士業コラム
運送業許可を取りたい人へ。行政書士・社労士・税理士・司法書士、誰に何を頼む?

運送業許可を取りたい人へ。行政書士・社労士・税理士・司法書士、誰に何を頼む?

トラック運送業(一般貨物自動車運送事業)の許可について調べていると、行政書士のほかに、社労士、税理士、司法書士の名前も出てきます。誰に何を頼むのか、どこから手をつけるのかが分からないまま、物件探しやトラック選びを先に進めてしまう方もいます。

運送業の許可では、車庫、資金、役員の試験、ドライバーの社会保険まで見られます。この記事では、許可の要件と申請の流れを押さえたうえで、4つの士業がそれぞれ何を受け持つのかを表で整理しました。順番を間違えて許可が遅れる例も載せています。

これから会社をつくって運送業を始める方、白ナンバーで運んでいて緑ナンバーに切り替えたい方は、物件の契約や車両の購入の前に読んでください。

運送業許可を取るまでに関わる士業は4つ

運送業を始めるには、運輸支局への許可申請のほかに、会社の登記、社会保険の加入、開業後の税務申告が必要です。手続きごとに担当の士業が決まっていて、法律で「その資格がないとできない」とされている手続きもあります。

運送業の開業で各士業に頼むこと

士業 運送業の開業で頼むこと
行政書士 一般貨物の許可申請、事業計画・資金計画の作成、運輸開始までの届出
社会保険労務士 社会保険・労働保険の加入手続き、36協定届、就業規則
税理士 開業後の会計・決算・税務申告
司法書士 会社の設立登記、目的・役員・本店の変更登記
  • ※事故の示談や取引先との争いになったときは、弁護士に相談します。

行政書士は許可申請の担当

緑ナンバーのトラックで他人の荷物を運び、運賃をもらう事業には、貨物自動車運送事業法の許可が要ります。申請書と添付書類を作って運輸支局に出すのが、行政書士の仕事です。

許可の主な要件

一般貨物自動車運送事業の主な許可要件

項目 基準の内容
車両 営業所ごとに5台以上(けん引車と被けん引車は合わせて1台)
営業所 使う権利があり、都市計画法・農地法・建築基準法などに違反していない
車庫 原則として営業所に併設し、計画する車両がすべて入る
休憩・睡眠施設 ドライバーが休める施設を用意する
運行管理体制 運行管理者と整備管理者を選任する
資金 事業開始に必要な資金の100%以上の自己資金を、申請日から許可まで持ち続ける
法令試験 常勤の役員が試験に合格する

引用元:東北運輸局 公示「一般貨物自動車運送事業及び特定貨物自動車運送事業の許可申請、事業計画変更認可申請等の処理方針について」、中国運輸局「一般貨物運送事業 新規許可申請における所要資金及び自己資金の注意点について」

  • ※細かい取り扱いは、運輸局ごとに異なる部分があります。

申請から運輸開始までの流れ(関東運輸局の場合)

  • ①営業所のある都県の運輸支局に申請書を出す
  • ②役員が法令試験を受ける(奇数月に実施、30問中8割の正解で合格、1回の申請で2回まで)
  • ③書類の審査を受ける(不備があれば補正する)
  • ④許可が出たら登録免許税12万円を納める
  • ⑤運行管理者・整備管理者を選任し、車両を緑ナンバーで登録する
  • ⑥運輸開始届と運賃料金設定届を出す(運輸開始は許可から1年以内)

引用元:関東運輸局「一般貨物自動車運送事業の申請から許可までの流れ」https://wwwtb.mlit.go.jp/kanto/content/000263002.pdf

申請してから許可が出るまでは、3〜5か月ほどかかるのが一般的です。法令試験に1回落ちると、そのぶんさらに延びます。2回とも不合格だと、申請は却下か取下げになり、出し直しです。

行政書士に頼んで最初に決めるのは、書類の中身より準備の順番です。車庫の候補地が基準に合うか、資金がいくら必要か、役員が何月の試験を受けるかを決めないと、申請日も運輸開始日も決まりません。

社会保険労務士は人を雇う手続きの担当

ドライバーを雇うなら、社会保険(健康保険・厚生年金保険)と労働保険(労災保険・雇用保険)に入ります。法人の場合、健康保険と厚生年金保険は、社長1人の会社でも加入が必要です。運送業の許可でも社会保険等への加入は要件になっていて、運輸開始の前に加入しているかを報告します。

この加入手続きを会社の代わりにすることや、労働者名簿・賃金台帳などの帳簿を作ることは、社会保険労務士法で社労士しかできない業務です。行政書士が代わりに出すことはできません。

運送業では、ドライバーに残業をしてもらうための36協定届や、拘束時間のルールに合わせた勤務表づくりも必要になります。2024年4月からは、トラックドライバーの時間外労働に年960時間の上限がかかっています。運輸開始の日が見えた時点で社労士に連絡しておけば、採用と保険の手続きが間に合います。

税理士はお金と税金の担当

許可の申請では、車両費、人件費、燃料費、保険料などを積み上げて「所要資金」を出し、それ以上の預金があることを残高証明で示します。残高証明は、申請のときと許可の前の2回出します。

申請してから許可が出るまでの間に、開業準備で預金が減って所要資金を下回ると、許可は出ません。

所要資金の計算は申請書類の一部なので、行政書士が作ります。一方で、開業後の会計、決算、税務申告は税理士の担当で、税務書類の作成や申告の代理は税理士しかできません。融資で資金をそろえるなら、返済の計画も含めて、早めに税理士と話しておいてください。

司法書士は会社の登記の担当

これから会社をつくる場合、法務局への設立登記は司法書士に頼みます。注意したいのは、定款の「目的」です。目的に貨物自動車運送事業が入っていないと、許可の申請の前に目的を変える登記が要り、そのぶん日数と費用がかかります。

許可を取ったあとも、役員や本店の所在地が変われば登記が必要です。運送業ではこのとき運輸支局への届出も要るので、司法書士と行政書士の両方の手続きになります。

順番を間違えて許可が遅れる4つの例

許可の要件を知らないまま準備を進めると、あとからやり直しになることがあります。起きやすいのは次の4つです。

先に進めてしまいやすいことと、その前に確かめること

先にやったこと 起きること その前に確かめること
車庫・営業所の物件を契約 市街化調整区域や農地で、基準に合わず使えない 都市計画、農地、前面道路の幅
会社を設立 目的に運送事業がなく、変更の登記が要る 定款の目的の書き方
トラックを購入 預金が減り、自己資金の基準を下回る 所要資金の額と購入の時期
ドライバーの採用を決定 試験や審査が延び、入社を待ってもらうことになる 試験の月から逆算した運輸開始の時期

4つとも、許可の要件を先に確かめていれば防げます。車庫と営業所は、契約したあとで使えないと分かっても、解約に違約金がかかることがあります。

相談の順番は、許可から逆算する

4つの士業のうち、開業の日程を決めるのは許可です。車庫、資金、役員の試験、ドライバーの採用の時期は、どれも許可の要件と審査期間から逆算します。最初に運送業の許可を扱う行政書士に相談しておけば、社労士・税理士・司法書士にいつ頼めばいいかも決まります。

行政書士を選ぶときは、次の3つを聞いてみてください。

  • ①運送業の許可を専門、または主な業務にしているか
  • ②営業所や車庫の候補地を、契約の前に見てくれるか
  • ③社会保険や登記など、ほかの士業の手続きが要る時期も教えてくれるか

当事務所は、運送業の許可と法令対応を専門にしている行政書士事務所です。現場で28年(うち運送業15年)働いてきた経験と、運行管理者(貨物)の資格をもとに、許可を取ったあとの点呼や運行管理まで考えて準備を組み立てます。新規許可のご依頼には、許可後1年間のLINE・メールでのご相談がついています。

車庫や営業所の候補が見つかったら、契約の前に、住所と図面を公式LINEで送ってください。基準に合いそうかどうかを無料でお返事します。公式LINEは、事務所のホームページから登録できます。LINEを使っていない方は、メール(info@aobato-office.com)で送っていただいてもかまいません。神奈川・東京を中心に、全国からオンラインでご相談を受けています。

本記事は、公開日時点の法令・制度および関連情報に基づいて作成しています。
法令改正等により内容が変更される場合があります。
個別にご相談につきましては、行政書士あおばと合同事務所までお問い合わせください。

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