。 当事務所で扱った届出漏れの一例としては、家族で建設業を営んでおり息子様が代表取締役となり、代表職を退いているものの取締役として名前を残していた父親が亡くなった場合で、相続手続きや会社の登記簿の変更までは行いましたが、建設業許可の変更は忘れてしまっていた例がありました。この方は役員以外にも営業所技術者としても登録されており、さらに会社の持ち株の相続もあったので、こちらに関しても変更が必要な状況でした。特に創業者であった方の死亡は、税金問題なども含めて相続手続きが大掛かりになる傾向があり、そちらに注力してしまっていて建設業の変更まで気持ちが回らないこともあります。 専門家である私たちはお客様にそのような変化事項を確認した場合は、状況に見合った適切なアドバイスをいたしますのでご安心ください。特に相続手続きも同時に絡む変更の場合は遺産分割を終えてから建設業許可の変更をしないと二度手間になってしまう場合がありますので注意が必要です。 期限を過ぎたときは放置せず相談する 変更届を出し忘れていたと分かった場合、事実発生日を変えたり、過去に提出したように記載したりしてはいけません。実際の変更日、現在の許可状況、未提出の書類を整理し、許可行政庁に速やかに対応方法を確認しましょう。 届出が遅れた場合の取扱いは、変更内容や事情によって異なります。更新申請が近い場合は、未処理の変更届と更新手続きの関係も確認する必要があります。更新時期まで待てば自動的に解消するものではありません。 相談前にそろえたい資料と確認先 行政書士へ相談する際は、現在の許可通知書、直近の申請書控え、変更前後の会社情報、登記事項証明書、役員の就退任日が分かる資料、営業所の賃貸借契約書や写真など、手元にあるものを準備すると状況を整理しやすくなります。すべてを先に取得する必要はなく、変更内容に応じて必要書類を確認するのが合理的です。 社内で変更事項と期限を把握し、最新の手引きに沿って届出を進められる場合は、自社で対応することもできます。一方、役員の交代と経営管理体制の変更が重なる場合、営業所の移転・新設に伴い許可区分が変わる場合、過去の届出漏れが見つかった場合は、申請前に専門家へ相談すると整理しやすくなります。 行政書士加藤隆行事務所は、上富良野町を拠点に、建設業許可の新規・更新申請や決算報告、経営事項審査等を取り扱っています。変更届について相談する場合も、まず変更した内容と日付、現在の許可状況を伝え、必要な手続きと提出資料を確認してください。変更届そのものの受任範囲は事務所に確認が必要です。
- 許認可・届出
-

重機を積み替えたら特殊車両通行許可はどうなる?運搬前の確認事項
「先週は油圧ショベルを運んだトレーラーで、今度は別の重機を運びたい」、「運搬する機械が変わっても、以前取得した特殊車両通行許可を使えるのだろうか」。建設現場や重機運搬の仕事では、このような疑問が生じます。 結論から言えば、積荷が変わったという事実だけで、必ず新しい通行許可が必要になるというわけではありません。ただし、積み替え後の車両の重量や寸法、通行経路などが現在の許可の範囲に収まるかどうかを確認する必要があります。今回は、判断のポイントを解説します。 まず確認したいのは「積荷の名称」より運行時の車両状態 特殊車両通行許可は、道路法に基づく車両制限を超える車両が、指定された道路を一定の条件で通行するための制度です。一般的制限値である車両の幅2.5m、高さ3.8m、長さ12m、車両総重量20tなどを超えているかどうかで判断します。 積み替えで重量・高さ・幅が変わる 例えば、同じ低床トレーラーでも、積載する油圧ショベルの機種が変われば、積載後の車両総重量や高さ、左右への張り出し(=車両の幅)が変わります。車検証に記載された車両そのものの情報だけで積荷を載せた状態を十分に確認できるとは限りません。 運搬担当者は、積載物の重量だけでなく、車両と積荷を合わせた状態を把握してください。車両の構造、積載方法、積荷の位置によって軸重や隣接軸重なども変わる可能性があります。総重量が同じでも、道路への負担が同じとは限らない、と言えます。 許可と積載方法の適法性は別に確認する 道路法上の特殊車両通行許可を取得していても、それだけですべての積載方法が認められるわけではありません。積載物の大きさや積載方法が道路交通法上の制限を超える場合には、別途、制限外積載許可などの確認が必要になることがあります。重機の固定方法や安全な運搬方法も、運行計画とは別に検証しましょう。 現在の許可証と新しい運搬条件を照合する 許可を受けた車両と組合せを確認する 最初に、現在の許可証、車両諸元、経路図、通行条件が分かる書類を用意します。トラクタとトレーラーの組合せが変わる場合は、積荷の変更とは別に、許可対象の車両に含まれるかを確認しなければなりません。 複数の車両を保有している会社では、配車表に書かれた車両番号だけで判断せず、許可書類に記載された登録番号や車両の組合せを照合します。 重量・寸法・経路・通行条件を比較する 次に、積み替え後の運行条件を整理します。確認するのは、車両と積荷を合わせた高さ・幅・長さ・重量、必要な軸重等の情報、出発地と目的地、実際に通る道路です。 同じ工事現場へ向かう場合でも、搬入口が変われば最後の交差点や進入道路が変わることがあります。また、許可証に誘導車や通行時間帯などの条件が付されている場合は、新しい運搬計画でもそれらの条件が遵守できるか確認してください。 比較の結果、許可内容と実際の運行に差がある場合は、変更申請や新規申請の要否を検討します。許可の有効期間が残っているという理由だけで、そのまま出発しないことが重要です。 想定例で考える積み替え時の判断 比較的小さい重機へ変更する場合 例えば、ある現場に運んだ油圧ショベルを、同じトレーラーで別の小型機械に積み替えるとします。新しい機械の重量が軽くても、積載位置や機械の高さが異なる場合があります。 「軽くなるから問題ない」と決めつけず、許可対象の車両、許可された諸元、経路、通行条件を照合します。確認の結果、現在の許可の範囲で通行できる場合もありますが、積載状態を見ずに結論を出すことは避けるべきです。 より大型の重機へ変更する場合 別の例として、従来より重い重機を運ぶ依頼を受けた場合を考えます。積載後の総重量だけでなく、軸重や車両全体の高さなどが許可された条件を超える可能性があります。さらに、橋梁や交差点などの道路条件によっては、従来の経路が使えないこともあります。 この場合、まず機械の仕様書や実測値、車両諸元、運搬経路をそろえ、必要な申請と運行計画を検討します。許可が必要な運行については、必要な許可を得る前に出発することは避けてください。 運搬前に社内で進めたい確認手順 配車担当者と運転者で情報をそろえる 積み替えが決まったら、荷主から機械の型式、重量、外形寸法、積載時の姿勢などを確認します。運送会社側では使用するトラクタ・トレーラー、積載方法、出発地・目的地、希望日を把握します。機械のカタログ値と実際のアタッチメント装着状態が違う場合は、その差についても併せて把握しておきましょう。 運行の担当者が複数名いる場合は、配車担当者だけで判断を完結させず、申請担当者とそれぞれの運転者が同じ資料を確認できるようにします。許可証の有無だけを伝えるのではなく、対象車両、経路、通行条件まで共有することが大切です。 不明点があるときは出発前に確認する 許可内容との違いが見つかった場合は、道路管理者の案内や申請制度の取扱いを確認し、必要に応じて行政書士へ相談します。変更申請として扱える範囲と、改めて新規申請が必要になる範囲は、変更する内容によって異なります。 納期が迫っているときほど、積み替え後の状態が確認できないまま出発日を確定しないようにしましょう。申請や審査に時間がかかる場合に備え、代替車両や運搬日程を調整することも選択肢の一つです。 相談前に準備する資料と確認事項 相談時には、現在の許可証一式、車検証などの車両情報、トラクタとトレーラーの組合せ、新旧の積載物の仕様書、積載状態が分かる資料、予定経路、運行希望日をまとめておくと、確認が進めやすくなります。資料がすべてそろっていなくても、何が不足しているかを先に整理できます。 特に、重量や寸法が許可範囲内か判断できない場合、積載物の張り出しがある場合、トレーラーの組合せや搬入経路も変わる場合には、運行前に専門家へ確認することをお勧めします。 福岡県八女郡広川町の奥村行政書士事務所では、特殊車両通行許可申請を取り扱っています。重機の積み替えに伴って申請が必要か迷うときは、現在の許可内容と新しい運搬計画を整理したうえでご相談ください。
- 許認可・届出
-

建設業許可は自宅を営業所にできる?申請前に確認したい使用関係と写真の準備
「自宅の一室で仕事の打合せや見積りをしているけれど、建設業許可の営業所として申請できるのだろうか」。新たに許可を取ろうとする方にとって、事務所を別に借りる必要があるかは、費用にも関わる問題です。 自宅であることだけで、営業所にできないと決まるわけではありません。ただし、住所を申請書に書くだけでは足りず、その場所で実際に建設業の営業を行うことを説明できる必要があります。北海道知事許可の新規申請を考える方に向けて、場所の使い方、使用関係、写真の準備を中心に解説します。 まずは、自宅でどのような業務をしているかを整理しましょう 建設業法でいう営業所は、建設工事の請負契約を常時締結する事務所などを指します。登記上の本店であっても、実際には建設業の営業を行っていない場所は、それだけで営業所になるわけではありません。 反対に、契約書へ署名する場所だけを見て判断することも適切ではありません。他の営業所に対して請負契約の指導監督を行うなど、建設業の営業に実質的に関与する場所も含まれます。普段の仕事の流れから、その場所の役割を確認することが大切です。 最初に、見積りの作成、取引先との打合せ、契約条件の決定、契約書類の管理を、誰がどこで行っているかを書き出してみましょう。自宅では郵便を受け取るだけで、営業上の判断は別の事務所で行っているなら、その事情も含めて確認します。 例えば、自宅とは別に資材置き場や作業小屋があっても、すべてを建設業法上の営業所として扱うとは限りません。建物の名称ではなく、その場所で行う業務の実態を伝える必要があります。「自宅を本店に登記しているから大丈夫」「倉庫があるから営業所も確保できている」と早合点しないようにしましょう。 住まいの中で、仕事に使う範囲と使用関係を確認します 間取りと日常の使い方を説明できるようにします 自宅を使う場合は、建物のどの部分を営業所として使用する予定かを整理します。部屋の位置、机や書類の保管場所、来客時の動線などを簡単な間取り図にすると、相談の際に状況を共有しやすくなります。 その図には、仕事に使う部分と家族の生活に使う部分、他の事業者が使用する部分があれば、その範囲も書き添えましょう。これは最初の相談に役立つ整理方法であり、図面がすべての申請で一律に必要という意味ではありません。 生活空間の一角に一時的に机を置く予定の場合や、別会社と同じ部屋を使う場合は、営業所としての実態をどのように示すかを事前に確認します。必要な区分の方法や説明資料は個別に判断されるため、「必ず専用の入口が必要」「机が一台あれば足りる」と一律には決められません。建設業に限らず、自宅で開業する許認可に関しては生活部分と営業所部分を明確に区分する必要があります。 改装や設備購入を先に進めると、確認後にやり直しが生じることもあります。現状の写真と使用予定をまとめ、管轄窓口や行政書士に確認してから整備を進めると、不要な出費を抑えやすくなります。 所有者と、実際に申請する事業者を照合します 建物の所有者は誰か、借りているなら契約者は誰か、事業に使うことが契約上認められているかを確かめます。自己所有の自宅と賃貸住宅では、確認すべき事情が異なります。 特に、個人所有の自宅を自分が代表する法人の営業所として使う場合は、「所有者も代表者も自分だから同じ」と扱わず、個人と法人を分けて使用関係を整理します。家族名義の建物を使う場合も、誰の承諾で、どの範囲を使うのかを説明できるようにしておきましょう。 賃貸住宅では、住居として借りた契約が、そのまま事務所利用を認めているとは限りません。契約書の用途や禁止事項を読み、不明なら貸主や管理会社に確認します。集合住宅では、管理規約などにも目を通す必要があります。 これらは、実際にその場所を使えるかを確認するための資料です。賃貸借契約書や使用承諾書などを正式な申請書類として提出する必要があるかは、申請先の最新の案内で別途確認してください。他の都府県の必要書類一覧を、そのまま北海道の申請に当てはめないことも大切です。 営業所の写真は、何を確認するためのものかを意識します 北海道の手引きには、営業所写真台紙の作成例が掲載されています。外観全景、入口付近、内部全景などを通じて、申請する営業所の状態が分かるように準備します。 外観は、看板等を設置している場合はそれも含め、建物全体が分かるように撮影します。入口付近は営業所名などの表札等、内部は電話や机などの備品が確認できることが、作成例の着眼点です。台紙には営業所名、撮影年月日、所有区分などの記載欄があります。 机の上だけを大きく撮った写真では、その机が建物のどこにあるのか、事務所全体がどうなっているのかを伝えにくくなります。反対に、遠すぎる写真では、入口の表示を読み取れないことがあります。写真ごとに確認したい対象を決めると、撮り直しを減らせます。 また、建物全景から営業所の入口が分からない建物なども存在します。その際は営業所の入口部分に通じる通路等を補足資料として添付すると分かりやすいでしょう。 また、営業所の名称表示と、許可を受けた後の建設業の許可票は分けて考えましょう。北海道の作成例では、標識の写真について、新規許可申請の場合は不要とする一方、営業所の新設の場合は必要としています。初めて許可を取る場合と、許可業者が営業所を増やす場合を混同しないようにします。 写真を準備する目的は、書類に合う場面を一時的につくることではありません。実際の業務に使う状態を示すためのものです。撮影後に部屋や使用範囲を変える予定があるなら、その予定も伝え、どの状態で申請するかを確認してください。 自宅の確認と並行して、人の配置や申請日程も考えます 自宅を営業所として説明できても、それだけで許可の要件をすべて満たすわけではありません。経営を適切に管理する体制、営業所技術者等、財産的基礎、適切な社会保険への加入なども別に確認します。 例えば、説明用の例として、個人事業主が自宅の一室を事務所にし、資格を持つ知人を営業所技術者にする計画を考えてみます。部屋の準備が整っていても、知人が別の会社に勤務し続ける予定なら、その人を配置できるかは別の問題です。資格の有無に加えて、勤務の実態や専任性を確認しなければなりません。 営業所の整備だけを先に終えず、誰が経営と技術の要件を担うのかも並行して整理しましょう。当事務所では、新規・更新の許可申請と、技術者の実務経験の証明に関する相談を取り扱っています。場所のことで相談する際にも、保有資格や職歴、事業の体制を併せてお伝えいただくと、申請準備の課題を把握しやすくなります。 取引先から取得時期を示されている場合は、申請書の作成だけでなく、場所の整備や資料の確認、審査に要する時間も考えます。当事務所では、許認可申請を急いで進める対応は行わず、余裕を持った準備をご案内しています。事務所を借りるか迷っている段階から、早めに検討することが大切です。 自宅で申請できるか迷ったら、現状が分かる資料から相談しましょう 相談前には、建物の住所、所有者・契約者、仕事に使う範囲、そこで行う業務をまとめます。手元の間取り図、現状の写真、賃貸借契約書などがあれば、分かる範囲で用意してください。最初から正式な提出書類一式をそろえる必要はありません。 営業所としての使い方が明確で、北海道の手引きや管轄窓口の案内に沿って資料を用意できる場合は、ご自身で申請を進めることもできます。一方、家族所有の建物を法人で使う、住居や他社と同じ空間を使う、改装や賃貸契約を予定している場合は、支出や契約の前に相談すると、確認事項を整理しやすくなります。 当事務所は、相談者のお話を丁寧に伺い、状況に合う進め方を提案することを大切にしています。初回相談は60分無料で、オンライン相談にも対応しています。ご相談後に見積りをご確認いただき、支援内容と費用を踏まえて依頼をご検討いただけます。 上富良野町や富良野地方で、自宅を使って建設業許可を取得したい方は、「どの部屋を使うか」に加え、「そこで何を行い、誰が使うか」まで整理してみましょう。営業所の実態と使用関係を先に確認することが、無理のない申請準備につながります。
- 許認可・届出
-

特殊車両の申請で未収録道路が出たら?経路確認と準備の進め方
特殊車両通行許可の申請中、搬入先までの経路を入力していると「未収録道路」が表示されることがあります。普段から車が通る道でも、システム上で道路の情報を使って自動的に審査できるとは限りません。 未収録と表示されたからといって、直ちに通行できないと決まるわけではありません。一方、申請しただけで通行できるとも限りません。この記事では、未収録道路がある場合に、確認しておきたい事項と申請準備の進め方を解説します。 未収録道路とは何か 特殊車両の申請では、通行予定の道路について、車両の寸法や重量に照らして通行できるかを審査します。その際に利用する道路情報便覧には、道路幅員、橋の重量制限、トンネルなどの高さ制限、交差点での折進に関する情報などが含まれます。 未収録道路とは、特殊車両の通行審査に用いる「道路情報便覧」に、審査に必要な道路情報が収録されていない道路を指します。道路そのものが存在しないという意味ではありません。市街地の細い道や現場に近い区間など、経路の一部で表示される場合も多々あります。 国土交通省の申請資料では、未収録路線は簡易算定されず、申請後に道路管理者が別途、通行の可否を確認すると説明しています。未収録という表示だけで通れる・通れないと判断せず、申請する車両と道路の状況を踏まえた審査結果を待ちましょう。 路線名と地図を確認し、経路を具体的にする 最初に確認すべき点は、出発地から目的地までの経路です。目的地の住所だけでなく、実際に使用する出入口や、どの道路から敷地に入るかまで確認します。同じ敷地でも、門の位置によって最後に通る道路や交差点が変わってしまうためです。 国土交通省の案内では、経路に未収録道路が含まれる場合、通行経路、出発地、目的地が分かる地図を作成し、未収録道路の正式な路線名と未収録交差点番号を記載します。例えば「○○市道△△線」のような名称を確認し、未収録交差点番号は道路情報便覧付図で調べます。 申請画面に「未収録路線」「不明」と表示されたままにせず、路線名が分からなければ当該道路の管理者に問い合わせましょう。特車ポータルサイトには路線名等の問い合わせ先も案内されています。往路と復路で経路が違う場合は、それぞれ確認します。 また、敷地内や港湾などには、道路法の適用関係や管理者の異なる場所もあります。申請対象となる道路の範囲を確認し、必要に応じて施設側の利用条件も別に確かめておきましょう。 仮登録された道路は扱いが異なる 道路情報便覧では、未収録道路のうち、路線名などの基本情報が「仮登録」されている区間があります。仮登録の場合は、路線名の確認や未収録路線の付近図の添付が不要と案内されています。 ただし、仮登録されていても、障害箇所や交差点の折進可否など、審査に必要な情報が不足しているため、算定結果は個別審査となります。地図に表示されたからといって、収録道路と同じように審査が完了するとは限りません。実際の表示と必要書類は、申請時の案内や申請窓口で確認しましょう。 車両と積載物の情報をそろえる 同じ道路でも、申請する車両の幅、高さ、長さ、重量や軸の配置などによって確認事項は変わります。車検証に加え、申請に必要な車両諸元を確認できる資料を準備しましょう。トラクタとトレーラーを連結する場合は、実際に組み合わせるそれぞれの資料を準備します。 積載物がある場合は、積載後の車両の寸法や重量を把握することも大切です。荷物の寸法だけを伝えても、積載した状態の全体像が分からなければ、申請内容を具体化できません。荷主や現場担当者にも確認し、未確定の数値は推測で埋めないようにします。 例えば、工場から建設現場へ重機を運ぶ計画で、現場直前の道路が未収録と表示されたとします。この場合、現場の住所だけでなく、使用する門、直前の交差点、連結車両と積載後の寸法・重量をまとめると、どの区間と車両を確認すべきかが明確になります。別の門や経路を検討するときも、現場側と車両側の両方の条件を確認します。 個別の確認と申請日程を見込む 未収録の区間は、申請後に道路管理者による確認が必要になるため、結果が分かるまでの時間を考慮しましょう。道路管理者への確認や関係する管理者間の協議、申請内容の補正が必要になると、想定より時間を要することがあります。 いつ許可されるかは、経路や車両、道路管理者の確認状況などによって異なります。搬入日から逆算し、資料収集、経路の整理、申請、審査、許可後の配車調整を含めて余裕を持たせることが大切です。申請したことを理由に、許可前の通行を予定しないようにしましょう。 システムの経路探索で候補が表示されても、その結果だけで通行が許可されたことにはなりません。目的地まで実際につながっているか、希望する出入口に入れるかを確認し、正式な申請と審査を経た結果を確認してください。 経路に迷ったときの相談と準備 自社で位置や道路名、車両情報を確認でき、申請方法も把握している場合は、自社で手続きを進めることもできます。一方、未収録区間の場所が分からない、現場への進入経路が複数ある、車両の組合せや積載状態が複雑といった場合には、早めの相談が役立ちます。 相談時には、車検証や車両諸元などの車両に関する資料、積載物の情報、出発地と目的地、使用予定の出入口、希望経路、運行予定日を準備します。画面上の表示を保存できる場合は、未収録と表示された位置も分かるようにしておくと、確認を進めやすくなります。 当事務所では、特殊車両通行許可について、通行経路の選定や書類作成、電子申請を取り扱っています。経路の情報整理から相談することで、運行計画に必要な確認事項を把握しやすくなります。初回相談は予約制で、電話または問い合わせフォームから連絡できます。 まとめ 未収録道路の表示は、審査に必要な道路情報が道路情報便覧に収録されていないことを示し、それだけで通行の可否を決めるものではありません。該当区間を特定し、現場の出入口と車両・積載物の情報をそろえたうえで、道路管理者による確認を含む申請の準備を進めましょう。 搬入直前に経路や車両が変わると、確認に必要な資料や手続きも変わります。運行予定が決まった段階で荷主や現場担当者と情報を共有し、不明点を早めに整理することが、無理のない運行計画につながります。
- 許認可・届出
-

特殊車両通行許可と制限外積載許可の違いは?運行前に確認したい手続き
「特車の許可は取ったので、長い荷物を積んで走っても問題ないはず」。大型の機械や長尺物を運ぶとき、このように考えていないでしょうか。 特殊車両通行許可と制限外積載許可は、根拠となる法律も、確認する内容も異なる手続きです。運行の内容によっては両方が必要になり、片方の許可がもう片方の代わりになるわけではありません。 出発直前に手続きの不足が分かると、車両や納品日の調整が必要になることもあります。運送業や建設業の方々のために、これら二つの許可の違い、相談前に整理しておきたい情報をについて解説します。 二つの許可は、何を確認する制度なのかが異なる 特殊車両通行許可は、道路法に基づく道路管理者の許可です。道路や橋を守り、交通の危険を防ぐため、車両の大きさ・重さと通行経路などを確認します。荷物を積んで走る場合は、車両単体の寸法だけで判断せず、積載状態を踏まえて検討することが大切です。 道路法上の一般的制限値には、幅2.5メートル、長さ12メートル、高さ3.8メートル、総重量20トンなどがあります。ただし、指定道路や車両の種類による特例があり、軸重など別の基準もあります。この数字だけを見て、許可の要否を決めることはできません。また、条件を満たす車両・経路では、特殊車両通行確認制度を利用できる場合もあります。 一方、制限外積載許可は、道路交通法に基づく警察署長の許可です。分割できない貨物を運ぶなど、やむを得ず積載物の大きさや積載方法の制限を超えて運行する場合に求められます。車体からどれだけはみ出すかといった、荷物の載せ方がとても重要になってきます。 荷物のはみ出しが問題となる場合は、特車の許可とは別に警察への確認が必要となります。「大型車だから両方の許可が必要だ」とか、「特車の許可があるから警察の許可は必要ない」と決めつけず、状況に応じてどの許可が本当に必要となるのか確認することが重要です。 判断の出発点は、荷物を積んだ状態を具体的に想定すること まず第一に考慮したいのは、実際に走る車両と荷物の組合せです。車検証だけでは、輸送における全体の寸法や、荷物が突き出す位置までは分かりません。 車両については、トラクタとトレーラーの組合せ、車体の寸法、重量などを確認します。貨物については、品名、長さ・幅・高さ、重量、分割できるかどうかを整理してください。さらに、どの位置にどの向きで載せるのかを決め、積載状態での全長・全幅・全高や前後左右へのはみ出しを図で示します。 福岡県警察の案内では、普通自動車以上の自動車について、積載物の長さ・幅や、車体の前後左右からのはみ出しに関する制限が示されています。「荷台から少し出るだけだから大丈夫」という見た目の判断ではなく、車体寸法と積載物の寸法を照らし合わせる必要があります。 また、積載物の寸法に余裕があっても、重量や各車軸への荷重の確認は別に必要です。二つの許可を取得すれば、車検証上の最大積載量を超えて自由に運べるわけではありません。重量の問題とはみ出しの問題は根本的に別の問題であり、はみ出しに関する許可をもって重量に関する問題が解決するわけではない、という視点が求められます。 積載方法が未定なら、申請書だけ先に完成させようとせず、荷主や配車担当者と運送条件について話を詰めるようにしましょう。その結果、荷物を回転させる、別の車両に替えるといった変更が、必要な手続きの判断に影響する場合もあるからです。 特車の許可証と実際の輸送計画を照合しましょう すでに特殊車両通行許可を取得している場合も、今回の運行をその許可で扱えるか確認してください。許可証が手元にあったとしても、今回の車両・積載状態・経路が許可の範囲に収まるとは限らないからです。 使用車両、通行経路、有効期間、許可された寸法・重量、付された条件を、実際の計画と照合します。以前と同じ納品先でも、車両の組合せや積む機械が変われば、確認する内容も変わります。車両番号だけ一致していることを理由に判断しないようにしましょう。 仮に、同じトレーラーを用いて、以前よりも長い一体型の設備を運ぶ場合、配送先は同じでも、積載状態の全長や後方へのはみ出しが増える可能性があります。この場合は、既存の特車の許可の範囲を確認するとともに、制限外積載許可の要否も視野に入れて検討します。 また、現場の搬入口が変われば、最後に通る道路が変わることもあります。地図アプリが示した迂回路を、そのまま許可済みの経路として使えるわけではありません。荷主から伝えられた搬入口まで、本当に経路がつながっているか確認するようにしましょう。 当事務所では、特殊車両通行許可に関する書類作成・申請代行に加え、複雑な通行経路の選定や電子申請の支援をご案内しています。既存の許可証と変更点を一緒に相談いただくと、今回の輸送計画で確認すべき事項を整理しやすくなります。 申請先と準備資料を分け、およその日程を組み立てる 特殊車両通行許可は道路管理者への手続き、制限外積載許可は警察への手続きです。同じ輸送に関する申請でも、窓口は一つではありません。 福岡県警察は、制限外積載許可の申請先として、出発地を管轄する警察署の交通課などを案内しています。事業所の所在地で申請先を決めるのではなく、『実際の輸送の出発地』を確認します。交番で扱える範囲は積載物の長さに関する許可に限られるため、内容に応じて警察署へ確認することが大切です。 相談に向けては、車検証や車両諸元が分かる資料、貨物の寸法・重量の資料、積載状態の図、出発地から目的地までの経路、運行予定日、現在の許可証をそろえると話が進みやすくなります。これらは相談のための基礎資料です。正式な添付書類や提出方法は、それぞれの申請先の案内に従って確認してください。 図面では、貨物そのものの長さと、積載後の全長を混同しないようにします。資料によって寸法が違う、車両の組合せが古いままといった状態では、申請内容の修正を余儀なくされます。荷主、運行管理者、申請担当者が同じ資料を使えるよう、作成日や変更点を共有しておくことがポイントです。 必要な許可が複数ある場合は、それぞれの審査・受領まで見込んで日程を組みます。申請しただけで運行できるとは考えず、必要な手続きが完了し、実際の計画に合う条件が確認できてから出発を判断してください。 手続きの切り分けに迷うときは、配車を確定する前に相談を 自社で必要な制度を判断でき、申請先との確認や資料作成も行える場合は、自社で手続きを進めることも可能です。一方、長尺物を初めて運ぶ、既存の特車の許可が使えるか分からない、車両や搬入口を変更する場合は、配車を確定する前の相談が役立ちます。 相談の際は、「特車の申請をお願いしたい」と伝えるだけでなく、①何を、②どの車両で、③どこからどこへ、④いつ運ぶのか、を伝えましょう。積載条件と経路を併せて確認することで、書類を作る前に整理すべき点が見えてきます。 特殊車両通行許可と制限外積載許可は、どちらか一方を取得すればすべて解決する関係ではありません。車両、貨物、積載方法、経路を具体化し、それぞれに必要な手続きを確かめることが、無理のない運行準備につながります。
- 許認可・届出
-

Gマーク申請は年1回・2週間だけ。準備で見落としがちな5つのポイント【お客様の声つき】
Gマーク、そろそろ取りたい。でも何から手をつければいいのか分からない。この記事は、そんな運送会社の経営者さん・運行管理者さんに向けて書きました。 Gマーク(安全性優良事業所)を申請できるのは、毎年7月の約2週間だけです。しかも点数の多くは、申請書を書く日ではなく、それまでの点呼や記録、巡回指導の結果で決まります。7月に入ってから慌てても、過去の記録は増やせません。 前半でGマークの条件と点数のしくみを整理し、後半で準備のときにつまずきやすい5つのポイントをまとめました。最後に、運送会社向け「Gマーク準備チェックリスト」の確認をお手伝いした日本電興株式会社様の感想も載せています。 Gマークとは?取ると何が変わるのか Gマークは、全日本トラック協会が「安全への取り組みがしっかりしている営業所」を認定する制度です。正式には「安全性優良事業所」といい、認定されるとトラックの車体や名刺、ホームページにGマークを表示できます。荷主さんから見ると「この会社は安全面で第三者のお墨付きがある」という目安になります。 申請できる営業所の条件 Gマークは会社単位ではなく「営業所単位」で申請します。主な条件は次のとおりです。 ・一般貨物自動車運送事業(または特定貨物)の営業所であること ・その営業所で運輸開始から3年以上たっていること ・その営業所に配置している事業用自動車が5両以上あること 数えるのは会社の年数ではなく、営業所の年数です。本社が20年やっていても、去年つくった営業所はまだ申請できません。 評価は100点満点で「80点以上」 評価は3つのテーマに分かれていて、それぞれの基準点をクリアしたうえで、合計80点以上が必要です。 評価テーマ 配点 基準点 安全性に対する法令の遵守状況 40点 32点以上 事故や違反の状況 40点 21点以上 安全性に対する取組の積極性 20点 12点以上 合計 100点 80点以上 引用元:全日本トラック協会「安全性優良事業所(Gマーク)認定制度」の評価基準をもとに作成 ※評価項目や基準は見直されることがあります。申請前に必ずその年度の申請案内を確認してください。 認定されると受けられる主なメリット ・行政処分の違反点数が早く消える(通常3年のところ、2年間新たな点数がなければ消去) ・カメラ付き機器などを使ったIT点呼ができる ・特殊車両通行許可や基準緩和の有効期間が延びる場合がある ・特定技能(自動車運送業・トラック)の受け入れ要件を満たす方法のひとつになる ・トラック協会の助成で優遇される場合がある 有効期間は、新規認定で2年、1回目の更新で3年、2回目以降の更新で4年です。更新を忘れると失効し、次は新規扱いからやり直しになります。 申請は毎年7月の約2週間だけ Gマークの申請受付は年に1回です。2026年度は7月1日から14日までの2週間、ウェブ上で受け付けが行われました。申請は全国で8,215事業所。そのうち新規申請が1,278事業所、更新申請が6,937事業所でした。審査を経て、12月中旬に認定が公表される予定です。 引用元:LNEWS「Gマーク申請、2026年度は8215事業所」 https://www.lnews.jp/2026/07/s0722101.html 申請書は2週間あれば書けます。でも、点呼記録や教育の記録は2週間ではつくれません。Gマークの準備は、前の年から始まっています。 準備で見落としがちな5つのポイント ①営業所ごとに条件を確認していない 先ほどのとおり、Gマークは営業所単位です。「会社としては10年やっている」でも、申請したい営業所が移転したばかりだったり、配置車両が4両だったりすると、そもそも申請できません。まずは営業所ごとに「運輸開始から3年」「5両以上」を確認しましょう。 ②巡回指導の結果がそのまま点数になる 40点ある「法令の遵守状況」は、トラック協会の適正化事業実施機関による巡回指導の結果をもとに評価されます。巡回指導で指摘された項目をそのままにしていると、ここで大きく点を落とします。指摘を受けたら、改善報告まで終わらせておく。地味ですが、点数に直結するところです。 ③「やっている」と「記録が残っている」は別もの 点呼も安全教育も、やっていても記録がなければ点になりません。点呼記録や運転日報(業務の記録)は1年、乗務員等台帳や指導・監督の記録は3年など、書類ごとに保存期間が決まっています。抜けや押印漏れ、日付の空白がないか。月に1回、見直す日を決めておくだけでもだいぶ違います。 ④「取組の積極性」は日頃の積み重ね 20点の「安全性に対する取組の積極性」は、安全方針の掲示、事故防止の会議、安全教育の計画、健康管理などの取り組みが対象です。申請の直前にまとめてそろえようとしても、会議の記録や教育の実績は日付をさかのぼれません。年間計画をつくり、毎月ひとつずつ実施して記録を残す。これを1年続ければ、申請のときに困りません。 ⑤使っているチェックリストが最新の基準と合っているか ネットや業者さんから手に入るチェックリストは便利です。ただし、作られた時期が古いと、評価項目の見直しに追いついていないことがあります。使う前に、その年度の申請案内と一度見比べてください。 お客様の声:日本電興株式会社 代表取締役 下川慎二様 日本電興株式会社様(東京都千代田区)は、デジタルタコグラフなど車載機の取り付けを手がける会社です。お客様の運送会社に配る「Gマーク準備チェックリスト」の内容確認をご依頼いただき、修正点を修正指示書にまとめて納品しました。修正後のチェックリストは、運送会社様への配布が始まっています。 「全日本トラック協会の申請案内と一項目ずつ照らし合わせ、配点の誤りだけでなく、認定要件の抜けや、当社がどこまで関わってよいかの線引きまで具体的に示していただきました。納期より早く届き、修正後の確認も迅速でした。安心してお客さまにお渡しできる資料になりました。」 (日本電興株式会社 代表取締役 下川慎二様) ※ご本人の了承を得て、会社名・お名前を掲載しています。 Gマークの準備でお困りの方へ 私の現場経験は28年あり、運送の仕事では点呼を受ける側でした。忙しい日ほど記録があと回しになる感じは、よく分かります。 Gマークは、その毎日の積み重ねを、荷主さんや取引先に目に見える形で示せる制度です。点数の大半は申請の前に決まるので、今日の点呼と記録が、そのまま来年の点数になります。 「うちの営業所は申請できる?」「巡回指導で指摘された所をどう直せばいい?」「自社のチェックリストを見てほしい」など、Gマークの準備でお困りのことがあれば、お気軽にご相談ください。運行管理者(貨物)の資格を持つ行政書士として、現場の目線でいっしょに準備を進めます。
- 許認可・届出
-

建設業許可の技術者が退職したら?後任の確認と変更届の進め方
建設業許可で届け出ている技術者から退職の申し出があったとき、「資格を持つ社員に交代すればよい」「次の更新までに変更すればよい」と考えていないでしょうか。 営業所に置く技術者は、許可を取得するときだけでなく、取得後も必要な存在です。後任を決める際には、担当する業種の資格・経験に加え、勤務の実態や交代する日付も確認しなければなりません。 退職が決まったら、まず現在の届出内容と後任候補を照合し、要件が途切れないよう準備することが大切です。この記事では、北海道知事許可を受けている建設業者を主に想定し、確認の順序と変更届の注意点を解説します。 営業所の技術者は、許可の維持にも必要です 建設業許可では、営業所ごとに、許可を受ける業種に対応した資格や経験を持つ技術者を専任で置く必要があります。従来の「専任技術者」は、現在、一般建設業では「営業所技術者」、特定建設業では「特定営業所技術者」と呼ばれ、両者をまとめて「営業所技術者等」といいます。 この人が退職し、要件を満たす後任がいなければ、関係する業種について許可の維持に問題が生じます。許可通知書に有効期限が残っていても、それだけで安心はできません。 また、現場に配置する主任技術者・監理技術者とは、制度上の役割が異なります。営業所技術者等と現場の技術者を兼ねられる制度もありますが、一定の条件があります。「現場を任せている社員だから、営業所の後任にもできる」と一律には判断しないでください。 まずは申請書の控えや直近の変更届を確認し、退職する人が、どの営業所で、どの業種を担当しているのかを把握しましょう。日常の役職名だけでは、許可上の担当範囲は分かりません。 後任候補は、業種・資格・勤務実態を確認しましょう 資格の名称だけでなく、担当できる業種を照合します 後任候補に国家資格があっても、現在の許可業種をすべて担当できるとは限りません。資格の種類や区分と、許可を維持したい業種を一つずつ照合します。一般建設業と特定建設業でも要件が異なるため、前任者と同じ役職に就けるだけでは足りません。 さらに、営業所技術者としての資格の数がとても多く、また、資格を持っているだけで営業所技術者の資格を満たすものと、資格プラス実務経験年数が必要なものがありますので注意が必要です。これは手引きの中に数ページにわたって表が掲載されていますのでよく確認しなければなりません。ご不明な場合は、管轄の振興局建設指導課などに相談するか、専門家への相談をお勧めします。 例えば、前任者が複数の業種を担当している一方、後任候補の資格では、そのうち一部の業種しか担当できない場合があります。この場合は、別の適格者を組み合わせて配置できるかなどを検討する必要があります。 資格証明書は、本人の申告だけで判断せず、写しを取り寄せて確認しましょう。氏名変更がある場合や、資格と実務経験を組み合わせる場合には、追加の資料が必要になることもあります。 実務経験を使って要件を満たす場合は、「長年働いている」という説明だけでは足りません。対象業種の工事に、いつからいつまで、どのように関わっていたのかを整理し、証明に必要な資料が残っているかを確認します。 必要な経験年数や証明方法は、学歴、資格、業種などによって変わります。一律に「資格がなければ必ず10年」と考えず、適用できる要件を確認してください。以前の勤務先での経験を使う場合は、証明への協力や資料の確保に時間がかかることもあります。 つまり、建設業許可において営業所技術者の実務経験年数10年を証明する書類や資料を収集するのがもっとも困難なミッションの一つだと考えて差支えありません。専門家に依頼しても割増料金の対象となる確率が高い業務です。ですので前述のとおり安易に10年で、と考えるのは危険とも言えます。 さらに、後任がその営業所で専任として勤務できるかも確認します。雇用関係だけでなく、実際の勤務状況や、他社・他営業所での役割などを整理することが必要です。資格を借りるだけの名義上の配置では、要件を満たしません。 当事務所では、建設業許可の申請に加え、技術者の実務経験の証明についてもご相談を受けています。経験を使うことを検討している方は、資料をすべて集め終えてからではなく、どの経歴を確認する必要があるのかを整理する段階でご相談いただけます。 退職日と交代日を整理し、届出の期限を確認します 後任の要件が確認できたら、前任者の退職日と後任者が担当する日を整理します。書類を提出する日だけでなく、実際に要件を満たす人が配置されているかが重要です。書類上の日付だけを合わせることはできません。 退職前に有給休暇の取得を予定している場合や、後任が別の会社から転職してくる場合は、雇用と勤務の実態を踏まえた確認が必要です。担当者が不在となる期間を生じさせないよう、早めに許可行政庁へ相談しましょう。 北海道の案内では、営業所の技術者の変更や、技術者を欠いた場合の届出は、事実発生後2週間以内の事項として示されています。一方、変更届出書のうち様式第22号の2については、30日以内とする注記があります。 そのため、「変更届は全部30日以内」「交代なら書類は全部2週間以内」とひとまとめにせず、変更の内容と提出する様式ごとに期限を確認することが大切です。期限まで待つのではなく、退職予定が分かった時点で必要書類を調べておくと、準備の遅れを減らせます。 なお、届出期限は、後任がいなくてもその期間は許可要件を満たしていると扱われる猶予期間ではありません。すでに技術者が不在となっている場合は、後任探しだけを続けず、速やかに許可行政庁へ事実関係を伝えてください。 後任が見つからないときは、契約と許可業種も確認します 適格な後任がいない場合は、要件を欠いたことの届出や、関係する業種の廃業など、必要な対応を個別に確認します。新たな人を採用すれば過去の不在期間も解消できる、とは考えないでください。 一人の技術者が複数業種を担当していた場合や、複数の営業所がある場合は、会社全体への影響を整理します。どの業種・営業所の体制が維持でき、どこに要件の不足があるのかを分けて確認する必要があります。 例えば、土木工事と舗装工事を担当していた人が退職し、後任候補が片方の業種の要件しか満たしていないとします。このときは、担当できる業種が残るからといって、従来どおりの許可内容で営業を続けられるとは限りません。ほかの技術者の配置状況も含めて、許可の扱いを確認します。 受注済みの工事がある場合は、契約日、工事の種類、施工の進み具合などを整理してください。既存契約の工事を続けられるかと、新しい契約を締結できるかは、分けて確認する必要があります。「退職したので全工事を直ちに中止」「契約済みなら何も確認せず続けてよい」のいずれも、自己判断は避けましょう。 相談するときは、現在の許可と後任の資料をそろえましょう 相談の際は、現在の許可通知書、許可申請書と変更届の控え、前任者の担当業種、退職予定日、後任候補の資格証明書などを準備すると確認が進めやすくなります。実務経験を使う予定なら、職歴や工事内容が分かる手元の資料も役立ちます。 書類の種類や後任の要件が明確で、提出先の案内に沿って準備できる場合は、自社で届出を行う方法もあります。一方、複数業種に影響する場合、実務経験の証明が必要な場合、交代まで時間がない場合は、行政書士に相談することで、確認すべき事項と手続きの順序を整理しやすくなります。 当事務所では、地元の建設業者を中心に、新規・更新の許可申請や、決算報告、経営事項審査、入札資格審査申請を支援しています。技術者の変更についてご相談いただく際も、現在の許可内容や今後の申請予定をお伝えいただくことで、関連して確認したい事項を整理しやすくなります。 ご相談では、お話を丁寧に伺い、対応の進め方をご提案します。初回相談は60分無料で、正式なご依頼の前にお見積りをご案内しています。必要な支援の範囲や費用を確認してから、ご依頼を検討していただけます。 技術者の退職への対応は、後任の名前を届け出るだけで終わるとは限りません。上富良野町で建設業を営む方も、退職予定が分かったら、まず担当業種・後任の要件・交代日を確認しましょう。必要な資料や進め方に迷う場合は、手元の申請書の控えをもとにご相談ください。 最後になりますが、ここまで読んでくださった方は、建設業において営業所技術者がいかに大切な存在であるかわかっていただけたと思います。その企業にとって技術者は「宝」といっても良いでしょう。ただ資格がある者を後から雇い、後任に据えればよいと安易に考えることなく、企業としての人材育成なども含めた人事管理なども大切になってきます。私は建設業を応援する行政書士として微力ながら業界の発展にお役に立てるよう今後も情報発信をしていきたいと思います。 対応エリア 上富良野町、中富良野町、富良野市、美瑛町、旭川市、芦別市、赤平市、滝川市など
- 許認可・届出