士業コラム
特殊車両通行許可の出発地・目的地はどう指定する?申請前の確認事項

特殊車両通行許可の出発地・目的地はどう指定する?申請前の確認事項

「新しい工事現場へ重機を運ぶが、現場に番地がない」「工場の住所は分かるものの、大型車の入口は別の道路に面している」。特殊車両通行許可の申請では、このように出発地・目的地をどう指定すればよいかわからないケースがあります。

通行経路は、単に路線名や交差点名称を示せば足りるものではなく、どの道路から出発し、どの道路を通って、どこへ到着するかが確認できるよう必要があります。今回は、住所が不明な現場や複数の搬入口がある施設を想定し、申請方法を解説します。

出発地・目的地は「住所」と「実際の出入口」を分けて考える

住所が分かっていても、入口の位置が違うことがある

特殊車両通行許可は、車両の寸法・重量などと通行する道路の条件を照らし合わせる手続きです。目的地の住所が正しくても、車両が実際に進入する道路が異なると、通行を予定していた経路と申請内容が一致しなくなるおそれがあります。

例えば、広い工場敷地に正門と貨物車専用ゲートがあり、正門側は大型車が通れないような場合です。会社の所在地だけを申請担当者に伝えると、実際の搬入口とは異なる道路を経路として選ぶ可能性があります。荷主や現場責任者に、使用する門の位置と接続道路を確かめるようにしましょう。

出発地も車庫の住所だけで決めない

出発地についても同様です。車庫、資材置場、積込場所のうち、今回の運行がどこから始まるのかを明確にします。車両が別の置場から出発するなら、以前の申請で使用した出発地をそのまま転記しないようにしてください。

工事現場の住所がはっきりしない場合の整理方法

分かる範囲の所在地と工事名を組み合わせる

造成地や道路工事の現場では、目的地を住居表示や地番だけで特定できないことがあります。国土交通省九州地方整備局の福岡国道事務所は、出発地・目的地について、場所を具体的に特定できる住所の地番に加え、可能なら『会社名』や『建物名』等を記載するよう案内しています。また、地番が明確でない工事現場では、分かる範囲の住所と『工事名』を記載する方法が示されています。

ただし、工事名だけでは入口を特定できない場合がありますので、現場事務所の所在地と搬入ゲートの位置が離れているときは、両者を区別して説明できる資料も用意します。

地図には通行する道路と入口を示す

現場付近の地図に、搬入ゲート、進入方向、接続する道路、目印となる交差点などを書き込むと、関係者の認識を合わせやすくなります。地図アプリの画面だけで道路の通行可否を判断せず、申請で使用する経路情報と照合することが重要です。

現場に複数の仮設入口がある場合は、どの入口を使う予定か、工期中に入口の位置が変わる可能性があるかも確認します。申請後に搬入口が変わった場合に既存の許可の経路で対応できるのかも含めて検討する必要があるからです。

申請前に荷主・現場・配車担当者で確認したいこと

3者で同じ経路図を確認する

申請担当者だけで経路を確定させず、荷主または現場担当者、配車担当者、申請担当者が同じ地図を見て確認することで、思い違いを減らすことができます。現場担当者は使用可能な門や搬入時間を、配車担当者は車両の組合せや実際の出発場所を把握していることが多いためです。

確認事項は、①積込場所の正確な位置、②搬入ゲートと進入方向、③車両・積載物の寸法と重量、④通行予定日、⑤既存の許可経路との相違点、などです。なお、入口の道路幅や曲がり角を実際に通過できるかという運行上の確認と、特殊車両通行許可を得られるかという制度上の確認は別の問題です。

予定変更は申請担当者にも必ず共有する

搬入先から「入口が変わった」「当日は裏門から入ってほしい」と連絡があった場合、配車担当者だけで処理しないでください。新しい入口に至る道路が許可された経路に含まれていなければ、従来の許可のまま通行できるとは限らないからです。

また、許可申請を提出しただけで通行できるわけではありません。許可内容が確定してから、実際の車両、経路、期間、通行条件を確認して運行計画に反映します。

想定例:工事現場の搬入口が途中で変更された場合

【想定例】運送会社が、重機をトレーラーで新設工事現場へ運搬する計画を立てました。申請時は南側の仮設門を目的地として経路を整理していましたが、工事の進捗により北側の門を使うよう指示されました。

この場合、同じ工事現場であることだけを理由に、申請済みの経路で問題ないと判断するのは適切ではありません。まず南北の門の位置と接続道路を地図上で比較します。さらに、北側の門までの道路が許可経路に含まれるかを確認します。もし、含まれない場合は、経路変更等の手続きが必要となる可能性があります。

また、入口の呼称が変わっただけで、実際に通る道路や入口に変更がないケースも考えられます。変更の要否は、名称ではなく、許可内容と実際の運行との差に基づいて判断することが大切です。

申請前の資料をそろえ、判断に迷う点を相談する

相談前に用意すると役立つ資料

行政書士へ相談する場合は、車検証など車両の情報、積載物の寸法・重量が分かる資料、出発地と目的地の所在地、現場周辺の地図、搬入口を示した図面、過去の許可証を用意すると、状況を整理しやすくなります。住所が確定していない場合は、工事名や現場担当者から聞いた位置情報を分かる範囲でまとめてください。

出発地・目的地の特定が難しい場合や、現場入口の変更によって経路が変わる場合は、運行日を決め切る前に確認することをおすすめします。審査に必要な追加資料や手続きの内容は個別の道路・車両によって異なります。

福岡県八女郡広川町の奥村行政書士事務所では、特殊車両通行許可申請を取り扱っています。申請に必要な出発地・目的地の整理や経路に関する疑問がある場合は、現在分かっている資料を持参してご相談ください。初回相談は無料で、完全予約制です。

本記事は、公開日時点の法令・制度および関連情報に基づいて作成しています。
法令改正等により内容が変更される場合があります。
個別にご相談につきましては、奥村行政書士事務所までお問い合わせください。

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