士業コラム
月給の社員が欠勤したら給与はどう計算する?欠勤控除の確認ポイント

月給の社員が欠勤したら給与はどう計算する?欠勤控除の確認ポイント

「月給の社員が病気で数日休んだ。給与から何日分を差し引けばよいのだろう」「基本給以外の手当も計算に含めるのだろうか」 毎月一定額を支払っている場合でも、欠勤した月の給与計算に迷うことがあります。

欠勤控除を考えるときは、まず休みの種類と賃金の定めを確認し、対象となる日数や時間、計算の基礎となる賃金を整理します。この記事では、中小企業の経営者が給与計算の前に確認したい点と、計算後の説明の進め方を解説します。

まず「欠勤」として扱う日を確認します

給与を計算する前に、勤務予定表、勤怠記録、本人からの連絡を照らし合わせ、その日がもともと働く予定の日だったかを確認しましょう。所定休日と、所定労働日に休んだ日を同じように数えることはできません。打刻がない日も、入力漏れや勤務場所の変更が原因の場合があります。

病気による欠勤として連絡を受けていても、年次有給休暇の申請があったか、会社独自の有給の病気休暇が適用されるかなどを確認します。年次有給休暇として適法に取得した日について、欠勤として給与を差し引かないようにしましょう。有給休暇中に支払う賃金は、法律上の定めと会社が採用する計算方法を確認します。

また、会社の都合で仕事を休ませた日や、業務上の病気・けがで休んだ日は、本人都合の欠勤と同じ扱いにできるとは限りません。休業手当や労災保険の給付など、別の制度を確認する必要があります。休んだ理由だけで直ちに給与処理を決めず、実際の事情と適用される制度を整理しましょう。

月給の定めと欠勤控除の規定を確認します

月給制という呼び方だけでは、欠勤した場合に給与がどうなるかは分かりません。欠勤分を差し引く定めのある月給制もあれば、欠勤によって減額しない定めもあります。労働条件通知書や雇用契約書、就業規則、賃金規程を確認し、その社員に適用される条件を把握しましょう。

働かなかった時間に対応する賃金を支払わないことを、一般に「ノーワーク・ノーペイ」といいます。ただし、実際に控除するかどうかは、法令のほか、契約や規則の内容を踏まえて判断します。休んだ理由や会社の制度によって賃金の支払いが必要な場合もあります。

東京労働局は、欠勤などによる不就労時間分の控除は契約や就業規則に基づいて行うことができる一方、その計算方法自体は労働基準法に定めがないと説明しています。規定が曖昧な場合に、給与計算の担当者がその月だけ独自の方法を決めると、契約や従来の取扱いと食い違うおそれがあります。

控除額は対象賃金と日数・時間を整理して計算します

計算方法として、月の平均所定労働日数や月の暦日数などを基礎にする考え方があります。どの方法を採用しているかは会社の定めを確認します。計算の基礎に含める手当、半日欠勤や時間単位の不就労の扱い、端数処理も確認が必要です。基本給だけを使うと決めつけず、手当の性質と規定を照らし合わせましょう。

例えば、仮に賃金規程で「基本給を月平均所定労働日数で割った額に欠勤日数を掛ける」と定め、対象社員の基本給が月24万円、月平均所定労働日数が20日、対象となる欠勤が2日であったとします。この例の控除額は、24万円÷20日×2日で2万4,000円です。実際の支給額は、ほかの賃金項目や法定控除なども含めて別途計算します。

規定の対象賃金や手当の取扱いに疑問がある場合は、過去の運用も含めて確認してから計算しましょう。月ごとの所定労働日数や暦日数を使う定めであれば、同じ欠勤日数でも結果は異なります。年間カレンダーを作成して、毎年月ごとの所定労働日数を決定したり、他にも方法があるため、就業規則や賃金規程を確認しましょう。

欠勤控除と制裁としての減給は区別します

働かなかった分を定めに従って計算することと、無断欠勤などへの罰として賃金を減らすことは別の問題です。例えば、1日の欠勤に対して、働かなかった分に加えて一律の罰金を差し引くことを、その場の判断で行うべきではありません。

制裁としての減給を設ける場合には就業規則上の定めが必要で、労働基準法には減給額の上限があります。さらに、規定があればどのような処分でも認められるわけではなく、事実関係や処分の相当性を慎重に検討する必要があります。勤怠上の問題への指導と給与計算を混同しないことが大切です。

仕事に穴が空いたことを理由に、会社が被った損害を給与から一方的に差し引くことも原則としてできません。賃金は原則として全額を支払う必要があるため、損害の有無や対応に迷うときは、給与支払前に専門家へ確認しましょう。

計算後は内訳を確認し、分かる形で説明します

控除額を確定する前に、欠勤日数、対象賃金、使用した日数・時間の分母、端数処理を再確認します。給与明細には内容が分かるように記載し、社員から質問があったときに根拠となる規定と計算過程を説明できるようにしておきましょう。

計算後に休暇の申請や打刻漏れが判明した場合は、事実を確認し、誤りがあれば速やかに訂正します。支払うべき賃金が不足していた場合は、差額の支払いを含めて対応を検討してください。翌月から計算方法を変えたい場合も、一方的に決めず、既存の労働条件や変更の手続きを確認することが必要です。

規定が明確で、欠勤の事実と計算条件を確認できる場合は、会社で計算を進めることもできます。一方、規定に計算式がない、手当の取扱いが不明、これまでの処理が社員ごとに違うといった場合は、過去の給与明細や勤怠記録、契約書、賃金規程をそろえて相談すると、問題点を整理しやすくなります。

当事務所では、人事・労務全般の相談のほか、給与・賞与計算や就業規則の作成・変更を取り扱い、労務相談のみの契約にも対応しています。欠勤が生じた月の対応とあわせて、今後も説明しやすい給与計算のルールを整える機会にしてはいかがでしょうか。

本記事は、公開日時点の法令・制度および関連情報に基づいて作成しています。
法令改正等により内容が変更される場合があります。
個別にご相談につきましては、城田社会保険労務士事務所までお問い合わせください。

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