士業コラム
特殊車両通行許可は複数台まとめて申請できる?包括申請の条件と注意点

特殊車両通行許可は複数台まとめて申請できる?包括申請の条件と注意点

運送会社で複数台のトラックやトレーラーを使用していると、「特殊車両通行許可を車両ごとに申請する必要があるのか」「まとめて申請した方が手続きは簡単なのか」と迷うことがあります。特に新しい輸送案件に合わせて複数台を投入するときは、申請の組み立て方が運行計画にも関わります。

特殊車両通行許可には、1台を対象とする普通申請のほか、複数台を対象とする包括申請があります。ただし、同じ会社が保有する車両というだけで一括にできるわけではありません。今回は包括申請の基本条件、分けて申請した方がよい場面、について解説します。

複数台の申請には「包括申請」という方法がある

普通申請と包括申請の違い

普通申請は、原則として1台の車両を対象とする申請です。これに対し包括申請は、条件を満たす2台以上の車両を1件にまとめる申請方法です。車両ごとに別々の申請を行うより、同じ輸送条件の車両を効率的に管理できるというメリットがあります。

ただし、申請をまとめられることと、どの道路でも自由に走れることは別問題です。許可の対象となる車両、経路、期間、通行条件を守る必要があります。申請方式を決める前に、運行の実態を把握することが重要です。

包括申請に必要な4つの共通条件

国土交通省の案内では、包括申請の基本条件として、車種、積載貨物、通行経路、通行期間が同じであることが示されています。例えば同型の車両でも、ある車両は建設機械を運び、別の車両は鋼材を運ぶ場合には、積載貨物の違いを確認しなければなりません。

また「車種が同じ」という判断は、社内で呼んでいる車両の名称が同じかどうかだけでは決まりません。軸種など申請上の区分を確認します。寸法だけが一般的制限値を超える場合には、一定の条件で複数軸種申請という方法もありますが、重量が超過する場合には同じ扱いができません。

まとめられない場合はどこで判断する?

車種や軸の構成が異なる場合

例えば3台のトレーラーを所有していても、車種や軸の構成が異なれば、同一の包括申請にできるとは限りません。申請の入力上、便宜的に同じ区分を選んでしまうと、審査の途中で確認や差戻しが生じるおそれがあります。

車検証や車両諸元表を並べ、車両の種類、軸数、軸距、寸法、重量などを整理してください。外観が似ていることや、同じメーカーであることだけを判断材料にしないことが大切です。

運ぶ貨物や通行経路が異なる場合

同じトレーラーであっても、輸送する貨物が違う場合や、営業所ごとに目的地が異なる場合には、まとめ方を再検討します。共通の区間があるだけでは、申請する経路が同一とは言えません。複数の現場に配送する運行計画では、出発地と目的地、経由する道路を車両ごとに記録しましょう。

通行期間についても同様です。ある車両は来月から、別の車両は半年後から使用するなど、運行開始時期や必要な期間が違うときは、申請を分ける方が実態に合う場合があります。

包括申請が必ず有利とは限らない理由

審査条件が厳しくなる可能性

包括申請では複数の車両をまとめて審査するため、個別に申請した場合より通行条件が厳しくなったり、許可されなかったりする場合があります。なぜなら、複数台をまとめて申請する場合、同じ型式であれば同一の整理番号で申請できますが、まとめることができない場合は、申請する複数台の車両のうち『最も条件の厳しい車両を代表車両として』申請しなければならないからです。したがって、申請件数が少なくなることだけを優先するのは適切ではありません。

例えば、車両Aは予定経路を通れる見込みでも、車両Bの重量や寸法が異なれば、同じ経路での審査結果が変わる可能性があります。全車両を一括にする案と、諸元の近い車両だけをまとめる案を比較することが有用です。

許可取得後の配車管理にも影響する

許可を取得した後は、どの車両がどの経路で、いつまで通行できるかを配車担当者が把握できる状態にしておく必要があります。包括申請をしたからといって、対象外の車両や別の経路まで許可されたわけではありませんので、管理を徹底しておく必要があります。

よって、許可書や車両内訳書を運行管理に反映し、運転者が対象車両と通行条件を確認できるようにしましょう。許可内容と実際の運行を照合する仕組みを作ることが、申請方式の選択と同じくらい重要です。

申請前に会社で整理したい情報

車両一覧と輸送案件を突き合わせる

最初に、申請したい車両の一覧を作成します。車両番号、車種、軸の構成、車両の寸法と重量、積載する貨物を車両ごとに記入します。次に輸送案件ごとの出発地、目的地、通行経路、希望する運行期間を整理してください。

この2つの一覧を突き合わせると、条件が共通する車両のグループが見えてきます。情報が不足している車両は無理に同じグループへ入れず、車検証、諸元表、積載計画などで確認するようにしましょう。

申請をまとめる案と分ける案を比較する

例えば、同じ貨物を同じ工場から同じ現場へ運ぶ車両が4台あり、そのうち1台だけ車種が異なるとします。この場合、4台を無条件にまとめるのではなく、同じ条件の3台を包括申請の候補とし、残る1台は別申請を検討する、という方法が考えられます。

比較するときは、申請の件数だけでなく、審査の見通し、希望する運行開始日、取得後の管理方法も考慮します。判断に迷う場合は、申請先の道路管理者や専門家に相談しましょう。

行政書士に相談する際の準備と確認事項

車両台数が多い場合や、車種・貨物・経路が入り組んでいる場合には、申請をどの単位に分けるかの検討自体が負担になります。特殊車両通行許可申請を扱う行政書士に相談する際は、車検証、車両諸元表、貨物の内容が分かる資料、予定経路、運行開始希望日、既存の許可書を用意すると状況を伝えやすくなります。

そのうえで、どの車両を包括申請の対象にできるか、複数軸種申請を検討できるか、分けて申請する場合の利点と注意点は何かを確認します。申請方式の決定には、車両の実際の仕様と輸送計画を正確に伝えることが欠かせません。

福岡県八女郡広川町の奥村行政書士事務所では、特殊車両通行許可申請を取扱業務として案内しています。複数台の申請方法に迷ったときは、車両一覧と輸送予定を整理したうえで、申請内容について相談してみてください。

本記事は、公開日時点の法令・制度および関連情報に基づいて作成しています。
法令改正等により内容が変更される場合があります。
個別にご相談につきましては、奥村行政書士事務所までお問い合わせください。

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