士業コラム
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契約社員から無期転換を申し込まれたら 中小企業の確認事項と対応の進め方
「長く働いている契約社員から、無期雇用に変えてほしいと言われた」「正社員の採用枠がなくても、応じなければならないのだろうか」 有期契約を繰り返し更新してきた会社では、このような相談が生じます。 無期転換は、会社が採用試験などで正社員を選ぶ制度とは仕組みが異なります。東京都豊島区の中小企業経営者に向けて、申込みを受けたときの確認手順と、転換後の働き方を整理するポイントを解説します。 無期転換は会社の規模や社員の呼び名で決まりません 無期転換ルールは、同じ使用者との間で有期労働契約が通算5年を超えて更新された場合に、本人の申込みによって、期間の定めのない労働契約へ転換する制度です。中小企業にも適用され、契約社員だけでなく、契約期間を定めて働くパートやアルバイトも対象になります。 まず確認したいのは、本人の呼び名ではなく、契約期間に定めがあるか、どの会社と契約しているか、契約を何回更新してきたかです。同じ会社の中で店舗や部署が変わっただけで、当然に通算期間がゼロに戻るとは考えないようにしましょう。 また、無期転換は自動的な正社員登用と同じではありません。主に変わるのは契約期間の定めです。会社の正社員登用制度が別にあっても、その選考に合格していないという理由だけで、法律上の無期転換の申込みを拒むことはできません。 過去の契約書を並べて申込権の発生時期を確認します 本人から申込みがあったら、初回から現在までの雇用契約書や労働条件通知書を集め、各契約の開始日と終了日、契約の空白期間を整理します。通算の対象は、2013年4月1日以降に開始した有期労働契約です。 「入社から丸5年が過ぎるまで申込みはできない」と覚えると、判定を誤る場合があります。例えば、3年契約を1回更新して通算6年となる場合は、原則として2回目の契約期間の初日から申込権が生じます。契約期間を通算して判定するため、実際に6年間勤務し終えることを待つ仕組みではありません。 1年契約を途切れなく更新する通常の例では、6年目の契約期間中に申し込めます。「5回目の契約」と「5回更新した後の契約」を混同しないよう、契約ごとに番号を付けると確認しやすくなります。 途中に契約していない期間がある場合は、一定の空白期間によって、その前の契約期間を通算しない取扱いがあります。直前の通算契約期間によって必要な空白期間が変わるため、一律に「半年空けばよい」と判断せず、契約履歴を基に確認しましょう。 定年後の継続雇用などには、認定を受けた事業主に関する特例もあります。ただし、年齢が高い、再雇用という名称であるといった事情だけで、当然に対象外になるわけではありません。特例を使っている会社は、認定内容と本人への適用を別途確認してください。 要件を満たす申込みを会社の承認待ちにしないようにします 無期転換申込権がある本人が、現在の有期契約が満了する日までに申し込むと、会社は承諾したものとみなされます。会社が承認通知を出すまで効力が生じないという制度ではありません。 実際に無期労働契約で働き始めるのは、申込み時の有期契約が満了する日の翌日です。仮に、2026年4月1日から2027年3月31日までの1年契約の初日に申込権が発生し、2026年10月に本人が申し込んだ場合、無期での勤務開始日は原則として2027年4月1日になります。 申込みを受けた担当者は、受領日、本人の意思、現在の契約満了日、無期での勤務開始日を記録します。口頭の申込みでも成立し得るため、「会社指定の用紙を出していないから申込みではない」と即断しないことが大切です。行き違いを防ぐため、本人と内容を確認し、申込書や受領通知などで記録を残す運用にするとよいでしょう。 上司が受けた相談を人事担当者へ伝えず、契約満了が近づいてから経営者が知ると、必要な準備が遅れます。相談の段階でも、誰に報告するかを決めておきましょう。要件に疑問がある場合は、本人に断る前に契約履歴を調べ、判断に迷う事項を専門家に確認します。 転換後の賃金や勤務時間を具体的に確認します 無期転換後の労働条件は、契約期間を除き、原則として直前の有期契約と同じです。ただし、就業規則などに別段の定めがある部分は、その内容を確認する必要があります。 例えば、週3日・1日6時間で働いていたパートが無期転換したからといって、当然に週5日・1日8時間の勤務になるわけではありません。本人が希望する「無期雇用」と、勤務時間や職務も変更する「正社員登用」を分けて説明すると、認識の違いを整理できます。 確認するのは、賃金、勤務時間、休日、仕事内容、勤務地、適用する就業規則などです。定年の定めについても、どの規則が適用されるかを明確にします。有期契約社員向けの規則しかない会社は、無期転換後にもそのまま適用できる内容か、期間満了に関する条項が残っていないかを点検しましょう。 転換を機に手当を減らしたり、本人が望まない勤務日数の増加を当然の条件にしたりすることは避けてください。労働条件を変更する場合は、変更内容と根拠、本人との合意、就業規則との関係などを別に検討します。無期転換への対応と、会社が希望する条件変更を一つの手続きにまとめないことが大切です。 申込みを待たずに必要な明示と更新管理を行います 2024年4月以降、無期転換申込権が発生する有期契約の更新時には、無期転換を申し込めることと、無期転換後の労働条件を明示する必要があります。初めて権利が発生したときだけでなく、申込みをしないまま有期契約を更新した場合も、その後の更新の都度、明示が必要です。 本人から質問がないことを理由に、この案内を省かないようにしましょう。契約更新の管理表には、満了日だけでなく、通算契約期間、申込権の発生時期、明示の実施日を設けると、必要な対応を確認しやすくなります。 また、有期契約の締結・更新時には、更新上限の有無と、上限がある場合の内容も明示します。最初の契約の後に上限を新設・短縮する場合は、その理由をあらかじめ説明する必要があります。ただし、説明をすれば、どのような上限設定や雇止めでも認められるわけではありません。 「無期転換を避けたいので次回で契約を終える」という判断には慎重な検討が必要です。反復更新の経緯や、本人に更新を期待する合理的な理由があるかによっては、雇止めが認められない場合があります。契約書の満了日だけで判断せず、これまでの説明や運用も確認しましょう。 契約履歴と転換後の規程をそろえて相談しましょう 無期転換への対応は、申込書を受け取るだけでは終わりません。申込権の有無と転換日を確認し、本人に適用する条件を明らかにして、勤務管理や書類にも反映させます。契約履歴が整理され、条件にも食い違いがなければ、社内で手続きを進められる場合もあります。 一方、古い契約書が見つからない、契約の空白期間がある、正社員と同じ条件になるのか本人と認識が異なる、更新終了も検討しているといった場合は、早めに相談するとよいでしょう。過去と現在の契約書、就業規則、更新時の説明記録、本人からの申込み内容を用意すると、確認が進めやすくなります。 東京都豊島区の城田社会保険労務士事務所では、人事・労務全般の相談や就業規則の作成・変更を取り扱い、労務相談のみの契約にも対応しています。手続きを社内で行っている会社も、本人へ回答する前に、契約履歴と現在の規程を基に対応を整理することができます。無期転換の申込みを受けた経営者の方は、現在の契約満了日と困っている点を具体的に伝えてご相談ください。
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健康診断で要再検査の社員がいたら?会社が進める受診勧奨と就業上の対応
「健康診断で要再検査になった社員がいるけれど、受診するよう伝えれば十分だろうか」「本人は元気だと言っているので、そのまま働いてもらってよいのだろうか」 健康診断の結果が届いた後、会社としてどこまで対応すべきか迷うことがあります。 大切なのは、本人に再検査を勧めることと、会社が医師の意見を聴いて働き方を検討することを分けて進めることです。再検査の結果を待っている間も、会社の対応をすべて止めてよいとは限りません。この記事では、一般的な定期健康診断の後に、中小企業が確認したい手順を解説します。 「要再検査」の通知を本人任せで終わらせないようにします 健康診断の「要再検査」「要精密検査」は、詳しい検査などで状態を確かめる必要があるという判定です。それだけで病名が確定したり、直ちに仕事ができないと決まったりするわけではありません。一方、自覚症状がないという理由だけで、会社が問題ないと判断することも避けましょう。 まず、会社が実施した健康診断の結果を把握し、労働者本人へ結果を通知します。そのうえで、異常所見がある方について、医師の意見を聴く対象や期限を整理します。結果の通知を健診機関に任せている場合も、誰に届いているか、会社側で必要な確認ができているかを点検してください。 一般的な定期健康診断後の再検査・精密検査は、一律に会社へ実施義務が課されているものではありません。ただし、有害業務に関する一部の特殊健康診断には別の定めがあります。ここでいう再検査と、労災保険の二次健康診断等給付も別の仕組みです。 会社に一律の再検査実施義務がないことは、結果を放置してよいという意味ではありません。受診を勧め、必要な情報を医師につなぎ、就業上の対応を検討することが重要です。 異常所見がある場合は、原則3か月以内に医師の意見を聴きます 定期健康診断で異常の所見があると診断された労働者について、事業者は、その健康を保持するために必要な措置に関する医師の意見を聴く必要があります。原則として、健康診断が行われた日から3か月以内に行い、聴取した意見を健康診断個人票へ記載します。「結果票が会社に届いてから3か月」と思い込まないようにしてください。 ここで確認するのは、現在の仕事を通常どおり続けてよいか、労働時間や仕事内容に制限が必要か、休業が必要かといった事項です。健診結果に「要再検査」と記載されているだけで、就業上の措置についての意見まで確認したことになるとは限りません。 医師へ相談するときは、健診結果に加え、実際の仕事内容、勤務時間、時間外労働、深夜勤務、身体への負担などを整理します。同じ検査値でも、デスクワークと重量物を扱う仕事では、確認すべき点が異なることがあります。医師から意見聴取に必要な業務情報を求められた場合は、速やかに提供します。 社員が再検査を予約していない場合も、何もせず期限を過ぎないようにしましょう。現在ある情報で意見聴取を進め、追加の検査結果が必要か、その間に注意すべき働き方があるかを医師に確認します。3か月は対応を待ってよい期間ではなく、緊急性がある場合には速やかな対応が必要です。 産業医の選任義務がない50人未満の事業場でも、異常所見者についての意見聴取が不要になるわけではありません。相談先に困る場合は、地域産業保健センターの支援も選択肢です。対象となる事業場、予約方法、利用できる支援の範囲を窓口で確認してください。 受診を勧める際は、行けない理由と次の確認日を整理します 本人には、再検査を勧める理由と、会社として健康に配慮した働き方を検討する必要があることを説明します。「早く病院に行ってください」と繰り返すだけでなく、仕事の都合で予約ができないのか、受診先が分からないのかなど、差し支えない範囲で事情を聞きましょう。 受診を予定している場合は、予約日や今後の確認時期を共有します。本人の同意が必要な情報は適切に同意を得るなど、収集できる範囲と利用目的を確認したうえで、医師の判断に必要な結果を提供してもらえるよう働きかけます。病歴や治療内容を、必要以上に会社へ提出させることは避けてください。 再検査の費用や受診時間中の賃金は、定期健康診断と当然に同じ扱いになるとは限りません。一般の再検査か法令上の実施義務がある検査か、会社がどのような指示を出すか、就業規則や従来の運用がどうなっているかを確認します。本人へ伝える前に取扱いを整理すると、説明の行き違いを減らせます。 受診しないことだけを理由に、直ちに懲戒処分をしたり、自宅待機を命じたりする対応は慎重に検討する必要があります。会社の指示の内容や根拠、本人の事情を整理し、医学的な判断と労務上の対応を混同しないようにしましょう。 仕事を優先にされている方々は、自身の健康については優先順位を下げる傾向にありますので、健康第一ということを伝えて、受診を促しましょう。 医師の意見を、具体的な勤務の調整につなげます 医師から就業制限などの意見が出たら、会社はその内容を十分に考慮し、本人の実情も踏まえて必要な措置を決めます。本人の意見を聴き、措置の目的や内容を説明したうえで、実際の勤務に反映させることが大切です。 例えば、時間外労働が続いている社員について、医師から「一定期間、時間外労働を制限する必要がある」との意見を受けた場合を考えます。会社は本人に残業を控えるよう伝えるだけでなく、担当業務の分担、締切、上司の指示方法も調整します。仕事量が変わらなければ、持ち帰り仕事などが生じる可能性もあるためです。 措置の開始日、対象となる業務、確認する担当者、見直し時期を明らかにしておくと、その後の管理がしやすくなります。勤務制限を解除する際も、「本人がもう大丈夫と言ったから」とだけ判断せず、医師の意見などを確認しましょう。 休業や勤務時間の短縮が必要になった場合の賃金は、措置の理由、働くことができる範囲、契約や規則の内容などを踏まえた個別の検討が必要です。「医師の意見があるから無給」と機械的に処理しないようにします。 当事務所では、人事・労務全般の相談や就業規則の作成・変更を取り扱っています。医師の意見を踏まえて、社内でどのように勤務を調整し、本人へ説明するか迷う場合は、現行の規則と実際の働き方を照らし合わせて整理することが役立ちます。 健康情報の共有範囲を決め、対応の経過を残します 健康診断の結果は、慎重な取扱いが求められる情報です。会社が健康管理のために把握する場合でも、利用目的、取扱担当者、保管方法、共有する範囲を決めておきます。担当者以外の社員が自由に閲覧できる場所へ保存しないようにしましょう。 直属の上司へは、勤務の調整に必要な情報を必要な範囲で伝えます。例えば、残業の制限や避けるべき作業を共有すれば足りる場合に、検査値や詳しい病歴まで広く知らせる必要はありません。本人への説明や、情報の種類に応じた同意の要否も確認します。 また、結果の通知日、受診を勧めた日、医師から聴いた意見、本人との相談内容、実施した措置と見直しの経過を記録します。一般の定期健康診断に基づく健康診断個人票は、5年間の保存が必要です。個人票を保存することに加え、誰がいつ次の確認をするかも管理すると、対応の抜けを防ぎやすくなります。 医学的な判断と会社のルールを分けて相談しましょう 社内の手順が整っており、医師の意見を確認して必要な調整ができる場合は、会社で対応を進めることも可能です。一方、本人が受診しない、勤務制限と業務の両立が難しい、休業中の給与が分からないといった場合は、判断を固める前の相談が望まれます。 相談時には、就業規則、勤務予定、実際の労働時間、これまで本人へ説明した内容などを準備します。健康情報を含む資料を外部へ提供する際は、提供の必要性や範囲、本人の同意などの適切な手続きを確認してください。医学的な評価は医師へ、勤務や賃金、社内規程の運用は社会保険労務士へ確認すると、課題を整理しやすくなります。 当事務所は、中小企業やクリニックの労務管理を支援し、労務相談のみの契約にも対応しています。東京都豊島区で、健診後の勤務調整や社内の取扱いに迷っている経営者の方は、現在の対応と困っている点をお聞かせください。必要な医学的確認を踏まえ、会社として進める労務対応を整理しましょう。
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傷病手当金の申請で会社がすることは?事業主の証明と給与確認
「社員から傷病手当金の申請書を渡されたけれど、会社はどこを記入すればよいのだろう」「休んでいる間にも手当を支払ったが、申請できるのだろうか」初めて手続きを担当する経営者や労務担当者は、判断に迷うことがあります。 傷病手当金は健康保険の給付であり、会社が支給を決めるものではありません。一方、申請には勤務状況や賃金に関する事業主の証明が必要です。この記事では、主に協会けんぽに加入している社員を想定し、会社が確認したい申請書の準備と記入のポイントを解説します。 まず加入先と休業の状況を確認します 傷病手当金は、健康保険の被保険者が業務外の病気やけがの療養で仕事に就けず、一定の条件を満たした場合に支給される制度です。会社の休職制度を利用していることだけで、支給が自動的に決まるわけではありません。 まず、社員が加入する健康保険の保険者を確認しましょう。協会けんぽと健康保険組合では、申請書の様式や提出先、手続きの細部が異なる場合があります。加入先の案内を確認し、本人に申請書と必要な手続きを伝えます。 病気やけがが業務上または通勤によるものかどうかも重要です。その場合は労災保険の給付を確認することになります。原因がはっきりしないときは会社だけで決めつけず、事情を整理して相談しましょう。 支給の条件と待期期間を整理します 支給を受けるには、療養のため仕事に就けないことに加え、連続する3日間を含めて4日以上仕事に就けなかったことなどが必要です。最初の連続した3日間を「待期」といい、その後の仕事に就けなかった日が支給の対象になります。 待期には、療養のため仕事に就けなかった有給休暇の日や、土日・祝日などの公休日も含まれます。待期中に給与が支払われていても、それだけで待期が成立しなくなるわけではありません。一方、休んだ2日間の後に出勤した場合、その2日間だけでは連続3日間の待期は完成しません。 例えば、仮に月曜日から療養のため仕事に就けず、月曜から水曜まで連続して休んだ場合、その3日間が待期となり、木曜日以降の仕事に就けなかった日について支給の条件を確認します。実際の支給は、療養担当者の意見や仕事の内容、報酬の状況などを踏まえ、保険者が判断します。 申請書の事業主欄は記録に基づいて記入します 協会けんぽの申請書には、本人、事業主、療養担当者がそれぞれ記入する部分があります。会社は本人の申請期間を確認し、その期間を含む勤務状況や賃金の支払い状況などを、所定の欄に記入します。 勤怠記録、勤務予定表、休暇の申請内容、給与台帳を照らし合わせ、出勤した日、欠勤した日、有給休暇を取得した日などを整理しましょう。打刻だけでは実態が分からない場合は、本人や担当者に確認します。本人が申請する期間と会社の記入対象がずれていないかも大切です。 協会けんぽの記入案内では、申請期間の最終日より前に将来分を証明することはできません。実際の勤務や給与の状況が分かってから記入し、記入漏れや期間の食い違いがないかを確認します。医師等の証明欄を会社が代わって判断・記入することはせず、本人に必要な手続きを案内しましょう。 休業中に支払った給与や手当を確認します 休業中に給与の支払いがある場合、傷病手当金との調整が行われます。支払われた給与が傷病手当金の額より少ないときは、差額が支給される場合があります。給与が一部でも出ているからといって、会社が申請を諦める必要はありません。 協会けんぽの案内では、出勤していない日に対する報酬として、有給休暇の賃金や、出勤の有無にかかわらず支給する通勤手当・扶養手当・住宅手当などが例示されています。手当を支払った対象期間と金額を確認し、加入先の記入例に従って記載します。出勤した日に対する残業手当や一時的な見舞金などは取扱いが異なります。 例えば、仮に休業中の月も住宅手当が支給されていた場合、基本給がゼロであっても、手当の内容を確認せず「給与の支払いなし」と記入することは避けましょう。何が調整の対象になるか迷うときは、給与台帳と賃金規程を用意して保険者に確認します。 本人への案内と継続申請の準備を進めます 療養が長引く場合は、本人と連絡方法を相談し、書類の受け渡しや記入の進め方を決めておくと手続きが進めやすくなります。協会けんぽは、給与の支払い状況を証明する必要があることから、給与の締切日ごとに1か月単位で申請する方法を勧めています。加入先の案内と本人の事情を確認して進めましょう。 申請後、記入内容や給与の処理に誤りが分かった場合は、そのままにせず、加入先に訂正方法を確認します。休職中も健康保険・厚生年金の資格が続く間は、給与の支払いがなくても保険料が必要です。本人負担分の精算方法も別途整理し、分かりやすく伝えておきましょう。 同じ傷病についての支給期間は、支給開始日から通算して1年6か月です。会社の休職期間とは別の仕組みですので、給付の見通しと就業規則上の期限を混同せず、それぞれ確認することが大切です。 休職が長引き、傷病手当金の支給が終わるようでしたら、その後の働き方や、障害年金申請についても事前に説明するとよいでしょう。働き方によっては、障害年金を受給しながら勤務継続が可能な場合があります。 記入に迷うときは早めに相談しましょう 加入先の記入例と勤怠・給与の記録を確認できれば、会社で申請準備を進められる場合もあります。一方、給与の一部が支払われている、勤務記録と本人の申告が異なる、業務上の病気やけがの可能性があるといった場合は、事実関係を整理して早めに相談しましょう。 当事務所では、人事・労務全般の相談や社会保険に関する手続き、給与・賞与計算を取り扱い、労務相談のみの契約にも対応しています。勤怠記録、給与台帳、就業規則などを準備して相談することで、今回の申請とあわせて休業中の給与や今後の対応も整理しやすくなります。
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特殊車両の通行許可と通行確認はどう違う?制度の選び方と運行前の注意点
大型車両やトレーラーを使う運送では、道路を通るための手続きとして「特殊車両通行許可」と「特殊車両通行確認」という二つの制度があります。名前が似ているため、どちらを使うべきか迷うこともあるでしょう。 制度を選ぶ際は、手続きの速さだけでなく、車両の登録ができるか、目的地までの道路が対象になっているかを確認することが大切です。それぞれの仕組みと、運行計画に合わせた判断のポイントを整理します。 通行許可と通行確認は、経路の調べ方が異なります 道路には、構造を守り交通の安全を確保するため、車両の幅や高さ、重量などについて一般的制限値が設けられています。車両の構造や貨物が特殊で、その制限を超えて通行する場合には、対象となる制度に沿った手続きが必要です。道路や車両による特例もあるため、大型車というだけでは一律に判断することはできません。 通行許可制度では、通行させる車両と経路を指定して申請し、道路管理者が審査します。通行できる場合には、必要な条件を付した許可が交付されます。申請した経路を前提に運行を計画する仕組みです。申請後、通行の可否について道路管理者における審査が行われる流れが一般的であり、実際に通行可能となるまでには時間がかかります。 一方、通行確認制度は、あらかじめ登録した車両について、出発地と目的地などを入力し、道路情報が電子化された道路の中から通行可能な経路をオンラインで確認する仕組みです。オンライン上で通行経路の確認が行われるため、通行可能となるまでの期間は、当然ながら、通行許可制度よりも各段に早いです。即時に通行が可能である旨の回答書を取得することができるからです。条件を満たせば、複数の経路が表示される場合もあります。 通行確認の経路検索は即時に結果を確認できますが、利用には事前の車両登録などが必要です。「今すぐ登録を始めれば、必ずその日に目的地まで走れる」というわけではありません。 通行確認制度を利用する前に確かめたいこと 通行確認制度では、対象となる車両に基準に適合するETC2.0車載器を搭載し、かつ、Gマーク取得営業所に所属する車両で、車両情報などを事前に登録する必要があります。登録できる車両には重量や寸法などの基準があるため、車検証だけで判断せず、制度の最新の案内で確認しましょう。登録や経路確認には所定の手数料もかかります。そして、通行確認精度は通行許可制度と違い、通行が認められる期間が一律1年間です。 また、確認できるのは道路情報が電子化された道路のみです。高速道路や主要な道路が利用できても、工場や現場の出入口に至る最後の道路まで、希望する経路全体が対象とは限りません。国土交通省の案内から無料のお試し検索を利用し、予定する出発地と目的地を確認することができます。 ただし、お試し検索の結果は、正式な通行確認の回答そのものではありません。実際に使う車両と積載状態に基づいて必要な手続きを行い、交付された回答の経路や条件を確認してください。検索で希望する経路が出ない場合も、それだけで道路が絶対に通れないとは断定せず、通行許可を含めて検討します。 通行許可制度を検討したい場面 通行確認制度の対象外となる車両や、電子化されていない道路を含む経路では、通行許可制度の利用を検討します。申請できても、必ず許可されるとは限りません。道路の状況や車両の諸元に応じて審査され、追加資料を求められたり、希望する経路が認められなかったりする場合もあります。 例えば、建設機械を運ぶトレーラーが幹線道路から現場へ入るケースであれば、主な道路が通行確認の対象でも、現場への接続道路が対象外であれば、検索結果のみでは運行全体を判断することができません。出発地から搬入口までの具体的な道順を整理し、必要な手続きを事前に確認します。 許可申請では、車両の寸法や重量、貨物を積んだ状態、連結する車両の組合せ、通行経路などを整理します。審査にかかる期間は案件によって異なりますので、搬入日が決まっている場合は、配車と申請の準備を早めに進めることが重要です。 制度を選ぶときは運行全体を見て判断する まず、今回の車両と貨物を積んだ状態を確認します。トラクタとトレーラーを使う場合は、連結した状態の寸法や重量も把握しましょう。次に、出発地、到着地、搬入口、通りたい道路を具体的に整理します。同じ行き先でも、入口や通行する道路が変われば確認結果は変わり得ます。 そのうえで、通行確認制度の登録要件と経路の対象範囲を調べ、必要に応じて通行許可を検討します。繰り返し運行する車両であっても、車両や積載状態、道路の条件によって使える手続きは変わります。すでに許可証や回答書がある場合も、今回の運行がその内容に含まれるか照合してください。 費用を比較するときは、制度ごとの手数料だけでなく、車載器の準備、登録、経路確認、申請に必要な作業も含めて考えるとよいでしょう。どちらが有利かは車両数や運行の頻度、経路によって異なります。 出発前の確認と専門家への相談 手続きが済んだ後も、実際に運行する車両、積載状態、経路が許可や回答の内容と一致しているかを確認します。徐行や誘導車の配置など、付された通行条件も確認し、配車担当者と運転者で共有してください。工事や災害による通行止めなど、当日の道路状況も別途確認する必要があります。 制度を利用できるか分からない場合や、現場までの経路が複雑な場合、車両の組合せが多い場合は、計画段階で行政書士に相談する方法があります。車検証、車両や貨物の寸法・重量が分かる資料、出発地と搬入口の情報、過去の許可証などを用意すると、確認が進めやすくなります。 当事務所では、特殊車両通行許可申請を取り扱っています。自社で必要な確認や申請を進められる場合もありますが、許可の要否や申請内容の整理に迷うときは、運行予定を具体的に伝えてご相談ください。初回相談は無料で、完全予約制です。 通行許可と通行確認は、経路を審査する方法と対象範囲が異なります。車両、積載状態、出発地から目的地までの道路をそろえて確認し、必要な手続きを運行前に準備しましょう。
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月給の社員が欠勤したら給与はどう計算する?欠勤控除の確認ポイント
「月給の社員が病気で数日休んだ。給与から何日分を差し引けばよいのだろう」「基本給以外の手当も計算に含めるのだろうか」 毎月一定額を支払っている場合でも、欠勤した月の給与計算に迷うことがあります。 欠勤控除を考えるときは、まず休みの種類と賃金の定めを確認し、対象となる日数や時間、計算の基礎となる賃金を整理します。この記事では、中小企業の経営者が給与計算の前に確認したい点と、計算後の説明の進め方を解説します。 まず「欠勤」として扱う日を確認します 給与を計算する前に、勤務予定表、勤怠記録、本人からの連絡を照らし合わせ、その日がもともと働く予定の日だったかを確認しましょう。所定休日と、所定労働日に休んだ日を同じように数えることはできません。打刻がない日も、入力漏れや勤務場所の変更が原因の場合があります。 病気による欠勤として連絡を受けていても、年次有給休暇の申請があったか、会社独自の有給の病気休暇が適用されるかなどを確認します。年次有給休暇として適法に取得した日について、欠勤として給与を差し引かないようにしましょう。有給休暇中に支払う賃金は、法律上の定めと会社が採用する計算方法を確認します。 また、会社の都合で仕事を休ませた日や、業務上の病気・けがで休んだ日は、本人都合の欠勤と同じ扱いにできるとは限りません。休業手当や労災保険の給付など、別の制度を確認する必要があります。休んだ理由だけで直ちに給与処理を決めず、実際の事情と適用される制度を整理しましょう。 月給の定めと欠勤控除の規定を確認します 月給制という呼び方だけでは、欠勤した場合に給与がどうなるかは分かりません。欠勤分を差し引く定めのある月給制もあれば、欠勤によって減額しない定めもあります。労働条件通知書や雇用契約書、就業規則、賃金規程を確認し、その社員に適用される条件を把握しましょう。 働かなかった時間に対応する賃金を支払わないことを、一般に「ノーワーク・ノーペイ」といいます。ただし、実際に控除するかどうかは、法令のほか、契約や規則の内容を踏まえて判断します。休んだ理由や会社の制度によって賃金の支払いが必要な場合もあります。 東京労働局は、欠勤などによる不就労時間分の控除は契約や就業規則に基づいて行うことができる一方、その計算方法自体は労働基準法に定めがないと説明しています。規定が曖昧な場合に、給与計算の担当者がその月だけ独自の方法を決めると、契約や従来の取扱いと食い違うおそれがあります。 控除額は対象賃金と日数・時間を整理して計算します 計算方法として、月の平均所定労働日数や月の暦日数などを基礎にする考え方があります。どの方法を採用しているかは会社の定めを確認します。計算の基礎に含める手当、半日欠勤や時間単位の不就労の扱い、端数処理も確認が必要です。基本給だけを使うと決めつけず、手当の性質と規定を照らし合わせましょう。 例えば、仮に賃金規程で「基本給を月平均所定労働日数で割った額に欠勤日数を掛ける」と定め、対象社員の基本給が月24万円、月平均所定労働日数が20日、対象となる欠勤が2日であったとします。この例の控除額は、24万円÷20日×2日で2万4,000円です。実際の支給額は、ほかの賃金項目や法定控除なども含めて別途計算します。 規定の対象賃金や手当の取扱いに疑問がある場合は、過去の運用も含めて確認してから計算しましょう。月ごとの所定労働日数や暦日数を使う定めであれば、同じ欠勤日数でも結果は異なります。年間カレンダーを作成して、毎年月ごとの所定労働日数を決定したり、他にも方法があるため、就業規則や賃金規程を確認しましょう。 欠勤控除と制裁としての減給は区別します 働かなかった分を定めに従って計算することと、無断欠勤などへの罰として賃金を減らすことは別の問題です。例えば、1日の欠勤に対して、働かなかった分に加えて一律の罰金を差し引くことを、その場の判断で行うべきではありません。 制裁としての減給を設ける場合には就業規則上の定めが必要で、労働基準法には減給額の上限があります。さらに、規定があればどのような処分でも認められるわけではなく、事実関係や処分の相当性を慎重に検討する必要があります。勤怠上の問題への指導と給与計算を混同しないことが大切です。 仕事に穴が空いたことを理由に、会社が被った損害を給与から一方的に差し引くことも原則としてできません。賃金は原則として全額を支払う必要があるため、損害の有無や対応に迷うときは、給与支払前に専門家へ確認しましょう。 計算後は内訳を確認し、分かる形で説明します 控除額を確定する前に、欠勤日数、対象賃金、使用した日数・時間の分母、端数処理を再確認します。給与明細には内容が分かるように記載し、社員から質問があったときに根拠となる規定と計算過程を説明できるようにしておきましょう。 計算後に休暇の申請や打刻漏れが判明した場合は、事実を確認し、誤りがあれば速やかに訂正します。支払うべき賃金が不足していた場合は、差額の支払いを含めて対応を検討してください。翌月から計算方法を変えたい場合も、一方的に決めず、既存の労働条件や変更の手続きを確認することが必要です。 規定が明確で、欠勤の事実と計算条件を確認できる場合は、会社で計算を進めることもできます。一方、規定に計算式がない、手当の取扱いが不明、これまでの処理が社員ごとに違うといった場合は、過去の給与明細や勤怠記録、契約書、賃金規程をそろえて相談すると、問題点を整理しやすくなります。 当事務所では、人事・労務全般の相談のほか、給与・賞与計算や就業規則の作成・変更を取り扱い、労務相談のみの契約にも対応しています。欠勤が生じた月の対応とあわせて、今後も説明しやすい給与計算のルールを整える機会にしてはいかがでしょうか。
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36協定を届け出ずに残業させていたら?会社が確認したい初動と届出の進め方
「従業員に残業をお願いしてきたが、36協定を届け出た記憶がない」「以前は届出をしたものの、更新を忘れていたかもしれない」このような状況に気付いたときは、まず現在の残業を止め、協定と労働時間の実態を確認することが大切です。 36協定の届出は、将来の法定時間外労働などを行うための手続きです。後から届け出れば過去の問題がなくなるわけではありません。この記事では、届出漏れに気付いたときの初動から、今後の手続きと再発防止までを整理します。 36協定が必要になる残業とは 労働基準法の原則では、労働時間は休憩を除き1日8時間、1週40時間までです。また、原則として毎週少なくとも1日の休日、または4週間を通じて4日以上の休日を与える必要があります。変形労働時間制など、適用する制度によって判断は異なります。 法定労働時間を超えて働かせる場合や、法定休日に働かせる場合は、原則として、あらかじめ事業場の労働者側と時間外・休日労働に関する協定を結び、所轄の労働基準監督署へ届け出る必要があります。これが36協定です。従業員が1人の事業場でも必要となります。 一方、会社が定めた所定労働時間を超えただけでは、直ちに法定時間外労働になるとは限りません。例えば通常の労働時間制で、所定労働時間が1日7時間の人が8時間働いた場合、1日単位では法定時間を超えていません。ただし、週単位の合計や適用される勤務制度も確認が必要です。 届出漏れに気付いたら、まず確認すること 最初に、法定時間外労働や法定休日労働を新たに行わせないよう、業務の割り振りや納期を調整します。残業を続けながら書類を整えるのではなく、法定労働時間と法定休日を守れる勤務に切り替えましょう。 次に、事業場ごとに協定書と届出控えを探し、協定の有効期間、対象業務、延長できる時間、所轄署への届出状況を確認します。控えが見つからないだけで未届出と決めつけず、提出方法や社内の保管先も調べます。提出の有無が不明な場合は、所轄の労働基準監督署に確認方法を相談してください。 協定が存在しても、期限切れや対象業務の相違、定めた時間の超過があれば別の問題が生じます。勤怠記録、シフト表、給与明細、休日の定めを照合し、いつ、誰に、どのような労働があったかを整理しましょう。記録を後から削除したり、実際より短く書き換えたりしてはいけません。 例えば、昨年の協定は届出済みだったものの、今年の期限更新を失念していた場合、期限後の勤務については有効な協定の有無を確認する必要があります。新しい協定の開始日を過去に合わせて書き直すのではなく、実際の締結日と届出の経緯を正しく扱いましょう。 過去の残業代と届出は別々に対応します 届出をしていなかった期間でも、実際に働いた時間に対する賃金は確認が必要です。法定時間外や法定休日、深夜の労働には、条件に応じた割増賃金が必要になります。届出がなかったことを理由に、残業代を支払わなくてよいわけではありません。 タイムカードや勤怠システムの記録と、業務指示、日報、パソコンの使用記録などを照らし合わせ、実態を確認します。未払いが見つかった場合は、対象期間や計算方法を整理し、速やかに適切な精算を検討します。過去の勤怠資料や賃金台帳は、法令に従って保存してください。 後から協定を締結・届出しても、それ以前の法定時間外労働などが遡って適法になるものではありません。事情によっては法令違反への対応が必要です。判断に迷う場合は、事実関係を整理したうえで労働基準監督署や専門家に相談しましょう。 今後のための協定締結と届出の進め方 今後、法定時間外労働や法定休日労働が必要であれば、事業場ごとに、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合はその組合、ない場合は労働者の過半数を代表する人と協定を結びます。代表者の選出にはパートなども含め、その目的を明らかにして投票や挙手などの民主的な方法で選びます。会社が一方的に指名する方法は適切ではありません。 協定には、対象業務や労働者の範囲、延長することができる時間、対象期間などを定め、所轄の労働基準監督署へ届け出ます。従業員が内容を確認できるよう、協定の周知も必要です。届出前に、協定で定める予定の時間を使って残業を開始しないようにしましょう。 時間外労働の上限は原則として月45時間・年360時間です。臨時的な特別の事情があり、特別条項を設ける場合にも、年720時間以内など複数の上限があり、月45時間を超えられるのは年6か月までです。時間外労働と休日労働の合計についても月100時間未満、複数月平均80時間以内などの制限があります。業種や勤務制度により例外があるため、自社への適用を確認してください。 協定は、定めればその時間まで自由に残業させられるというものではありません。定めた範囲や法令上の上限を守り、個々の従業員に残業を命じる根拠となる就業規則や労働契約も確認します。健康への配慮や業務量の見直しも欠かせません。 更新管理と日々の勤怠管理をつなげましょう 再発防止には、届出控えと協定の内容を事業場ごとに保管し、有効期間の終了前に準備できるよう、担当者と確認時期を決めておくことが有効です。有効期間の終了前に労働基準監督署に提出できるようにしましょう。担当者が変わる場合も、保管場所と更新手順を引き継ぎます。 残業の実績は、給与計算のためだけでなく、協定で定めた時間や法令の上限に近づいていないかを確認するためにも使います。月末にまとめて気付くのではなく、途中の段階で確認し、必要に応じて仕事の配分を変えましょう。 当事務所では、残業手当の管理方法を含む人事・労務全般の相談を取り扱い、労務相談のみの契約も可能です。協定の期限が分からない、勤怠と給与の記録が一致しない、複数の事業場で扱いが異なるといった場合は、協定書や届出控え、勤怠記録、就業規則を用意すると相談しやすくなります。 必要な資料と手順が明確であれば、自社で協定の締結や届出を進めることもできます。一方、過去の状況が複雑なときは、事実を隠さず整理し、専門家や所轄の労働基準監督署に相談しながら、過去の精算と今後の勤務管理をそれぞれ進めましょう。
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従業員が10人になったら就業規則は必要?人数の数え方と作成・届出の進め方
「正社員は少ないけれど、パートを含めると従業員が10人になった」「就業規則を作っていないが、何から始めればよいのだろう」。事業の拡大に伴い、このような疑問を持つ経営者の方もいるでしょう。 就業規則の作成・届出義務は、会社全体ではなく、原則として事業場ごとの人数で判断します。この記事では、人数の数え方、規則に盛り込む内容、届出と周知までの進め方を解説します。 就業規則が必要になる「常時10人以上」の考え方 常時10人以上の労働者を使用する事業場では、就業規則を作成し、所轄の労働基準監督署へ届け出なければなりません。作成した後に変更した場合も、届出が必要です。 人数には、正社員だけでなく、パートやアルバイト、有期契約の従業員も含めます。勤務日や勤務時間が短い人を、勤務時間に応じて0.5人と数えるのではありません。その日に出勤している人数だけで判断することにも注意が必要です。 「常時」は、一時的に10人に達したかではなく、通常の状態として何人を使用しているかという観点で考えます。繁忙期だけ人を増やした場合や、採用・退職が続いて人数が変動する場合は、勤務の実態や雇用の継続状況を整理して判断しましょう。 例えば、正社員6人とパート4人を継続して雇用している店舗では、普段の出勤者が同時に10人未満でも、常時10人以上に当たる可能性があります。雇用形態ごとの人数を確認し、判断に迷うときは所轄の労働基準監督署や専門家に相談してください。 人数は会社全体ではなく事業場ごとに確認します 本店と支店、複数の店舗がある場合は、原則として、それぞれの事業場を単位に人数を数えます。例えば、独立した事業場として扱われる本店に7人、支店に5人がいる場合、会社全体で12人でも、それだけで両事業場に作成・届出義務が生じるわけではありません。 ただし、名称が「支店」や「営業所」であるだけで、必ず独立した事業場になるわけではありません。場所や業務の実態、組織としての独立性などを踏まえて判断する必要があります。小規模な拠点が本店と一体として扱われるか迷うときは、実態を示せる資料を用意して確認しましょう。 常時10人未満の事業場でも、労働基準法などのルールは適用されます。作成・届出義務がないことと、労務管理が不要であることは別です。人数が増える前から、勤務時間や休暇、給与の取扱いを整理しておくと、採用後の説明にも役立ちます。 おすすめとしては、一人でも雇用したら、就業規則を作成しておくと、後のトラブルになりにくい傾向にあります。 作成前に、今の働き方と契約内容を整理します 就業規則を作る際は、まず雇用契約書や労働条件通知書、給与明細、勤怠記録、社内で使っている休暇の申請方法などを確認します。文書に書かれている条件と、実際の運用が異なる場合は、どの従業員に何を適用しているかを整理しましょう。 例えば、契約書には始業時刻が午前9時とある一方、実際には全員が午前8時45分から指示を受けて業務を始めている場合、その実態を確認する必要があります。規則の文言だけを整えても、労働時間の管理にずれが残るおそれがあります。 就業規則には、始業・終業時刻、休憩、休日、休暇、賃金の決定・計算・支払方法、退職に関する事項など、必ず記載する事項があります。退職手当や賞与、休職、表彰・制裁などは、それぞれの制度を設ける場合に記載が必要です。休職制度や退職金制度をすべての会社で必ず設けなければならないという意味ではありません。 パートと正社員で勤務時間や賃金の仕組みが異なる場合は、適用対象が分かるように定めます。別の規則を作る方法もありますが、契約や実際の運用との整合性を確認し、雇用形態による待遇差には別途、法令上の確認が必要です。 意見聴取・届出・周知まで進めます 規則案ができたら、その事業場の労働者の過半数で組織する労働組合がある場合はその組合、ない場合は労働者の過半数を代表する人の意見を聴きます。正社員だけで代表を決めるのではなく、パートなどを含む事業場の労働者全体を対象にします。 過半数代表者は、管理監督者でなく、就業規則の意見を述べる代表者を選ぶ目的を明らかにしたうえで、投票や挙手などの民主的な方法で選びます。会社が一方的に指名する方法は適切ではありません。意見聴取は同意を得る手続きとは異なりますが、寄せられた意見の内容を確認し、説明や検討に生かしましょう。 常時10人以上の事業場では、就業規則に代表者等の意見書を添えて、所轄の労働基準監督署へ届け出ます。意見書には反対意見も記載できます。届出を済ませただけで終わりにせず、従業員がいつでも確認できる方法で周知します。 周知の方法には、書面の交付や、職場の見やすい場所への掲示・備付けなどがあります。電子データを利用する場合も、対象者が内容を常時確認できる環境を整える必要があります。パートを含め、適用される従業員が自分に関係する規則を確認できるか点検してください。 既存の条件を変えるときは、作成と分けて検討します 就業規則を初めて作る機会に、これまでの手当をなくしたり、休日を減らしたりすることを考える場合があります。しかし、新しい規則に書き、意見を聴いて届け出たことだけで、従業員に不利益な変更が当然に認められるわけではありません。 労働条件の変更は、原則として労使の合意によります。就業規則の変更により不利益に変更する場合には、原則として本人の合意が必要で、例外として変更内容の合理性と周知などの要件を満たす場合に効力が認められることがあります。必要性や不利益の程度、説明・協議の状況などを踏まえた慎重な検討が必要です。 初めて規則を作る場合も、既に成立している個別の労働条件との関係を確認し、規則を作っただけで不利益に変更できると考えないことが大切です。特に賃金や休日を見直すときは、導入前に専門家へ相談しましょう。 10人に達したら、現状確認から着手しましょう 従業員の人数と事業場の区分が明確で、現在の条件を整理できていれば、厚生労働省のモデル就業規則などを参考に自社で作成を進めることもできます。ただし、ひな形をそのまま使うと、自社にはない制度が記載されたり、実際の勤務形態と合わなかったりすることがあります。 自社用にカスタマイズしながら作成すると良いでしょう。本来就業規則に記載すべき事項を削除してしまった場合でも、就業規則に記載がないからルールがなくなったということではない点に注意しましょう。 パートの適用範囲が分からない、契約書と実際の運用が異なる、賃金や休日を見直したいといった場合は、規則案を固める前に相談すると、確認事項を整理しやすくなります。従業員数、勤務形態、契約書、給与や勤怠の資料、現在の運用が分かるものを用意しましょう。 当事務所では、就業規則の作成・変更・提出代行のほか、人事・労務全般の相談を取り扱っており、労務相談のみの契約も可能です。規則の準備に加え、運用とのずれや今後の管理の仕方についても相談可能です。従業員が増えた節目に、会社と従業員の双方が確認しやすいルールを整えていきましょう。
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社員から突然退職を申し出られたら?中小企業が確認したい退職日と引継ぎの進め方
「社員から急に退職したいと言われたけれど、担当業務の引継ぎが終わらない」「就業規則では1か月前の申出と定めているのに、2週間後に辞めたいと言われた」少人数の会社では、一人の退職が日々の業務に大きく影響します。 まず大切なのは、本人の意思と希望する日程を落ち着いて確認し、退職日、最終出勤日、引継ぎに使える時間を分けて整理することです。この記事では、退職の申出を受けた直後から、会社が進めたい確認と実務を解説します。 まずは本人の意思と希望する退職日を確認します 退職についての言葉には、「退職を考えている」という相談と、「退職する意思を決めた」という申出があります。まず、本人が何を希望しているのか、いつを退職日と考えているのかを確かめましょう。口頭の申出でも、日時や発言内容、会社側の対応を記録しておくと、後の認識違いを防ぎやすくなります。 退職日と最終出勤日は同じとは限りません。例えば、月末を退職日とし、その前に残っている年次有給休暇を取得する場合、最後に出勤する日は月末より早くなります。退職日だけを聞いて引継ぎの時間を見積もると、実際には予定より短いことがあります。 本人と話し合う際は、退職理由を尋ねることもできますが、話したくない事情まで無理に聞き出す必要はありません。残りの期間に何ができるかを確認し、決まった事項を本人と会社の双方が分かる形で共有しましょう。 就業規則だけで退職日を決めず、契約を確認します 期間の定めのない雇用契約では、退職の申入れから原則として2週間が経過すると、会社が承諾しなくても退職の効力が生じます。一方、本人と会社が話し合って退職日に合意することもできます。申出が合意を求めるものか、一方的に辞職する意思表示かは、言葉や経緯を含めて確認が必要です。 就業規則に「1か月前までに申し出る」とある場合も、その定めだけを理由に一律に退職を認めないとは判断できません。民法の規定と就業規則の関係には見解の違いがあり、個別の事情を踏まえた確認が必要です。本人との話合いで日程を調整しつつ、争いがある場合は専門家に相談しましょう。 有期契約では、期間満了前の退職について、期間の定めのない契約とは異なる規定が適用されます。契約期間や申出の理由、雇い入れからの期間などによって扱いが変わるため、同じ「2週間」という説明をそのまま当てはめないでください。 就業規則の提出期限に間に合わなかったとしても、「後任が見つかるまで退職は認めない」と伝えたり、退職届を受け取らずに手続きを止めたりすることは、問題を長引かせるおそれがあります。退職の意思と、業務上の調整を分けて考えることが大切です。 引継ぎは残りの勤務日から逆算して進めます 引継ぎをお願いする際は、まず残りの勤務予定日を確認し、本人が担当している業務を洗い出します。顧客との約束、支払いや請求の期限、進行中の案件、社内システムの管理など、止まると影響が大きいものから優先順位をつけましょう。業務の種類によって、かなり優先順位が異なりますので、気を付けましょう。 例えば、月末退職予定の社員が有給休暇を取得するため、残りの出勤日が5日しかないケースを考えます。会社は、すべての業務を従来どおり引き継ぐことにこだわらず、取引先への連絡が必要な案件と、期限の近い請求業務を先に確認します。そのうえで、後任が自分で確認できる資料の場所や、未処理の仕事を一覧にします。 引継ぎの方法も、長いマニュアルの作成だけではありません。短時間の打合せ、案件一覧への追記、担当者を交えた説明など、残りの日数に応じて選べます。本人に依頼する内容と期限を具体的に示し、会社側も受け手を決めておきましょう。 有給休暇を請求されている場合は、残日数と取得希望日を確認し、勤務予定を調整します。引継ぎが不十分という理由だけで、退職前の請求を一律に拒否できるわけではありません。休暇中の作業を当然の前提とせず、出勤日にできる内容を整理してください。 退職の手続きと最終給与を並行して整理します 退職日が決まったら、加入している社会保険・雇用保険の資格喪失手続き、離職票の要否、最終給与の計算などを確認します。健康保険・厚生年金保険に加入している場合は、原則として退職日の翌日が資格喪失日です。届出の期限や必要書類は、加入状況と個別の事情に応じて確かめましょう。 雇用保険については、原則として被保険者でなくなった日の翌日から10日以内に資格喪失届を提出します。離職票が必要かどうかは本人の希望などを確認し、必要な場合は離職証明書の準備も進めます。離職理由に認識の違いがある場合は、実際の経緯を記録し、手続きの際に確認してください。 最終給与は、勤務実績、欠勤や休暇の扱い、社会保険料などを確認したうえで計算します。貸与品の返却や引継ぎが終わっていないことを理由に、当然に給与の支払いを保留したり、損害額を一方的に差し引いたりすることはできません。通常の支払日や退職時の請求に応じた支払いについて、適用されるルールを確認しましょう。 また、パソコン、鍵、社員証などの返却方法を本人と調整し、社内アカウントの停止時期も決めます。顧客への案内や担当変更は、本人任せにせず、会社側で責任者を定めると進めやすくなります。 判断に迷う場合は、経緯と資料を整理して相談しましょう 本人の意思と退職日が明確で、勤務予定や手続きを双方で確認できる場合は、社内で対応を進められます。一方、退職日の認識が食い違う、有期契約の途中で退職を申し出られた、休暇と引継ぎの調整が難しい場合には、早めに相談することが有用です。 相談の際は、雇用契約書、就業規則、本人の申出内容と日時、勤務予定、有給休暇の残日数が分かる資料を用意します。すべての資料がそろわなくても、退職について何を言われ、会社がどう返答したかを整理すると、確認すべき点が見えやすくなります。 当事務所では、人事・労務全般の相談のほか、就業規則の作成・変更、社会保険・労働保険の届出代行、給与計算の代行を取り扱っています。突発的な退職への対応のみならず、退職手続きの流れや日常的な情報共有のあり方を見直すきっかけとして、ぜひ現在の運用についてお聞かせください。 豊島区の中小企業で社員から退職を申し出られたら、まず意思と日程を確認し、残りの勤務日に何を引き継ぐかを具体化しましょう。本人の権利と会社の業務の両方を踏まえ、手続きを一つずつ進めることが大切です。
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労働条件通知書を渡していないときは?中小企業の確認と整備の進め方
「採用時は口頭で説明しただけ」「以前から働くパートには、労働条件通知書を渡していない」。従業員から書面を求められ、何から確認すればよいか迷う経営者の方もいるのではないでしょうか。 労働条件のうち法律で定められた事項は、契約を結ぶ際に、原則として書面を交付して明示する必要があります。交付漏れに気付いたら、書類の日付だけを整えるのではなく、採用時の約束と現在の働き方を確かめ、速やかに整備することが大切です。 口頭で合意していても、必要な条件の明示は省略できません 雇用契約は、働くことと賃金を支払うことについて合意があれば、書面がなくても成立する場合があります。しかし、契約が成立していることと、会社が労働条件を適切に明示していることは別の問題です。 労働基準法第15条に基づき、会社は労働契約を結ぶ際に労働条件を明示しなければなりません。契約期間、就業場所と業務、始業・終業時刻や休日、賃金の計算・支払方法、退職に関する事項などは、原則として書面の交付が必要です。正社員だけでなく、パートやアルバイトも対象になります。 書面の名称が必ず「労働条件通知書」でなければならないわけではありません。必要事項を記載した雇用契約書を本人に交付していれば、通知書の役割を兼ねられます。一方、会社が署名済みの契約書を保管しているだけで、本人に控えを渡していない場合は、交付状況を確認する必要があります。 求人票を見せた、就業規則を事務所に置いたという事情だけで、個々の従業員への明示がすべて済んだと判断しないようにしましょう。その人に適用する条件が分かる書面になっているかが重要です。 最初に、交付漏れと労働条件の食い違いを分けて確認します 交付漏れに気付いたら、対象者、入社日、契約期間、最後に契約を更新した日、書面の有無を整理します。会社に書面があるのか、本人へ渡したのか、内容が現在も有効なのかを分けて確認してください。 次に、求人票、採用時のメール、面接時の記録、過去の契約書、就業規則、給与明細、勤怠記録を照合します。契約書のひな形に数字を入れる前に、何を約束し、どのように勤務してきたかを把握するためです。 特に、賃金、週の勤務日数、勤務時間、勤務地、担当業務、契約期間は、本人と認識が一致しているかを確かめます。「会社では週4日のつもりだったが、本人は週3日の契約と考えている」といった食い違いがあれば、通知書を一方的に渡すだけでは解決しません。 例えば、入社から半年のパート社員に通知書を渡していなかった場合、毎月のシフトだけで契約上の勤務日数を決めつけず、採用時の説明や本人とのやり取りを確認します。シフト上の実績と、約束した勤務条件は、必ずしも同じではありません。 今から整える書面に、未確認の条件を入れないようにします 確認した条件を基に、厚生労働省のモデル様式などを参考にして書面を作成します。作成・交付の日と、条件が適用される期間を区別し、実際には渡していない過去の日付を交付日として記録することは避けてください。 現在の書面を交付しても、過去の明示義務違反がなかったことになるわけではありません。いつ漏れに気付き、何を確認し、いつ交付したかという経緯も残します。過去からの条件が不明な場合は、事実を確認せずに入社時までさかのぼる内容を断定しないことが大切です。 また、交付漏れの是正と労働条件の変更は区別します。例えば、これまで支払っていた手当をなくす、勤務日数を減らすといった変更を、通知書の整備に紛れ込ませてはいけません。条件を変更したいときは、合意や就業規則との関係などを別に検討する必要があります。 労働条件通知書は会社が条件を知らせる書面であり、本人の署名がないことだけで直ちに明示が無効になるものではありません。ただし、受領の確認と、条件変更への同意は意味が異なります。受取欄への署名だけで、すべての変更に同意したと扱わないようにしましょう。 本人が内容に異議を述べた場合は、どの項目が違うのかを聞き、確認資料と照合します。署名を急がせず、会社と本人の説明が分かれる点を記録して、対応を相談してください。 古いひな形では、現在必要な明示事項が不足することがあります 2024年4月から、労働条件明示のルールが変わっています。労働契約の締結と有期労働契約の更新の際には、雇入れ直後の就業場所・業務だけでなく、その「変更の範囲」の明示も必要です。 例えば、採用時は本店勤務であっても、契約期間中に別の店舗への異動を予定するなら、その範囲を検討します。勤務地や業務を限定して合意している場合は、その内容を踏まえます。「会社の定める場所・業務」と書けば、過去の約束にかかわらず自由に変更できるわけではありません。 有期契約では、更新の有無や判断基準に加え、通算契約期間または更新回数の上限の有無と、上限がある場合の内容も確認します。初回契約の後に更新上限を新設・短縮する場合は、その理由をあらかじめ説明する必要があります。通知書の空欄を埋めるために、突然上限を設けることは避けましょう。 無期転換申込権が発生する契約の更新時には、申込機会と無期転換後の労働条件の明示も必要です。また、パート・有期雇用労働者には、昇給、退職手当、賞与の有無と、雇用管理に関する相談窓口についても、書面の交付等による明示が求められます。 さらに、2026年10月1日からは、パート・有期雇用労働者の雇入れ時に、通常の労働者との待遇の相違の内容・理由等について説明を求めることができる旨も、書面の交付等で明示する必要があります。2024年の改正に対応した書式でも、この項目が入っているか確認してください。 なお、2024年4月以前から続く無期契約について、今回の改正だけを理由に全員への再交付が一律に義務付けられたわけではありません。以前からの交付漏れなのか、改正後に締結・更新した契約の記載不足なのかを区別して確認しましょう。 交付方法と、次の採用・更新で漏れない仕組みを決めます 原則は書面の交付ですが、本人が希望した場合には、電子メール等による明示も認められています。その際は、本人が受け取った記録を出力して書面にできる必要があります。会社の都合だけで電子化せず、希望を確認した記録と送信内容を残しましょう。 例えば、本人の希望を確認して通知書のPDFをメールに添付する場合は、宛先、添付ファイル、送信日を確認し、受信して内容を確認できるかも確かめます。社内画面を一時的に見せただけで、交付を済ませたことにしないようにしてください。 再発防止には、採用を決める人、条件を確認する人、交付する人を明確にします。採用時のチェック項目に通知書の交付を入れ、有期契約では満了日から逆算して更新条件を検討する仕組みを整えましょう。ひな形の更新日や、誰が修正を承認するかも決めておくと、古い書式の使い回しを防げます。 当事務所では、人事・労務全般の相談と、就業規則の作成・変更を取り扱っています。通知書に書く条件と就業規則、実際の運用が合っているか迷う場合は、関連資料をそろえてご相談ください。会社設立・開業支援では雇用契約書の作成も取り扱っており、初めて従業員を採用する際の書類整備についても相談できます。 約束した条件が曖昧なときは、交付前に相談しましょう 条件が明確で、会社と本人の認識が一致している場合は、公的なモデル様式を参考に社内で整備を進められることもあります。一方、口頭の約束と給与が違う、契約期間が分からない、更新を繰り返している、書面の整備と同時に条件を変更したい場合は、交付前の確認が大切です。 相談時には、対象者ごとの採用・更新の経緯、求人票、残っている契約書、就業規則、給与明細、勤怠記録を用意します。不足資料があっても、分かっている事実と未確認の点を分けて伝えると、次に確かめる事項を整理しやすくなります。 当事務所は、労務相談のみの契約にも対応しています。保険手続きや給与計算を社内で続けながら、採用・更新時の判断について相談することも可能です。必要な支援範囲と費用は、個別にご相談ください。 豊島区の中小企業で労働条件通知書の交付漏れに気付いたら、まず、誰に何を約束したかを確かめましょう。実態に合う書面を本人へ交付し、次の採用・更新まで見据えて管理方法を整えることが、認識の食い違いを減らす一歩になります。
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有給休暇を年5日取らない社員には?中小企業の時季指定と期限前の対応
「有給休暇を取るよう伝えているのに、休まない社員がいる」「取得期限が近いのに、まだ2日しか休んでいない」。少人数で仕事を回す会社では、本人の希望を待つうちに、年5日の取得が難しくなることがあります。 対象となる従業員には、会社が年5日の年次有給休暇を実際に取得させる必要があります。「本人が希望しなかった」という説明だけで済ませず、期限と不足日数を確かめ、業務の調整と取得日の指定を進めることが大切です。この記事では、在職中の従業員の取得が進まない場合を中心に、会社の対応を解説します。 最初に、誰の取得期限がいつなのかを確かめます 年5日の取得を確保する義務は、法定の年次有給休暇が年10日以上付与される従業員が対象です。会社の規模を問わず適用され、条件を満たすパートや、労働基準法上の管理監督者も含まれます。「正社員だけ」「管理職以外」といった区分だけで管理しないようにしましょう。 原則として、年次有給休暇を付与した日である「基準日」から1年以内に、5日を取得させます。例えば、2026年4月1日が基準日であれば、通常は2027年3月31日までが確認する期間です。会社の決算月や給与計算の締日と一致するとは限りません。 入社日ごとに付与している会社では、従業員ごとに期限が異なります。全員の状況を年末にまとめて確認するだけでは、その前に期限が来る人を見落とすおそれがあります。まず、氏名、基準日、取得期限、取得済み日数を一覧にしてみましょう。 一方、入社時の前倒し付与や、全社員の基準日をそろえる制度では、管理期間が重なり、特別な計算が必要になる場合があります。付与日を変更した年は、通常の1年間の管理をそのまま当てはめず、制度と記録を確認してください。 残日数と、年5日に数える取得日数を分けて確認します 有給休暇の残高が分かっていても、それだけでは年5日の取得状況は分かりません。前年からの繰越しや今年の付与、時効による消滅が残高に影響するためです。取得日を管理期間に当てはめ、実際に休んだ日数を確認します。 本人が申し出て取得した年休と、労使協定に基づく計画的付与で取得した年休は、年5日に数えます。既に5日以上取得している人に、この義務を理由として会社がさらに取得日を指定する必要はなく、指定することもできません。 半日単位の年休は、1回につき0.5日として数えます。一方、時間単位の年休は、取得時間を合計して1日分になっても、年5日の取得日数には算入できません。年休残高の計算と、取得義務の達成確認では、集計方法が異なる点に注意が必要です。 また、もともとの休日は年休の取得日にはなりません。夏季休暇や慶弔休暇なども、法定年休とは別の会社独自の特別休暇であれば、通常、年5日には数えません。名称だけで判断せず、就業規則上の位置付けと、実際の勤怠区分を確かめましょう。 例えば、1日単位の年休を3日、半日年休を2回取得していれば、算入できる日数は4日です。これに時間単位年休を8時間取得していても、年5日の取得確保のためには、なお1日分が必要です。時間休を管理するシステムでは、この二つを区別して表示できるかも確認してください。 不足分は、本人の意見を聴いて取得日を指定します 取得が進んでいない場合は、まず、休みたい時期と休めない理由を本人に確認します。「担当業務を任せる人がいない」「申請すると上司に嫌な顔をされる」といった事情があれば、単に取得を促すだけでは進みません。業務分担や職場の運用も見直す必要があります。 本人からの申請などで5日に達しないときは、不足分について、会社が取得日を指定する「時季指定」を行います。その際は、あらかじめ本人の意見を聴き、できる限り希望に沿うよう努めなければなりません。会社の都合だけで日程を通知して終わりにしないことが大切です。 希望を確認した日、候補日、指定した日を記録し、本人と上司、勤怠担当者に共有します。年5日を取得させるための会社による時季指定は、本人が請求した取得日を別の日へ変更する「時季変更権」とは異なる仕組みです。どちらの対応を行っているか、説明をそろえましょう。 会社が時季指定を行う場合は、対象者や指定方法などを就業規則に定める必要があります。規定が見当たらない、古い申請書しかないという場合は、実際の運用と併せて確認してください。当事務所では、有給休暇の管理方法に関する相談と、就業規則の作成・変更を取り扱っています。既存の規定で対応できるか迷う段階から、相談事項を整理していただけます。 取得予定を決めたら、実際に休めるよう業務を調整します 時季指定をしただけでは、取得義務を果たしたことになりません。指定日に本人が出勤し、会社が仕事をさせれば、その日を年休取得済みとして扱うことはできません。管理簿に日付を入れることと、実際に休ませることを結び付ける必要があります。 例えば、従業員12人の会社で、ある社員の取得期限まで2か月あり、取得済み日数が2日だったとします。会社は残り3日について本人の希望を確認し、月末の請求業務を避けた日程を検討します。 そのうえで、請求処理の手順を別の担当者に共有し、休暇中の問い合わせ窓口を上司へ変更します。本人に「休みの日もメールだけ確認して」と頼むと、年休中にも業務が発生するため、連絡先と仕事の受け手を先に決めることが大切です。 指定後に、本人が別の日の年休を取得したり、予定日に勤務が必要になったりした場合は、取得済み日数と今後の指定日を改めて確認します。変更の必要があるときは本人の意見を聴いて調整し、期限内の取得が不足しないよう、勤務表と管理簿を更新しましょう。 本人が「休みたくない」と言う場合も、その理由を聞き、制度を説明して、休める業務体制を検討します。本人の一筆をもらって取得義務を免れることはできません。話合いをしても取得につながらないときは、期限の直前まで待たず、具体的なやり取りを添えて相談してください。 取得が不足している対象者の確認をしていると、例年、おおよそきちんと取得している人、取得できていない人の傾向がわかるようになります。傾向がつかめれば、期限間際よりも前に対象者に声掛けが可能になりますので、きちんと確認しましょう。 期限を過ぎた不足は、記録を変えずに対応を相談します 既に取得期限を過ぎている場合、翌年に余分に休ませても、過去の期間の不足がさかのぼって解消するわけではありません。実際には働いた日を後から年休に書き換えることも避けてください。 まず、対象者、管理期間、実際の取得日数、不足した経緯を整理します。取得記録の反映漏れなのか、日数の数え方を誤ったのか、実際に休めなかったのかで、確認すべき内容が異なります。休職や育児休業などがある場合も、期間と勤務の実態を伝え、個別に扱いを確認しましょう。 同時に、今後の取得予定を立て、同じことを繰り返さない管理へ改めます。例えば、毎月の勤怠確認の際に、期限まで3か月以内で取得が5日に届いていない人を抽出する方法があります。この3か月は法律上の一律の期限ではなく、会社の管理上の目安です。繁忙期が長い会社では、さらに早い確認をしましょう。これも対象者の傾向をつかめば解消されやすいです。 年次有給休暇管理簿には、従業員ごとの取得時季、日数、基準日を記録します。現在の取扱いでは、該当する期間中と、その期間の満了後3年間の保存が必要です。勤務表や給与計算の記録と照合できるよう、変更前後の経緯も残しておきましょう。 期限と不足日数が分かる資料をそろえて相談しましょう 対象者と管理期間が明確で、本人の希望を踏まえて取得日を決め、業務も調整できる場合は、社内で対応を進められます。一方、期限が迫っている、時間休を年5日に含めていた、本人が指定日に出勤してしまう、前倒し付与で期限が分からない場合は、早めの確認が必要です。 相談時には、年次有給休暇管理簿、就業規則、入社日と付与日の分かる資料、勤務表、勤怠記録、本人との連絡履歴を用意します。「有給休暇が取れていない」という説明に加え、誰の期限がいつで、何日不足しているかを示すと、対応を具体化しやすくなります。 当事務所は、労務相談のみの契約にも対応しています。給与計算を自社で続けながら、取得日の指定や規程の運用について相談することも可能です。給与・賞与計算の代行も取り扱っているため、休暇の記録と給与処理の連携に課題がある場合は、ご希望の依頼範囲をお伝えください。 豊島区の中小企業で年休の取得管理に悩む経営者の方は、まず、従業員ごとの期限と不足日数を確認してみましょう。本人への声掛けに加えて、休む日と仕事を引き受ける人まで決めることが、無理なく取得を進めるための具体的な一歩になります。
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