士業コラム
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退職者が貸与品を返さないとき給与は保留できる?中小企業の対応と精算の注意点
「退職した社員からパソコンが返ってこない」「制服や鍵を返すまで、最後の給与を払わなくてもよいのか」。退職時の貸与品の回収は、担当者が少ない中小企業では経営者自身が対応することもある問題です。 会社の物を返してもらう必要があっても、それを理由に、既に働いた分の給与を一方的に保留することはできません。貸与品の返却と給与の支払いをそれぞれ進めることが、問題を広げないための基本です。この記事では、退職日が確定している場合を中心に、返却依頼の進め方と最後の給与を精算する際の注意点を解説します。 貸与品が戻らなくても、給与の支払義務は残ります 労働基準法第24条は、賃金を原則として全額支払うことを定めています。会社が貸したパソコン、携帯電話、制服、鍵などが未返却でも、既に発生している賃金の支払いを、返却のための条件にすることは避けなければなりません。 例えば、最後の給与が20万円で、未返却のパソコンを会社が10万円と評価した場合でも、その10万円を当然に差し引けるわけではありません。「返却しないなら給与から引く」と通知しただけで、控除が認められるものでもありません。 税金や社会保険料など、法令に基づく控除は別に確認します。一方、未返却品の代金や損害額を会社が一方的に決めて控除することは、これらの通常の控除とは異なります。就業規則や貸与時の誓約書に記載があることだけを理由に、自由に相殺できると考えないようにしましょう。 本人が「給与から引いてよい」と述べた場合も、金額と根拠に争いがないか、本人の自由な意思に基づくものかなど、慎重な確認が必要です。署名をもらえば必ず有効になるという扱いはせず、判断に迷う場合は控除前に相談してください。 最初の連絡では、返す物と返し方を具体的に伝えます 返却を求める前に、会社の貸与記録と、既に返された物を照合します。パソコン本体だけでなく、充電器、社員証、入館カード、鍵、書類などを確認し、誰が受け取ったかも調べましょう。別の上司に返却済みなのに、未返却として請求してしまうことを防ぎます。 返却依頼は、「貸した物を全部返してください」だけで終えず、品名、管理番号、付属品、返却先、担当者、期限を明示します。退職者が遠方にいる、療養中で来社が難しいなどの事情があれば、郵送や配送も含め、実行できる方法を相談します。 送料をどちらが負担するか、精密機器をどう梱包するかも先に決めると、返却が止まる理由を減らせます。返送伝票を同封する方法や、追跡できる配送方法の利用も検討できます。送料等の負担を会社が当然に本人へ転嫁できるとは限らないため、貸与時の取り決めも確認します。 例えば、「ノートパソコン1台と充電器を、○月○日までに総務担当宛てに返送してください。返送が難しい場合は、○日までにご事情と返却可能日をご連絡ください」と伝える方法があります。期限は、配送に要する日数や本人の事情を踏まえて設定します。 連絡日時、送った内容、本人の回答、配送状況を記録します。窓口を一人にまとめると、経営者と担当者が異なる説明をすることも防げます。返却後は受領日と品物の状態を確認し、未返却の一覧を更新しましょう。 最後の給与は、通常の支払日だけで判断しません 退職者から賃金の支払いを請求された場合、労働基準法第23条により、原則として請求から7日以内に支払う必要があります。「会社は月末締め・翌月25日払いだから」と、通常の給与日まで当然に待ってもらえるわけではありません。 一方、退職したら請求の有無を問わず、すべての給与を必ず7日以内に支払うという意味でもありません。請求がない場合も、通常の支払日を守って精算します。請求が届いたら、受けた日、請求内容、回答した内容を記録し、担当者と支払期限を共有してください。 賃金額に争いがある場合も、異議のない部分は、この7日以内に支払う必要があります。例えば、基本給部分に争いはなく、残業時間の一部だけ確認が必要なら、その確認を理由に給与全体の支払いを止めないようにします。 ここでいう争いは、賃金等そのものに関するものです。パソコンが返ってこないことを理由に、「会社と本人で争いがあるので給与は払わない」と広く捉えることはできません。 給与担当者は、最終出勤日と退職日、勤怠、有給休暇、手当、法定控除を確認します。有給休暇を取得してから退職する場合、最終出勤日より後も雇用が続いていることがあります。貸与品を最後に使った日だけで、給与や保険の処理に用いる退職日を決めないようにしましょう。 当事務所では、給与・賞与計算の代行と、退職に伴う社会保険・労働保険の届出を取り扱っています。返却のやり取りとは別に、給与の確認や各種届出の手続きをご希望の場合は、退職日や支払請求の状況を添えて、ご依頼の範囲についてお気軽にご相談ください。 紛失や破損が判明しても、購入代金をそのまま請求できるとは限りません 本人から「なくした」「壊れている」と連絡があった場合は、いつ、どこで、どのような状況で起きたのかを確認します。貸与時の状態、使用期間、管理方法、本人の説明、会社の指示などを整理し、未返却なのか、紛失・破損なのかを区別します。 業務で使う物が破損したからといって、その購入代金の全額を当然に従業員へ負担させられるわけではありません。本人の責任の有無や程度、会社側の管理状況、実際の損害など、個別の事情を踏まえた判断が必要です。古い機器なのに、新品の購入価格をそのまま損害額とすることにも注意が必要です。 また、労働基準法第16条は、労働契約の不履行について違約金を定めたり、損害賠償額を予定したりする契約を禁止しています。「退職時に制服を返さなければ一律5万円」などの定めは、名目だけで判断せず、内容を確認しなければなりません。 この規定は、実際に生じた損害について、適法な範囲で請求することまで一律に禁止するものではありません。ただし、損害賠償を請求できるかという問題と、それを給与から控除できるかという問題は別です。本人が責任や金額を争っている場合は、給与計算の中で解決しようとせず、弁護士への相談を検討しましょう。 返却を待つ間も、情報と鍵の管理を進めましょう パソコンや携帯電話の未返却では、物品の回収に加えて、会社の情報を守る対応も必要です。退職日と業務上の必要性を踏まえ、会社が管理するアカウントや入館権限を確認し、利用停止や権限変更を進めます。退職前で業務が残っている場合は、引継ぎに支障が出ない時期も考慮します。 ただし、会社の機器だからといって、本人の私的なアカウントやデータを無制限に閲覧・削除してよいわけではありません。遠隔操作や初期化は、会社の規程、管理権限、データ保全への影響を確認し、必要に応じてシステム管理者や専門家へ相談してください。 鍵の未返却では、返却を待つだけで足りるか、施設の管理者と検討します。顧客情報や個人情報の持出しが疑われる場合も、単なる貸与品の回収として処理せず、社内の責任者へ速やかに共有します。返却の連絡と並行して、会社側で行える管理を進めることが大切です。 給与を止める前に、返却記録と社内ルールを確認しましょう 返却対象が明確で、本人と連絡が取れ、返送の予定も決まっている場合は、社内で回収と給与精算を進められることもあります。一方、返却と給与支払いを交換条件にしたい、弁償額を控除したい、本人と責任や金額が食い違う場合は、処理を決める前に相談しましょう。 相談時には、貸与品の一覧と受領書、就業規則・賃金規程、雇用契約書、退職日が分かる資料、勤怠記録、本人との連絡履歴を用意します。給与の支払請求を受けている場合は、その日付も伝えてください。資料がそろわないときも、分かっていることと不明な点を分けて共有できます。 当事務所は、人事・労務全般の相談と、就業規則の作成・変更に対応し、労務相談のみの契約も可能です。給与計算は社内で行いながら、退職時の説明や規程の運用を相談したい場合も、必要な支援をご提供できます。具体的な支援範囲と費用は、ご相談ください。 豊島区の中小企業で貸与品の未返却に困っている経営者の方は、まず、返してもらう物と給与の支払期限を別々に整理してみましょう。今回の回収を進めるとともに、貸与時の記録、退職時の返却案内、給与担当者との連絡方法を整えることが、次の退職時の行き違いを減らすことにつながります。
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残業時間の15分未満切り捨てはできる?中小企業の勤怠集計と見直しの進め方
「残業は15分単位で計算している」「給与ソフトの設定を以前から変えていない」日々の勤怠集計で、このような運用を続けている会社は、実際に働いた時間が給与へ反映されているかを確認する必要があります。 1日ごとに15分未満の労働時間を一律に切り捨て、その分の賃金を支払わない扱いは認められません。一方、月の合計時間については、限定された端数処理の取扱いがあります。この記事では、両者の違いと、中小企業が勤怠記録から給与計算までを点検する方法を解説します。 毎日の切り捨ては、短い時間でも賃金の不足につながります 例えば、午後6時が終業時刻の社員について、会社の指示で午後6時12分まで仕事をしたのに、給与計算では午後6時退勤として扱っていないでしょうか。この12分が労働時間に当たるなら、「15分に満たない」という理由で除外することはできません。 問題となるのは、紙のタイムカードだけではありません。勤怠システムの「丸め」「端数処理」などの機能で、退勤時刻を15分単位で切り下げたり、始業時刻を切り上げたりすることで、実際に働いた時間が短く集計される場合もあります。 「残業申請は30分以上から」というルールも注意が必要です。申請できる単位を理由に、実際の労働時間を記録・申告できない状態にしてはいけません。短い作業が発生しているなら、その内容と時間を把握し、賃金計算に反映する必要があります。 この考え方は、時給制のパートだけでなく、月給制の社員にも関係します。毎月の給与が定額でも、追加の労働に対する賃金や割増賃金の確認を省けるわけではありません。固定残業代を支給している場合も、切り捨てる前の実際の労働時間を把握し、不足額の有無を確かめます。 月の合計に認められる取扱いを、日々の集計へ広げないようにします 行政上、1か月の時間外労働、休日労働、深夜業のそれぞれの合計時間に1時間未満の端数がある場合、30分未満を切り捨て、30分以上を1時間に切り上げる取扱いは、賃金不払いの法違反として扱わないとされています。 ここで重要なのは、日々の時間を正しく把握して合計した後の、限定された取扱いであることです。毎日の残業を15分ずつ丸めてから月の合計を出す方法や、月合計でも端数を常に切り捨てる方法まで認めるものではありません。 例えば、1か月の法定時間外労働の合計が20時間20分だった場合を考えます。20時間40分なら21時間、20時間30分でも21時間に切り上げます。切り捨てだけを採用することはできません。 また、時間外労働・休日労働・深夜業を一括して丸めるのではなく、それぞれの合計について扱います。通常の勤務時間を含む月の総労働時間を、同じ方法で自由に切り捨ててよいという意味でもありません。 上記は一つの方法で、この取扱いを必ず採用する必要はありません。日々の労働時間を分単位で集計し、そのまま賃金計算に反映する運用もできます。既に実時間で支払っている会社が端数処理を導入する場合は、従来の労働条件や規程との関係も確認し、一方的に支給額を減らす変更を進めないようにしましょう。 打刻時刻と労働時間の違いを、具体的な作業から確認します 端数処理をやめる際も、「打刻されている時間のすべてが労働時間」と機械的に決めるわけではありません。労働時間は、会社の指揮命令下に置かれている時間かどうかで判断します。本人の都合で早く出社し、自由に過ごしている時間などは、直ちに労働時間になるとは限りません。 一方、会社が始業前の朝礼や清掃を義務付けている場合や、職場で所定の服装への着替えを求め、業務に必要な準備をさせている場合は、その時間も確認が必要です。会社が定めた始業時刻より前だからという理由で、当然に除外することはできません。 終業後についても、指示された片付けや業務報告を、打刻後に行わせていないかを確かめます。会社の明確な指示がなくても、仕事量や納期、上司の認識などから黙示の指示があったと評価される場合があります。 記録に差があるときは、本人と上司に作業内容を確認し、必要に応じてパソコンの使用記録や業務連絡と照合します。私用の滞在時間を区別することと、業務時間を切り捨てることは異なります。判断の理由と修正内容を残すことで、翌月以降も同じ基準で確認しやすくなります。 当事務所では、残業手当の管理方法を含む人事・労務全般の相談に対応しています。日々の記録をどこまで労働時間として扱うか迷う場合は、システムの設定だけで結論を出さず、実際に求めている作業を相談事項として整理してください。 元の記録から給与明細まで、数字が変わる箇所をたどります 点検するときは、元の打刻記録、勤怠システムの集計結果、給与ソフトへ渡すデータ、給与明細を順に照合します。打刻は分単位でも、途中の表計算や給与ソフトで15分単位に変更されていることがあります。 例えば、通常の労働時間制で、1日8時間勤務を終えた後に、会社の指示で12分ずつ、月10日残業したとします。ほかに残業がなく、すべて法定時間外労働に当たるなら、合計は120分、つまり2時間です。毎日15分未満を切り捨てると、給与計算上はゼロになってしまいます。 割増賃金の計算の基礎となる時間単価を1,600円、割増率を25%とすると、この2時間に対する賃金は4,000円です。これは、深夜労働などがなく、固定残業代の支払いもない例であり、実際の計算では各社の賃金条件を確認してください。 この例のように、日々の端数を月末に合計すれば、まとまった時間になることがあります。「1回では数分だから」という感覚ではなく、切り捨て前後の数字を比べることが必要です。 また、集計した時間を小数へ換算する場合も確認してください。2時間30分は2.5時間であり、2.30時間ではありません。勤怠側が「時・分」、給与側が「小数時間」で受け取る仕組みなら、受渡しの形式が合っているかを確かめます。 当事務所では、給与・賞与計算の代行も取り扱っています。集計と給与計算の担当者が異なる会社では、どの資料を誰が確認するか、修正した時間をどのように給与へ反映するかも、依頼範囲を検討する際の確認点になります。 設定変更と過去の不足分の確認を、並行して進めましょう 問題に気づいたら、まず元の打刻記録、集計表、設定内容、給与明細などを保存します。設定を変更して以前の処理が分からなくなる前に、いつから、誰に、どの単位で端数処理をしていたかを整理してください。 そのうえで、今後の集計方法を見直すとともに、過去に賃金の不足が生じていないかを確認します。「来月から直す」と決めても、既に発生した不足分がなくなるわけではありません。対象期間や再計算の方法、追加支払いについて、記録と個別事情に即した検討が必要です。 従業員には、今後の記録方法、申請の手順、修正が必要な場合の窓口を説明します。過去分の確認が続いている段階では、確認済みのことと調査中のことを分けて伝え、根拠がないまま「未払いはない」と断定しないことが大切です。 勤務実態が明確で、元の記録と賃金条件を基に再計算できる場合は、社内で点検を進められることもあります。一方、長期間同じ設定を使っていた、元データが残っていない、従業員から請求を受けた、就業規則と実際の処理が異なる場合は、回答や精算方法を決める前に相談しましょう。請求をめぐって紛争がある場合は、内容に応じて弁護士への相談も検討します。 相談時には、就業規則・賃金規程、雇用契約書、元の勤怠記録、端数処理の設定画面、集計表、給与明細を用意します。記録が不足している場合も、不明な範囲をそのまま共有してください。 当事務所は、労務相談のみの契約や、就業規則の作成・変更に対応しています。給与計算を自社で続けながら、集計方法や規程の扱いを相談することもできます。必要な支援と費用については、依頼内容に応じてご相談ください。 残業時間の端数処理を見直す出発点は、元の記録が給与へ正しく届いているかを確かめることです。豊島区で労務管理に悩む経営者の方も、直近の給与1か月分を取り出し、日々の集計と月末の処理を分けて確認してみましょう。
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パートの有給休暇は何日?中小企業が確認したい付与日数と管理の注意点
「週3日のパートにも有給休暇が必要なのか」「勤務日数を減らしたら、残っている有給休暇も減らしてよいのか」。短時間で働く従業員がいる会社では、正社員と同じ管理方法でよいか迷うことがあります。 パートやアルバイトにも、一定の要件を満たせば年次有給休暇が発生します。日数を決める際は、雇用形態の名称ではなく、継続勤務期間と所定労働日数・時間を確認します。この記事では、会社が付与日数を判断し、勤務表や給与処理へ反映する際の注意点を解説します。 まず、入社日と出勤率を確認します 法律上、最初の年次有給休暇は、雇入れの日から6か月継続勤務し、その期間の全労働日の8割以上出勤した場合に発生します。その後も、原則として1年ごとに出勤率などの要件を確認して付与します。会社が法律より有利な制度を設けている場合は、その定めも確認してください。 「週に数日しか来ない」「時給に有給休暇分を含めている」という理由で、付与の対象から外すことはできません。また、本人から申請がなくても、要件を満たせば権利は発生します。希望を出された時点から日数を計算し始めるのではなく、会社が付与日を把握しておく必要があります。 出勤率を計算する際の全労働日は、暦の日数ではなく、原則として働くことになっていた日です。週3日勤務の人について、正社員の勤務日数を分母にして出勤率を下げないようにしましょう。 さらに、年次有給休暇を取った日や、法律に基づく産前産後休業、育児休業・介護休業、業務上のけがや病気による療養のための休業期間は、出勤したものとして取り扱います。会社都合の休業日など、全労働日から除く日もあるため、打刻がない日をすべて欠勤として計算しないことが大切です。 契約を更新しながら働いている場合も、更新のたびに勤続期間がゼロになるわけではありません。雇用の実態が継続しているかを確認します。契約書だけでなく、入社時からの勤務記録を残しておくと判断しやすくなります。 付与日数は、週の勤務日数と時間を組み合わせて判断します 週所定労働時間が30時間未満で、週所定労働日数が4日以下の人には、原則として所定労働日数に応じた「比例付与」が適用されます。所定労働日数・時間とは、契約上、通常働くことになっている日数・時間です。 例えば、入社から6か月が経過し、出勤率の要件を満たす場合、週4日勤務なら7日、週3日なら5日、週2日なら3日、週1日なら1日が法定の付与日数です。いずれも週所定労働時間が30時間未満であることを前提とします。 一方、週5日以上勤務する人や、週所定労働時間が30時間以上の人には、通常の労働者と同じ日数を付与します。例えば、1日4時間・週5日勤務であれば、週20時間でも、最初の付与日数は原則10日です。「短時間だから全員5日」といった扱いはできません。 勤続期間が長くなると、付与日数も変わります。週3日・週30時間未満の勤務を続けている場合、法定日数は入社6か月で5日、1年6か月で6日、2年6か月で6日、3年6か月で8日となります。初年度の日数を毎年そのまま使わず、付与の都度、該当する区分を照合してください。 週以外の期間で所定労働日数を決めている場合は、年間の所定労働日数を基に判断します。月ごとに勤務日数が異なり、今後1年間の日数が確定していない場合も、「決まっていないから付与できない」とは扱えません。契約内容と過去の実績から、どの基準で算定するかを確認する必要があります。 よくあるのが、週のシフトが固定しておらず、週によって出勤日数が異なる場合、付与しなくてもよいという判断をしてしまう場合がありますが、年間の所定労働日数をしっかり確認して付与が必要です。 勤務日数を変更しても、付与済みの日数は減らしません 付与日数は、原則として、有給休暇を付与する日である「基準日」の所定労働日数・時間と継続勤務期間によって判断します。その後に勤務日数が変わったからといって、既に付与した日数を減らすことはできません。 例えば、週5日勤務の従業員に10日を付与し、未取得のまま、その後に週3日勤務へ変更した場合を考えます。会社が「週3日の区分は5日なので、残りも5日にする」と処理するのは適切ではありません。付与済みの10日は、そのまま管理します。 次の基準日には、その時点の勤務条件と通算した勤続期間を基に、新たな付与日数を判断します。反対に、週3日から週5日に増えた場合も、法律上の追加付与が変更日に当然に発生するわけではなく、原則として次の基準日に反映します。会社独自の上乗せ制度があれば、その内容も確認します。 このとき、過去の取得分や時効による消滅も別に管理します。有給休暇は原則として発生から2年で時効により消滅するため、前年からの繰越分と新たな付与分を区別しておくことが必要です。 当事務所では、有給休暇の管理方法に関する相談と、就業規則の作成・変更を取り扱っています。勤務条件を変更する際は、契約書の修正に加えて、次の付与日と日数、残日数の管理方法も相談事項として整理すると、従業員への説明の行き違いを防ぎやすくなります。 「年5日の取得義務」があるかは、その年の付与日数で確認します 法定の年次有給休暇が年10日以上付与される人には、基準日から1年以内に5日取得させる義務があります。パートでも対象になるため、正社員だけを管理していては不足します。 例えば、週4日・週30時間未満で働く人は、勤続3年6か月で法定の付与日数が10日になります。出勤率などの要件を満たしてこの日数が付与される場合、年5日の取得義務の対象です。 一方、前年の繰越分と今年の付与分を合計した残日数が10日以上あっても、今年の法定付与日数が10日未満なら、その合計だけで取得義務の対象になるわけではありません。「残日数が10日以上」と「その年に10日以上付与」を区別しましょう。 本人の申請や計画的付与によって取得した日数は、5日から差し引けます。既に5日以上取得していれば、会社による時季指定は不要です。不足分について会社が取得日を指定する際は、本人の意見を聴き、その意見を尊重するよう努める必要があります。 なお、年5日の取得義務の対象外であっても、本人が有給休暇を取れないという意味ではありません。会社による取得確保の義務と、本人が持つ休暇の権利は別の問題です。 よくある相談の中で、会社が一斉休業として計画的付与をする際に、有給休暇がない人や足りない人の扱いをどのようにするかということがあります。方法としてはいくつかありますので、状況に応じて対応しましょう。 勤務表と給与計算にも、有給休暇を正しく反映します 有給休暇は、もともと働く義務がある日に取得するものです。例えば、月・水・金が勤務日の人が水曜日に取得した場合は、1日分として扱います。勤務のない火曜日を有給休暇にして残日数を減らすことはできません。 1日4時間勤務の人が、その勤務日を丸1日休む場合も、原則として1日分の有給休暇を使います。「正社員の半分の時間だから0.5日」とは数えません。半日単位や時間単位の取得制度を使う場合は、会社の制度と必要な労使協定などを別途確認します。 取得日の賃金には、平均賃金、所定労働時間働いた場合の通常の賃金など、法律上の計算方法があります。どの方法を採用しているかを就業規則等で確認し、その都度、会社に都合のよい方法を選ばないようにします。 例えば、通常の賃金を支払う方法を採用し、時給1,300円・その日の所定労働時間が4時間なら、基本となる額は5,200円です。手当がある場合や日によって勤務時間が違う場合は、その条件も確かめます。 従業員ごとに、基準日、付与日数、取得日、取得日数、残日数を記録し、勤務表と給与処理の内容を照合します。申請を受ける上司と給与担当者が異なる会社では、承認後の連絡方法も決めておくと、反映漏れを減らせます。 日数や残高に疑問があれば、記録をそろえて相談しましょう 勤務条件と付与日が明確で、公的な付与日数表に沿って管理できる場合は、社内で対応することも可能です。一方、これまでパートに付与していなかった、契約上の日数と実際の勤務が違う、勤務日数の変更時に残高を減らしたといった場合は、現在の残日数を確定する前に確認が必要です。 相談時には、入社日が分かる資料、雇用契約書・労働条件通知書、契約変更の履歴、就業規則、勤務表、勤怠記録、有給休暇の付与・取得記録を用意します。過去の記録が不十分な場合も、分かっている事実と不明な点を分けて伝えてください。後から帳簿だけを整え、実際には休んでいない日を取得済みにすることは避けましょう。 当事務所では、労務相談のみの契約にも対応し、給与・賞与計算の代行も取り扱っています。給与計算は社内で続けながら、付与日数や規程の運用について相談する方法もあります。 パートの有給休暇は、入社日、出勤率、基準日の勤務条件を順に確認することで、管理の土台を整えられます。豊島区で労務管理に悩む経営者の方も、従業員から質問された機会に、契約書と休暇の記録が合っているかを確かめてみましょう。 判断に迷う点ほど、事前の整理と相談が大切です。お互いの『共通の認識』を作っておくことが、ブレない安心の労務管理につながります。
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休日出勤は代休で相殺できる?中小企業が確認したい振替休日と給与の扱い
「日曜日に出勤してもらったので、来週の平日に休んでもらう」「同じ日数だけ休ませれば、追加の給与は要らないはず」。休日出勤への対応で、このように考えていないでしょうか。 別の日に休みを設けても、働いた日の割増賃金が不要になるとは限りません。判断の出発点は、休日と勤務日を事前に入れ替えたのか、休日に働いた後で休みを与えたのかという違いです。さらに、出勤した日が法定休日かどうか、1週間の労働時間が何時間になるかも確認します。 この記事では、原則1日8時間・週40時間の労働時間制で働く社員を中心に、振替休日と代休の違い、給与計算と社内運用の注意点を解説します。 最初に、出勤した休日と変更の経緯を確認します 会社のカレンダーで休日になっている日が、すべて労働基準法上の「法定休日」とは限りません。法定休日は、原則として毎週少なくとも1回、または適法に採用した4週4日の制度によって確保する休日です。会社がそれに加えて設ける休日は、法定休日とは区別します。 例えば、土日を休みとし、日曜日を法定休日と定めている会社では、土曜日に働く場合と日曜日に働く場合で、割増賃金の判断が異なります。「休日出勤だから一律35%増し」「土曜日だから割増なし」とは決められません。就業規則、勤務カレンダー、実際の勤務状況を照合してください。 次に、いつ、誰が、どの日を休みにすると決めたのかを確認します。社内で「振休」と呼んでいても、出勤後に休む日を決めたのであれば、呼び方だけで振替休日になるわけではありません。申請書やメールを確認し、給与担当者にも判断の根拠が伝わるようにします。 振替休日は、出勤前に休日と勤務日を入れ替えます 振替休日は、あらかじめ休日だった日を勤務日に変え、その代わりに別の勤務日を休日にする扱いです。適切に振り替えられていれば、元の休日は勤務日となるため、その日に働いたことだけを理由とする法定休日労働の割増賃金は生じません。 ただし、「いつか暇になったら休んでよい」と伝えるだけでは、振替先の休日を特定したことになりません。就業規則等に振替の根拠を設け、出勤日と振替先の休日を事前に具体的に指定し、本人へ知らせることが必要です。少なくとも前日までの予告を基本とし、規程でより早い期限を定めている場合は、その手順にも従います。 振替後も法定休日を確保しなければなりません。4週4日の制度を用いる場合は、4週間の起算日などの確認が必要です。単に「1か月で4日休めばよい」と扱わず、会社が採用している休日制度に沿って判断してください。 また、1日全体の休日を別日に移すことと、休日に数時間だけ働いた分を別日の早退に充てることは同じではありません。原則として休日は暦日単位で確保するため、時間数だけを合わせて振替扱いにしないよう注意が必要です。 当事務所では、就業規則の作成・変更と、人事・労務全般の相談に対応しています。休日の振替を始めたいときは、規程の文言だけでなく、誰がいつ承認し、給与担当者へどう連絡するかという運用も含めて、相談事項を整理してください。 代休を与えても、休日労働の割増賃金は残ります 代休は、休日に働いたことへの代償として、後から別の労働日を休みにする扱いです。休日労働を行った事実は変わらないため、法定休日に働いた場合は、原則として35%以上の割増賃金が必要です。同じ週に代休を取った場合でも、この点は変わりません。 法定休日以外の休日に働いた場合は、1日8時間や週40時間を超える法定時間外労働に当たるかを確認します。該当する時間には原則25%以上の割増が必要です。月60時間を超える法定時間外労働には50%以上の割増が適用され、中小企業も対象です。深夜に働いた場合は、深夜割増も別に確認します。 代休の日を有給にするか無給にするかは、就業規則や労働契約などの定めによります。会社が有給と定めているのに、通常賃金分を当然に差し引くことはできません。「代休を取ったら常に35%分だけ払えばよい」という理解も避けましょう。 例えば、割増賃金の基礎となる1時間当たりの賃金が1,500円で、法定休日に8時間働いたとします。深夜労働等がなければ、その労働に対する賃金は1,500円×8時間×1.35で16,200円です。後日の代休の賃金をどう扱うかは別に判断し、休ませたことだけで16,200円の支払義務がなくなるわけではありません。 無給の代休を設ける場合も、控除の根拠、計算方法、賃金の算定期間を確認します。給与の締め日をまたぐときに、「来月休む予定だから今月の休日出勤分は払わない」と処理することは避け、各支払期の賃金を適切に精算してください。 事前に振り替えても、週をまたぐと時間外労働になる場合があります 振替休日の手続きを整えていても、時間外労働の割増まで必ず不要になるわけではありません。振替後の勤務について、1日と1週間の実労働時間を確認します。2週間や1か月の合計だけで帳尻を合わせないことが大切です。 例えば、週の起算日を月曜日とし、月曜から金曜まで毎日8時間勤務、土日休み、日曜日を法定休日としている会社を考えます。ある土曜日に8時間働いてもらい、翌週の水曜日を休日にすると、土曜出勤を含む週の実労働時間は48時間です。 この例では、翌週が32時間になっても、前の週の40時間を超えた8時間が消えるわけではありません。通常の労働時間制では、その8時間について時間外労働の割増賃金を検討します。適切な事前の振替であっても、週ごとの労働時間の確認は必要です。 一方、同じ週の水曜日と土曜日を事前に入れ替え、各日8時間、週40時間の勤務に収まり、ほかに時間外・深夜労働もなければ、法定の割増が生じない場合があります。ただし、会社の規程で法定基準を上回る手当を約束している場合は、その定めも確認します。 変形労働時間制やフレックスタイム制、週44時間の特例が適用される事業場などは、同じ計算をそのまま当てはめられません。まず適用される制度と週の起算日を確かめましょう。 出勤を依頼する前に、規程・36協定・給与処理をそろえます 休日出勤を依頼する際は、振替か代休か、出勤日と休む日、予定する労働時間、賃金の扱いを具体的に決めて伝えます。法定時間外労働や法定休日労働をさせる場合は、原則として事前に36協定を締結・届出し、協定と法令の範囲内で運用する必要があります。休みを別に与える予定があっても、この確認は省けません。 勤怠システムでは、「休日出勤」「振替」「代休」の名称だけで自動計算を任せず、設定が規程と合っているかを確認してください。出勤の承認記録、振替の通知日、実際に休んだ日を対応させて残すと、担当者が変わっても経緯を追いやすくなります。 規程と手続きが明確で、勤務時間と給与を正確に計算できる場合は、社内で対応できることもあります。一方、後から振替扱いにしている、休む日が未定のまま積み上がっている、給与の締め日をまたぐ、過去の割増賃金に疑問がある場合は、処理を確定する前に相談してください。 相談時には、就業規則・賃金規程、雇用契約書、36協定、勤務カレンダー、勤怠記録、給与明細、休日出勤や休みの指定が分かる記録を用意しましょう。当事務所では、労務相談のみの契約も可能で、給与・賞与計算の代行も取り扱っています。給与計算を社内で続けながら、休日の運用や賃金の判断について相談することもできます。依頼範囲と費用は個別に確認してください。 休日出勤への対応は、「別の日に休ませたか」だけでは決まりません。事前の振替の有無、休日の種類、週ごとの労働時間、規程上の賃金を順に確かめることが大切です。豊島区で労務管理に悩む経営者の方も、社員への説明と給与処理が食い違わないよう、出勤を依頼する段階から準備を進めましょう。
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固定残業代があっても追加支払いは必要?中小企業が確認したい計算と運用
「毎月、固定残業代を払っているので、残業代の精算はしていない」「契約書には20時間分と書いているが、昇給後も同じ金額でよいのか」。固定残業代を取り入れている会社では、こうした疑問が生じることがあります。 固定残業代は、一定の残業代を毎月定額で支払う仕組みです。支払っていれば何時間でも働いてもらえる制度ではなく、実際に必要な割増賃金が支給額を上回れば、差額の支払いが必要です。この記事では、すでに制度を運用している中小企業に向けて、書類と毎月の給与処理を確かめる手順を解説します。 まず、何の対価として支払う手当なのかを確認します 固定残業代では、通常の労働時間に対する賃金と、時間外労働などに対する割増賃金に当たる部分を、明確に区別できることが重要です。「月給に残業代を含む」とだけ伝えている場合は、何円が何時間分の残業代なのか確認しましょう。 例えば、基本給と別に「業務手当」を支給していても、名前だけで固定残業代になるわけではありません。職務への手当なのか、営業成績に応じた報酬なのか、時間外労働の対価なのかを、雇用契約書や賃金規程、採用時の説明などから確認します。 担当者が以前から残業代のつもりで処理していたという事情だけでは、従業員との認識が一致しているとは限りません。通常の賃金と区別できない場合などには、支払済みの手当を残業代として扱えるかが問題となり、追加精算の範囲にも影響します。 最初に、基本給、固定残業代の金額と対象時間、対象となる労働の種類、超過分の支払方法を書き出してください。対象が法定時間外労働だけなのか、深夜労働や法定休日労働も含むのかによって、毎月の照合方法が変わります。「残業代込み」という一言で済ませないことが出発点です。 毎月、実際の割増賃金と固定額を照合します 固定残業代を導入していても、労働時間の把握は必要です。始業・終業時刻や休憩を記録し、法定時間外労働、深夜労働、法定休日労働などを区分して集計します。固定残業代の対象時間に合わせて勤怠記録を修正したり、超過した時間の申告を止めたりしてはいけません。 確認は、実際の労働時間から必要な割増賃金を計算し、そのうち固定残業代で支払う対象の金額と、支給済みの固定額を比べる順で進めます。不足があれば、その月の給与で差額を支払います。固定残業代の対象外とした深夜労働などの賃金は、別に計算する必要があります。 例えば、計算方法を説明するため、通常の賃金の時間単価を1,600円、固定残業代を法定時間外労働20時間分の40,000円とします。深夜・法定休日労働はなく、月60時間を超える法定時間外労働もない場合、法定時間外労働1時間に対する額は、25%の割増を含めて2,000円です。 この月の法定時間外労働が25時間なら、必要な額は50,000円です。支給する固定残業代40,000円との差額10,000円を追加します。反対に10時間だった月も、時間外労働の有無にかかわらず定額を支払う定めであれば、実績が少ないという理由だけで固定残業代を減らしません。 また、残業の少なかった月の余りを、翌月の不足分に充てる処理はできません。毎月の給与について必要額を確認しましょう。欠勤や休職、入退社月の扱いは、実績が少ない月とは分けて、契約や賃金規程の定めを確認します。 当事務所では、残業手当の管理方法を含む労務相談と、給与・賞与計算の代行を取り扱っています。勤怠の集計と給与計算が別の担当者に分かれている会社も、現在の計算表や給与明細を基に、どの段階で差額を確認しているか整理しておくと相談を進めやすくなります。 昇給後は「20時間分」の金額が足りるか再確認します 導入時には適切に設定していても、基本給などの変更によって、固定額と対象時間の関係が変わることがあります。基本給を上げたときは、固定残業代を据え置いてよいかも確認してください。 先ほどの例で、昇給により通常の賃金の時間単価が1,800円になったとします。25%の割増を含む額は1時間2,250円となり、20時間分は45,000円です。契約上の固定残業代が40,000円のままなら、実際の法定時間外労働が20時間でも、必要額との差は5,000円になります。 このように、「契約書の時間数を超えていないから追加はゼロ」とは判断できません。時間数だけでなく、現在の賃金を基に計算した金額で照合することが大切です。 割増賃金の計算の基礎となる賃金や所定労働時間の確認が必要です。基本給以外の手当も計算の基礎に含まれることがあり、名称だけで算入・除外を決めないようにします。実際の運用で決定します。昇給、手当の新設、勤務時間の変更があったときは、給与設定を一緒に点検しましょう。 例年10月には最低賃金の改定もありますので、最低賃金と割増賃金の時間単価の確認も忘れずにすることが必要です。 求人票・契約書・給与明細の説明をそろえます 求人票では固定残業代があると説明しているのに、契約書には総額しかなく、給与明細では別の手当名になっていると、従業員が支払いの内容を理解しにくくなります。会社側も、どの条件で合意したかを確認しにくくなるため、書類を並べて照合することが有効です。 募集時には、固定残業代を除いた基本給、固定残業代の時間数・金額等の計算方法、超過分を追加支給する旨を明確に示します。採用時の労働条件通知書・雇用契約書や賃金規程についても、対象となる労働と精算方法が明瞭になっているか確かめます。 給与明細でも、基本給と固定残業代、追加で支払った残業代を区別して示すと、支払いの根拠を説明しやすくなります。ただし、明細の欄を分けるだけで、契約内容や計算上の問題まで解決するわけではありません。 見直しの際は、過去の契約書や給与記録を残したうえで、変更内容と適用時期を整理します。現在の月給の一部を、後から固定残業代だったことにする処理は避けてください。基本給の一部を固定残業代へ振り替える変更も、従業員に不利益となり得るため、総額が同じという理由だけで進めず、労働条件変更の手続きを含めて検討する必要があります。 当事務所では、就業規則の作成・変更にも対応しています。日々の給与処理で疑問が出たときに、計算方法に加えて規程の記載や運用を併せて確認することで、担当者が変わっても同じ基準で処理しやすくなります。 不足が疑われたら、制度の変更前に事実を整理しましょう 固定残業代の時間数は、「その時間まで必ず残業させる」という意味ではありません。また、固定残業代の支払いと、法定時間外労働などに必要な36協定の締結・届出は別の問題です。制度を導入していても、協定の内容や時間外労働の上限を守り、長時間労働を防ぐ必要があります。 追加の支払いが毎月続く場合は、固定額を増やすことだけで対応せず、仕事量、担当者の偏り、締切の設定なども見直しましょう。実際の残業が少ないことを理由に制度を廃止する場合も、従来の賃金を一方的に減らせるとは限りません。 相談するときは、雇用契約書・労働条件通知書、賃金規程、求人票、勤怠記録、賃金台帳や給与明細、昇給の履歴を用意します。「いつから、誰に、何時間分として、いくら支払ったか」と、差額精算の実施状況をまとめると、確認すべき範囲が明確になります。 契約内容が明確で、勤怠記録と計算方法も整っていれば、社内で毎月の照合を進めることもできます。一方、固定残業代の内訳が不明、昇給後に計算を見直していない、最低賃金を確認していない、従業員から過去の残業代を請求されたといった場合は、回答や制度変更を決める前に相談することが望まれます。請求をめぐる紛争がある場合は、内容に応じて弁護士への相談も検討します。 当事務所は、労務相談のみの契約にも対応しています。給与計算を自社で続けながら、固定残業代の考え方や規程の運用について相談したい場合も、お気軽にご相談ください。 固定残業代の運用では、導入時の説明だけでなく、毎月の実績との照合と、賃金変更時の再確認が欠かせません。豊島区で労務管理に悩む経営者の方も、まずは契約書の内容と直近の給与計算があっているか、確かめるところから始めてみてください。
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遅刻を繰り返す社員に減給できる?中小企業が確認したい給与控除と指導の進め方
「注意しても遅刻が続くので、給与を減らしたい」「10分の遅刻でも、30分単位で差し引いてよいのか」。始業時刻を守らない社員への対応では、周囲の負担や不公平感も気になるところです。 ただし、働かなかった時間分の賃金を支払わないことと、罰として給与を減らすことは、異なる扱いです。遅刻を改善してもらうためにも、給与の控除と指導を混同せず、事実と社内ルールを確認する必要があります。この記事では、通常の始業・終業時刻が決まっている社員を中心に、会社が確認したい点を解説します。 遅刻時間分の控除と、懲戒としての減給を区別します 本人の事情で遅刻し、働いていない時間については、原則として賃金は発生しません。その時間に対応する額を給与から差し引く扱いを、ここでは「遅刻控除」と呼びます。これに対し、職場の規律に違反したことへの制裁として、本来支払う賃金を減らすのが「減給の懲戒処分」です。 例えば、時給1,200円の社員が10分遅刻し、その10分について賃金を支払わない場合、対応する額は200円です。一方、「遅刻したら一律3,000円を引く」という運用は、単なる遅刻時間分の控除とはいえません。 月給制の場合は、雇用契約書や賃金規程を確認します。遅刻しても月額を減らさない定めがあれば、その内容に従う必要があります。また、基本給と各手当で支給条件が異なることもあるため、総支給額を一律に時間割りするとは限りません。「月給だから必ず控除できる」と決めつけないようにしましょう。 当事務所では、人事・労務全般の相談に加え、給与・賞与計算の代行を取り扱っています。遅刻への対応を見直すときは、指導方針だけでなく、賃金規程と実際の計算方法が一致しているかも、相談事項として整理できます。 この計算方法がきちんと行われていない場合、遡って正しい計算をし直す必要があり、間違いを発見してからかなり遡る必要が出てくる場合があります。 端数の切上げで、働いた時間の給与まで引かないようにします 遅刻控除として差し引く場合は、実際に働かなかった時間を確認します。10分の遅刻を30分に切り上げ、30分分の賃金を控除すると、実際に働いた20分についても支払わないことになります。 勤怠システムの集計単位が15分や30分になっていても、その設定だけで適法になるわけではありません。遅刻した時刻の記録と、給与計算に使う時間がどう処理されているかを確認してください。実際に働かなかった時間を超える部分は、単なる遅刻控除として処理できません。 先ほどの時給1,200円の例では、10分の遅刻控除は200円ですが、30分として計算すると600円になります。差額400円を「計算上の端数」として当然に引くことはできません。 また、始業時刻の前に会社が義務付けた準備作業を行わせている場合は、その時間の扱いも別に確認します。打刻時刻だけで遅刻かどうかを決めず、会社が働くことを求めている時刻と、実際に業務を始めた時刻を照合しましょう。フレックスタイム制などでは、通常の固定勤務と同じ基準をそのまま当てはめられない場合があります。 減給処分は、金額の上限だけで判断できません 懲戒として減給する場合、労働基準法第91条により、1回の事案に対する額は平均賃金1日分の半額まで、複数の事案がある場合の総額は一賃金支払期の賃金総額の10分の1までという制限があります。両方の制限を確認しなければなりません。 平均賃金は、通常の1日分の給与や基本給の日割額と同じとは限りません。原則として、算定事由が発生した日以前3か月間の賃金総額を、その期間の暦日数で割って求めます。賃金締切日がある場合の算定期間や、除外する期間・賃金、時給制・日給制等の最低保障なども確認が必要です。 ただし、「上限以内なら減給してよい」という意味ではありません。懲戒の事由と種類・程度について就業規則等の根拠があり、社員に周知されているか、定められた手続きを守っているかを確認します。後から規定を作り、過去の遅刻を当然に処分できると考えるのも避けましょう。 さらに、労働契約法第15条は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない懲戒を無効としています。遅刻の理由や回数、時間の長さ、業務への影響、これまでの指導、本人の改善状況などを踏まえる必要があります。 「遅刻3回で必ず1日分を減給」「月給の1割なら何か月でも減らせる」といった機械的な扱いは適切ではありません。遅刻控除と減給処分を併せて検討する場合も、それぞれの根拠と金額を分けて確認します。 指導では、遅刻の理由と改善してほしい行動を確かめます まず、遅刻した日、予定の始業時刻、実際の業務開始時刻、事前連絡の有無を整理します。「いつも遅い」という印象ではなく、具体的な記録を基に本人と話すことが大切です。 面談では、遅刻の理由と、会社が求める勤務ルールを理解しているかを確認します。寝坊、交通機関の遅延、通院などでは事情が異なります。体調や職場環境に関する訴えがあるときは、勤務態度だけの問題と決めつけず、必要な事実確認や勤務上の配慮を検討してください。 そのうえで、「始業時刻までに業務を開始する」「遅れると分かった時点で所定の連絡先へ知らせる」など、求める行動を具体的に伝えます。次に勤務状況を確認する時期も決め、会社の説明、本人の意見、合意した対応を記録します。改善が見られた点も残しておきましょう。 周囲の社員には、業務分担や連絡体制に必要なことを伝えますが、本人の健康状態や家庭事情、処分に関する情報を不用意に広げない配慮も必要です。皆の前で繰り返し叱責するなど、指導の方法自体がハラスメント問題にならないように進めます。 具体例で考える、給与処理と改善のための対応 例えば、従業員9人の会社で、事務担当者に月4回、各10分の遅刻があったとします。社長は「合計40分では軽すぎるので、半日分を引こう」と考えています。 この場合、遅刻控除として検討するのは、原則として働かなかった合計40分に対応する賃金です。まず、契約と賃金規程に基づく控除の可否・計算方法を確認します。半日分との差額を、そのまま遅刻控除に含めてはいけません。 別途、懲戒を検討するなら、規定の根拠、本人の事情、指導の経過、処分の相当性、減給額の制限を確認します。「9人だから就業規則は関係ない」と考えるのも適切ではありません。常時10人未満の事業場で作成・届出義務がない場合でも、懲戒には根拠となるルールの確認が必要です。そのため、常時10人未満の事業場でも、就業規則は準備しておいた方がトラブルになりにくいです。 面談で、本人が「始業時刻に出社すればよい」と理解していたことが分かったなら、会社が求める業務開始の時刻や準備作業の扱いを説明し直す必要もあります。給与を減らすことだけで解決しようとせず、原因に対応した指導と、その後の確認を進めましょう。 給与を確定する前に、規程と指導記録をそろえて相談しましょう 遅刻の事実と理由が明確で、控除の定めと計算方法にも疑問がなく、指導後に改善している場合は、社内の手順で対応できることもあります。すべての遅刻について、専門家への依頼が必要なわけではありません。 一方、減給処分を考えている、勤怠システムで時間を切り上げている、規程に控除の定めがない、本人と遅刻時間や理由の認識が異なる場合は、給与を確定する前に相談してください。既に控除している場合も、対象期間と計算の経緯をそのまま共有してください。 相談時には、雇用契約書・労働条件通知書、就業規則・賃金規程、勤怠記録、給与明細、注意や面談の記録を用意します。本人の説明と会社の受け止めを分けてまとめると、追加で確かめる事項を整理しやすくなります。 当事務所は、労務相談のみの契約にも対応し、就業規則の作成・変更を取り扱っています。給与計算は社内で続けながら、控除や従業員対応の判断を相談したい会社も、必要な部分だけご相談いただけます。処分の有効性などをめぐって紛争が生じている場合は、内容に応じて弁護士への相談も検討します。 遅刻への対応では、働かなかった時間の給与処理を正確に行い、勤務ルールを守ってもらうための指導を積み重ねることが大切です。豊島区で労務管理に悩む経営者の方も、規程と事実を検証してから従業員への対応を判断しましょう。業務で多忙など、検証に時間がかかるような様々なご事情があるかと思います。そんな時にはお気軽に弊所にお問い合わせください。
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会社都合の休業・早退で給与はどうなる?中小企業が確認したい休業手当の基本
「仕事が少ないので、明日は休んでもらいたい」「今日は暇だから、パート社員に早く帰ってもらいたい」。受注や来客が減ったとき、人件費をどう扱えばよいか迷う経営者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。 会社の判断で社員を休ませた場合、働いていない時間だからといって、給与を支払わなくてよいとは限りません。休業の理由によっては、休業手当の支払いが必要です。さらに、「6割払えば必ず問題ない」とも言い切れません。 この記事では、仕事の減少による休業や早退を中心に、支払いの判断、計算で間違えやすい点、社員へ伝える前に準備したいことを解説します。 仕事がないために休ませる場合は、休業手当を確認します 労働基準法第26条は、使用者の責めに帰すべき事由によって労働者を休業させる場合、平均賃金の60%以上の休業手当を支払うよう定めています。これは、会社側の事情で働けなくなった労働者の生活を保障するための制度です。 ここでいう会社側の事情は、経営者の故意や不注意だけに限られません。注文が減った、材料がそろわない、機械が故障したといった、経営上の事情も含まれます。「取引先から仕事が来ないので、会社も困っている」という理由だけで、支払いが不要になるわけではありません。 対象は正社員だけではなく、パートやアルバイトも含まれます。例えば、勤務が決まっていたパート社員に、予約が少ないことを理由に出勤を取りやめてもらう場合も、休業手当を検討します。 一方、もともとの休日や、本人の私的な事情による欠勤は、会社が休業させる場合とは区別します。まず、その日が働く予定の日だったのか、誰の判断で働かなくなったのかを確かめましょう。 自然災害などが関係する場合も、災害が起きたという理由だけで、一律に支払い不要とは判断できません。実際の被害、休業の直接の原因、休業を避けるためにできたことなど、個別の事情を確認する必要があります。 「月給の6割」ではなく、平均賃金を基に計算します 基本給だけを基準にしないようにしましょう 休業手当の基礎となる平均賃金は、原則として、算定事由が発生した日以前3か月間の賃金総額を、その期間の暦日数で割って求めます。賃金締切日がある場合は、原則として直前の締切日からさかのぼる期間を確認します。 賃金総額には、基本給のほか、残業手当や通勤手当なども原則として含めます。一方、臨時に支払われた賃金や、3か月を超える期間ごとに支払われる賞与など、算入しないものもあります。給与明細の総支給額を、そのまま機械的に使えるとは限りません。 例えば、対象期間の算入すべき賃金総額が72万円、暦日数が90日で、除外すべき期間などがないとします。平均賃金は8,000円となり、1日を全部休業させる場合の労働基準法上の最低額は、その60%の4,800円です。 この例で3日間休業させるなら、最低額は合計14,400円となります。ただし、就業規則や労働契約による支払いの定め、民法上の賃金請求の問題は、別に確認します。 時給・日給の社員には最低保障の確認も必要です 時給制や日給制などの場合は、暦日数で割る原則の計算に加えて、実際の労働日数などを使う最低保障の計算も確認します。勤務日数が少ないパート社員について、暦日数で割った金額だけを採用すると、平均賃金を低く計算してしまう可能性があります。 また、入社して3か月に満たない場合や、算定期間中に会社都合の休業、業務上の負傷による療養などがある場合は、計算に使う期間や賃金の扱いを確認します。全社員に同じ計算式を当てはめる前に、賃金の決め方と勤務の経過を整理してください。 当事務所では、労務相談に加えて給与・賞与計算の代行を取り扱っています。休業を実施するかという判断と、給与にいくら反映するかという処理を併せて検討したい場合は、賃金台帳や勤怠記録を基に相談できます。 半日だけの休業や早退は、1日全体の支払額を見ます 「午前中だけ働いてもらい、午後は帰ってもらう」という場合は、働いた時間の賃金に加えて、休業手当が必要になるかを確認します。休ませた時間に、そのまま時給の60%を掛けるという計算ではありません。 1日の一部を会社都合で休業させた場合は、その日に実際に働いた分の賃金が平均賃金の60%に届かなければ、少なくともその差額を休業手当として支払う必要があります。 例えば、平均賃金が8,000円、時給が1,200円の社員が、予定していた勤務のうち2時間だけ働き、会社の指示で帰宅したとします。働いた分の賃金は2,400円です。平均賃金の60%である4,800円との差額2,400円が、労働基準法上必要となる休業手当の最低額です。 反対に、その日の労働に対する賃金が平均賃金の60%以上であれば、同条による差額の支払いは生じません。ただし、これで契約上の支払いまで確定するわけではありません。給与を全額支払うべき事情や、社内規程で定めた保障がないかも確認します。 現場の責任者が「今日は上がってよい」と伝え、給与担当者は本人希望の早退として処理してしまうことも考えられます。勤怠記録には、帰宅時刻だけでなく、会社の指示なのか、本人の申出なのかも残すことが大切です。 6割の支払いと、給与を減らせるかという問題は別です 休業手当の60%という数字は、労働基準法上の最低基準です。就業規則や労働契約で、それより手厚い支払いを定めていれば、その内容を確認しなければなりません。月給の社員について、休業分をどのように扱うかも、賃金規程などを確かめます。 さらに、民法第536条第2項により、会社側の事情によって働けなかった期間の賃金を全額請求できる場合があります。労働基準法上の休業手当を支払ったことだけで、それ以上の賃金を支払う義務がなくなるとは限らない点に注意が必要です。 「休業手当を払う代わりに、有給休暇を使ったことにする」という一方的な処理も避けてください。本人が希望する年次有給休暇と、会社が仕事の都合で休ませることは区別します。計画的付与などの制度を利用する場合にも、必要な手続きがあります。 シフト制では、確定していた勤務を取り消したのか、まだ勤務日が確定していなかったのかも確認します。ただし、シフトを確定させなければ自由に勤務をゼロにできるという意味ではありません。雇用契約で約束した勤務日数・時間や、これまでの運用も踏まえて判断します。 社員に伝える前に、理由・日程・支払いを整理しましょう 休業を検討するときは、まず理由、対象者、予定日、終日の休業か一部の休業かを書き出します。ほかの業務や研修に振り替えられないかも検討し、実施する場合は、いつ見直すのかを決めておきましょう。 社員には、休業の理由と期間に加え、給与の取扱い、支払日、連絡窓口を具体的に説明します。支払いの扱いを曖昧にしたまま休んでもらい、給与明細で初めて減額を知らせると、認識の違いが生じやすくなります。休業手当も賃金であり、原則として通常の賃金支払日に支払います。 相談の際は、雇用契約書・労働条件通知書、就業規則・賃金規程、賃金台帳、勤怠記録、確定済みのシフト表などを用意すると、判断と計算を進めやすくなります。すでに社員へ伝えている場合は、通知やメールの内容も共有してください。 規程と計算方法が明確で、個別の事情も整理できている場合は、社内で対応できることもあります。一方、初めて休業を実施する、時給制と月給制の社員が混在する、社員から全額の支払いを求められている場合は、給与処理を決める前の相談が望まれます。賃金請求をめぐる紛争がある場合は、弁護士への相談も検討します。 当事務所では、人事・労務全般の相談、就業規則の作成・変更に対応し、労務相談のみの契約も可能です。給与計算を社内で行う会社も、休業時の判断や規程の運用について相談できます。依頼する業務の範囲と費用は、個別に相談してください。 会社都合で社員を休ませるときは、「何割払うか」を決める前に、休業理由、契約と規程、平均賃金の計算を順に確かめることが大切です。豊島区で労務管理に悩む経営者の方も、社員への説明と給与処理が食い違わないよう、実施前から準備を進めましょう。
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無断欠勤の社員と連絡が取れないときは?中小企業の初動と退職判断の注意点
「出勤予定の社員が来ず、電話にも出ない」「何日待てば退職として扱えるのか」。突然の無断欠勤では、仕事の穴を埋めながら、本人への対応も考えなければなりません。 まず必要なのは、安否と欠勤理由の確認です。連絡がないことだけで、本人が辞めたと決めつけることは避けましょう。この記事では、期間の定めのない社員を中心に、連絡が取れないときの初動、給与の処理、退職や解雇を検討する前の確認事項を解説します。 最初は安否と連絡の行き違いを確認します 出勤時刻を過ぎても姿が見えない場合は、まず勤務予定、有給休暇の申請、直行や勤務変更の連絡がないかを確認します。上司には伝えていなくても、別の担当者が欠勤連絡を受けている可能性があります。社内で確認する前に「無断欠勤」と断定しないことが大切です。 本人の携帯電話や、通常使用しているメールなどで連絡を試みます。応答がない場合は、会社が把握している緊急連絡先への確認も検討します。家族等に伝える内容は、安否確認に必要な範囲にとどめ、勤務上の評価や処分の話まで不用意に広げないようにします。 事故や急病が疑われる事情があるときは、その切迫性に応じて警察や消防への相談を検討します。自宅を訪問する場合も、会社の社員だからといって無断で住居に入れるわけではありません。安否確認と、欠勤に対する指導は分けて進めましょう。 本人と連絡が取れたら、欠勤理由、現在の状況、連絡できなかった事情、今後連絡できる方法を確かめます。体調不良や職場での問題が背景にある場合は、直ちに出勤を迫るのではなく、必要な休暇・休職の手順や、職場の状況確認を検討します。 連絡の経過を残し、回答を求める内容を具体化します 会社からの連絡は、日時、担当者、方法、伝えた内容、本人の反応を記録します。「何度も電話した」という記憶だけでなく、発信履歴やメールの本文、郵便物の控えなどを残すと、次に必要な対応を判断しやすくなります。 連絡窓口をできるだけ統一することも有効です。社長と上司が別々に連絡し、一方は出勤を求め、もう一方は退職の話をしてしまうと、会社として何を求めているのかが曖昧になります。本人から連絡があった際に誰へ報告するかも決めておきましょう。 連絡がつかない状態が続く場合は、登録された住所への書面による連絡を検討します。書面には、会社が確認している欠勤日、欠勤理由や安否の回答を求めること、連絡先、回答期限などを記載します。期限は、郵便の到達に要する時間や判明している事情を踏まえて設定します。 「返事がなければ自動的に退職とする」といった結論を、規程や事情を確認せずに書くことは避けてください。出勤を求めることが適切かどうかも、健康状態などを踏まえて判断します。内容証明郵便を使えば、記載した処分が当然に有効になるわけでもありません。 郵便が返送された場合は、宛先不明、保管期間経過、受取拒否などの理由を確認し、封筒とともに保管します。送ったという事実と、相手に通知が届いたと評価できるかは別の問題です。雇用終了の通知まで検討する段階では、通知方法も含めて専門家に確認しましょう。 欠勤中の給与と業務の引継ぎは分けて対応します 欠勤して働いていない時間については、原則として賃金は発生しません。ただし、実際に控除できる範囲や計算方法は、雇用契約と賃金規程を確認します。月給という名称だけで全額支給や全額不支給を決めず、基本給と各手当の支給条件を分けて確かめましょう。 無断欠勤があっても、既に働いた分の給与まで支払わなくてよいわけではありません。貸与したパソコンが返却されない、取引先への対応で損害が出たといった事情があっても、その費用を会社の判断で給与から差し引くことは避けてください。欠勤分の不支給と、損害賠償の問題は別に扱う必要があります。 給与の締日が迫っているときは、確認済みの勤怠と、判断が未確定の部分を整理します。社会保険の資格喪失手続きも、無断欠勤が始まっただけで進めるものではありません。雇用終了の有無や日付を確認してから、必要な手続きを検討します。 業務面では、顧客対応、納期、入金・支払いなど、止められない仕事を洗い出し、代替担当を決めます。会社の情報やシステムへのアクセスは、社内規程と必要性に応じて管理しますが、本人の私物端末や個人アカウントを当然に調べてよいわけではありません。 当事務所は、人事・労務全般の相談に加え、給与計算や社会保険・労働保険の届出代行を取り扱っています。欠勤への対応と給与の締め処理が重なる場合も、判断が必要な点と、事務処理として進める点を整理して相談できます。依頼する範囲と費用は、個別に対応となります。 「2週間で退職・解雇できる」とは限りません 無断欠勤が続くと、「2週間たてば辞めたことにできる」と考えられることがあります。しかし、無断欠勤が2週間続けば自動的に労働契約が終了するという、一般的な法律のルールはありません。 厚生労働省は、解雇予告を省略するための認定基準の例として、正当な理由のない2週間以上の無断欠勤と、出勤の督促に応じない場合を挙げています。これは、2週間経過すれば必ず解雇できるという意味ではありません。解雇予告等の例外に関する判断と、解雇そのものが有効かどうかは区別する必要があります。 就業規則に、一定期間の無断欠勤や所在不明を自然退職の事由とする規定があっても、日数だけで機械的に処理することは避けましょう。規定の内容や周知状況、欠勤理由、連絡の経過などを確認し、その規定を適用できるかを検討します。規定があれば、あらゆる場合に有効になるわけではありません。 会社から解雇する場合は、客観的に合理的な理由と社会通念上の相当性が必要です。懲戒解雇なら、就業規則上の根拠や処分の重さ、本人の説明をきく機会、定められた手続きも確認します。有期契約の途中での解雇には、原則としてやむを得ない事由が必要となるため、同じようには扱えません。 また、解雇では、原則として30日前の予告か、予告に代わる平均賃金30日分以上の手当が必要です。予告と不足日数分の手当を組み合わせる方法もあります。労働者の責任を理由に予告と手当を省略する場合には、労働基準監督署長の除外認定が必要です。懲戒解雇という名称だけで省略できるものではありません。 退職処理の前に、事実と規程をそろえて相談しましょう 例えば、従業員15人の会社で、営業担当者が3日間出勤せず、携帯電話にも応答しないとします。上司は退職扱いを提案していますが、本人は前週に体調不良を訴えており、会社からは電話しかしていません。 この段階では、辞める意思があると決めつけず、安否と欠勤理由を確認する連絡を検討します。同時に、取引先への対応を代替担当へ振り分け、勤怠と連絡の経過を残します。後日、本人から入院していたと説明があれば、資料を確認し、欠勤や休職の扱いを改めて検討します。 短期間の行き違いで、本人と連絡がつき、規程に沿って処理できる場合は、社内で対応できることもあります。一方、連絡が取れないまま雇用を終了させたい、給与から損害額を引きたい、本人と説明が食い違っている場合は、通知や処理をする前に相談することが望まれます。 相談時は、雇用契約書、就業規則、賃金規程、勤怠記録、連絡履歴、郵便物の控えを用意します。「最後に出勤した日」「最後に連絡が取れた日」「会社が確認できていないこと」を分けてまとめると、検討すべき点が明確になります。 当事務所は、解雇等のトラブルを含む労務相談のみの契約にも対応し、就業規則の作成・変更も取り扱っています。給与計算や手続きを社内で行う会社も、従業員対応や規程の運用についてご相談可能です。紛争が生じている場合や通知の法的効力が問題になる場合には、事案に応じて弁護士への相談も検討しましょう。 無断欠勤への対応は、本人の安否確認から始め、連絡の記録、給与処理、雇用終了の判断を順に進めることが大切です。豊島区で労務管理に悩む経営者の方も、「いつ退職にできるか」という結論を急ぐ前に、いま確認すべき事実を整理してみてください。
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復職可能の診断書が出たら?中小企業が確認したい復職判断と受入れ準備
「休職中の社員から、来月から復職できるという診断書が届いた」「本人は戻りたいと言っているが、以前の仕事を任せてよいか迷っている」。こうした場面では、復職日を決める前に、医師の意見と職場の受入れ条件を整理することが大切です。 診断書は重要な判断材料ですが、それだけで従来どおりの勤務ができると決まるわけではありません。一方、会社が不安を感じるというだけで、復職を拒んでよいわけでもありません。この記事では、メンタルヘルス不調による私傷病休職からの復職を中心に、中小企業が確認すべき事項を解説します。 診断書の「復職可能」が何を前提にしているか確かめます 主治医は、診察で把握した状態などから復職について意見を示します。ただし、本人が職場で担当する作業や、繁忙期の負担まで詳しく知っているとは限りません。日常生活を送れる程度に回復したことと、職場で求められる仕事を継続できることには、違いがある場合があります。 例えば、診断書に「復職可能」とだけ記載されていても、通常の勤務時間で働けるのか、当面は残業を避ける必要があるのか、通院のための調整が必要なのかは分からないことがあります。記載が簡潔であることだけで診断書を判断せず、勤務上の条件を追加で確かめましょう。 まず本人に復職の希望時期と、医師から受けている説明を確認します。そのうえで、不明点を整理し、本人の同意を得て主治医との情報交換を検討します。産業医等の医学的な意見を踏まえ、会社が実際の業務や職場の状況と照合して、最終的な復職判断につなげます。 経営者や社労士が病状を診断したり、治療の要否を決めたりすることはできません。社労士への相談では、医学的な判断を求めるのではなく、医師に確認したい勤務条件や、就業規則上の手順を整理することをおこないます。 就業規則と仕事内容を並べて確認します 就業規則や休職規程、休職開始時の通知を用意し、復職の申請方法、必要書類、面談の手順、判断する担当者、休職期間の満了日を確認します。会社が以前に説明した内容と規程に違いがあるときは、その経緯も整理してください。 満了日が迫っている場合でも、診断書の提出日だけを見て結論を急がないことが大切です。復職の可否や期間満了時の扱いは、規程の文言に加え、実際の回復状況、労働契約の内容、配置や業務調整の可能性などを踏まえた検討が必要です。 仕事内容は、「事務職」「営業職」といった職種名だけでなく、具体的な作業に分けます。長時間の画面作業、電話の同時対応、厳しい締切、車の運転、一人で行う判断など、負担や安全に関係する事項を書き出しましょう。 主治医へ情報を伝える際も、通常の勤務時間や作業内容と、会社が調整できそうな事項を分けて示すと、勤務上の配慮について意見を得やすくなります。「完全に治ったことを証明してほしい」という抽象的な求め方では、実際の仕事との関係が明確になりません。 当事務所は、人事・労務全般の相談と就業規則の作成・変更を取り扱っています。規程に復職の手順がない、上司によって説明が異なるといった場合は、今回の対応と、今後の規程整備を分けて検討することができます。現在の休職者に不利益な条件を後から一方的に加えることにならないよう、変更の進め方も確認しましょう。 受入れ条件は業務・時間・賃金・見直し時期まで具体化します 復職を進める場合は、開始日だけでなく、当初の担当業務、勤務時間、残業や出張の扱い、相談窓口を文書にまとめます。「無理のない範囲で働く」と伝えるだけでは、本人と上司で想定する仕事量が違うままになることがあります。 勤務上の配慮は、医師の意見を踏まえ、必要性と会社が実施できる方法を検討します。短時間勤務を取り入れるなら、出退勤時刻、実施期間、賃金の計算方法、通常勤務へ戻す際の確認方法まで整理します。勤務時間を短くしたことだけで、従前の給与を自由に減らせるわけではありません。労働契約や賃金規程を確認し、必要な説明や合意の手続きを進めます。 また、「試し出勤」という名称を使えば無給にできるわけではありません。会社の指示で顧客対応や資料作成などを行わせる場合は、実態に応じて労働時間や賃金の扱いを判断する必要があります。正式な復職前の制度として実施するなら、目的、内容、期間、事故時の対応も事前に確認してください。 受入れを支える同僚の業務量も見直します。復職者の担当を減らした結果、特定の人だけに締切の厳しい仕事が集まるようでは、体制を維持しにくくなります。業務の優先順位や分担を会社として決め、現場任せにしないことが大切です。 健康情報は、仕事上の配慮に必要な範囲に絞って扱います。診断書の保管者や閲覧できる人を決め、病名や治療内容を職場全体へ当然に共有することは避けましょう。同僚に何を説明するかは、本人の意向を確認しながら、情報の内容と共有の範囲を整理します。 具体例で考える、受入れ準備と復職後の確認 例えば、従業員18人の会社で、受注入力を担当していた社員から復職の申出があったとします。主治医の意見には「当面は残業を避けること」とありますが、復職予定の月には大口取引先の締切が集中しています。。 このとき、会社が定時退社を認めても、以前と同じ件数を一人で処理するよう求めれば、実際の負担は軽くならないかもしれません。入力の件数だけでなく、締切の集中や急な修正への対応も含め、当初の仕事を検討します。 例えば、定型的な入力を中心にし、急ぎの修正は上司が受け付ける方法が考えられます。本人、上司、必要な医療関係者の意見を踏まえて実施内容を決め、一定期間後に、勤務状況と負担を確認する日を設けます。これは一例であり、全員に同じ業務制限や期間が適するわけではありません。 復職後の面談では、出勤できたかだけでなく、予定した配慮が実施されているか、業務が予定時間に収まっているか、本人が相談しにくい状態になっていないかを確認します。上司の観察と本人の説明を記録し、医師の意見も踏まえて、業務量や勤務条件を見直しましょう。 復職を認めるか迷ったら、回答前に相談しましょう 必要な情報が揃い、規程に沿って受入れ条件を決められる場合は、社内で対応できることもあります。すべての復職について、外部への依頼が必要というわけではありません。 一方、医師の意見と会社の想定する仕事が合わない、勤務時間や賃金の扱いで本人と認識が違う、休職期間満了を理由に雇用を終了しようとしている場合は、本人へ結論を伝える前に相談することが望まれます。雇用終了の有効性などをめぐって争いがある場合は、事案に応じて弁護士への相談も検討します。 相談時には、就業規則、雇用契約書、休職通知、診断書、本人とのやり取りを用意します。復職後に任せたい仕事と、調整できること・難しいことを書き添えると、会社がどこで迷っているかを伝えやすくなります。健康情報を外部に提供する際も、本人の同意など必要な取扱いを確認してください。 当事務所は、労務相談のみの契約にも対応しています。給与計算や保険手続きは社内で行いながら、従業員への説明や規程の運用について相談したい会社も、必要な支援の範囲を検討できます。契約に含まれる業務と費用は、依頼内容に応じて確認しましょう。 復職への対応では、診断書を受け取って終わりにせず、実際の仕事、勤務条件、復職後の確認方法まで整えることが重要です。豊島区で労務管理に悩む経営者の方も、復職を認めるかどうかだけを抱え込まず、判断に足りない情報と受入れ準備を整理するところから始めてみてください。
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試用期間中なら解雇できる?本採用を迷う中小企業が確認したい判断と対応
「入社から2か月たってもミスが続く」「試用期間が終わる前に、本採用を見送ると伝えてよいのか」。採用した従業員の働きぶりに不安があるとき、判断を急ぎたくなる経営者もいるでしょう。 しかし、試用期間は、会社が自由に雇用を終了できる期間ではありません。まず確認したいのは、採用時に何を求め、どのように指導し、本人がどう対応してきたかです。この記事では、期間の定めなく採用した従業員に試用期間を設けた場合を中心に、本採用を迷ったときの確認事項と相談の進め方を解説します。 試用期間中も労働契約は成立しています 一般的な試用期間では、入社時から労働契約が成立しています。適性を確かめるために、一定の条件の下で契約を終了する権利を会社が留保していると考えられます。そのため、「まだ正式な社員ではないので、期間が終われば契約も終わる」とは扱えません。 試用期間中の解雇や、期間満了時の本採用拒否には、試用の目的に照らした客観的に合理的な理由と、社会通念上の相当性が必要です。通常の解雇より判断の余地が広いとされますが、経営者の印象だけで自由に決められるという意味ではありません。 採用後に分かった勤務上の問題について、その内容や程度、採用時に期待した役割、指導の経過などを確認します。「社風に合わない」「覚えが悪い」といった評価は、何が起きたかを説明しなければ、判断の根拠が曖昧なままになります。 なお、「最初の3か月は有期契約」という場合は、試用期間付きの無期契約と同じではありません。契約期間の途中での解雇には、原則としてやむを得ない事由が必要です。満了時に更新しない場合にも別のルールが関わります。名称だけで決めず、契約書の記載と採用時の説明、実際の運用を確認しましょう。 最初に採用条件と問題の内容を照合します まず、雇用契約書や労働条件通知書、就業規則、求人票などを揃え、試用期間の開始日と終了日、担当業務、本採用の判断に関する定めを確認します。求人票で説明した仕事と、入社後に任せている仕事に違いがないかも見てください。 同じ「仕事が遅い」という問題でも、未経験者として育成する前提で採用した場合と、特定の業務を任せる即戦力として採用した場合では、確認すべき事情が異なります。会社が求める水準を本人に伝えていなかったり、必要な研修を受けさせていなかったりすれば、本人の能力だけを問題にすることは適切ではありません。 次に、問題が起きた日、担当した仕事、指示の内容、結果、業務への影響を整理します。納期の遅れであれば、当初の期限、途中の追加指示、業務量、本人からの相談の有無まで確認すると、原因を検討しやすくなります。 遅刻や欠勤についても、勤怠記録だけでなく、連絡の状況や本人が説明した事情を確認します。体調や職場環境に関する訴えがあるときは、単なる勤務態度の問題と決めつけず、必要な配慮や事実確認を別途検討してください。 当事務所では、解雇等のトラブルを含む人事・労務全般の相談を取り扱っています。「本採用を断れるか」だけでなく、判断に必要な資料が不足していないか、会社側の説明や運用に課題がないかという段階から、相談事項を整理いたします。 指導は改善してほしい行動と確認日を具体的にします 指導するときは、「もっとしっかりしてほしい」という抽象的な注意で終わらせず、どの仕事の、どの行動を改善してほしいかを伝えます。本人の説明も聞き、理解不足なのか、指示が曖昧なのか、業務量に無理があるのかを確かめましょう。 例えば、入力ミスが続く場合は、確認手順を一緒に見直し、提出前に照合する項目を示す方法があります。そのうえで、次にいつ状況を確認するか、誰が支援するかを決めます。仕事の性質や習得に必要な時間に応じ、改善の状況を確認できる進め方にすることが大切です。 面談後は、日時、伝えた内容、本人の説明、会社が行う支援、次回の確認予定を記録します。改善した点も残してください。不利な出来事だけを集めると、実際の変化や会社の指導状況を正しく把握できなくなります。 記録は、解雇するための材料を後から作るものではありません。本人と会社の認識をそろえ、勤務を続けられる可能性を検討するためのものです。過去にしていない注意をしたことにしたり、面談記録の日付をさかのぼらせたりしてはいけません。 例えば、従業員12人の会社で、未経験で採用した事務担当者に請求書の入力ミスが続いているとします。社長は能力不足を心配していますが、担当者ごとに入力方法が違い、確認者も決まっていませんでした。 この場合、まず入力方法と確認者を統一し、本人に手順を説明して、作業結果を確認することが考えられます。その後も問題が続くか、どの部分が改善したかを見ます。「ミスが何回あれば解雇できる」と回数だけで結論を出すことはできません。 試用期間の延長と解雇予告は分けて検討します 試用期間の終わりが近づくと、「判断できないので延長したい」と考えることもあるでしょう。ただし、延長を当然にできるとは限りません。就業規則や契約の根拠、延長の必要性、期間の相当性、本人への説明などを確認する必要があります。 延長する場合も、何を確かめるための期間なのか、評価する業務、会社が行う支援、判断時期を明らかにします。単に結論を先送りするために繰り返し延長する運用は避けましょう。本人の同意があれば、どのような延長でも問題がなくなるわけではありません。 解雇を検討する場合には、解雇理由の妥当性とは別に、解雇予告等の手続きを確認します。試用期間中の従業員でも、14日を超えて引き続き雇用した場合は、原則として30日前の予告か、予告に代わる平均賃金30日分以上の解雇予告手当が必要です。予告期間が30日に足りない場合は、不足日数分の手当を支払う方法もあります。 最初の14日以内に解雇予告の例外が適用される場合でも、合理的な理由が不要になるわけではありません。また、解雇予告手当を払えば、理由に問題のある解雇まで有効になるわけでもありません。手続きと解雇の有効性を混同しないことが重要です。 本採用を見送る旨を伝えてから、理由や手続きを整えようとすると、既に伝えた説明との食い違いが生じることがあります。終了日だけを先に決めず、判断理由と必要な手続きを、本人への通知前に確認しましょう。 本採用に迷ったら満了前に社労士へ相談しましょう 評価基準が明確で、指導後に改善が見られ、本採用する方向で問題なく進められる場合は、社内の手順で対応できることもあります。すべての試用期間について、外部への依頼が必要というわけではありません。 一方、本採用を見送りたい、延長の根拠が分からない、上司によって評価が違う、既に本人へ退職を求めたといった場合は、早めの相談が望まれます。満了直前まで待たず、どの時点で何を確認するかを検討する時間を確保しましょう。 相談時には、契約書、労働条件通知書、就業規則、求人票、勤怠記録、指導や面談の記録を用意してください。会社が困っていることに加え、本人の説明と改善状況も共有してください。資料が全部揃っていなくても、手元にあるものと未確認の事項を分ければ、相談の出発点になります。 当事務所は、労務相談のみの契約に対応し、就業規則の作成・変更も取り扱っています。手続きや給与計算を社内で行っている会社も、従業員への対応判断についてご相談可能です。継続的な相談や規程の見直しを依頼する場合にも、柔軟に対応可能ですので、ご相談ください。 既に解雇の有効性をめぐって争いが生じている場合などは、事案に応じて弁護士への相談も検討します。社労士に相談すれば、あらゆる紛争の交渉や訴訟まで任せられるというものではありません。 試用期間の対応で大切なのは、満了日に結論を出すことだけではなく、採用時の期待を具体化し、指導と評価を積み重ねることです。豊島区で労務管理に悩む経営者の方も、本採用を見送ると伝える前に、契約と事実関係を整理し、適切な対応をご相談ください。
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