士業コラム
朝鮮籍のままでも帰化申請はできる|韓国の書類が取れないときの進め方

朝鮮籍のままでも帰化申請はできる|韓国の書類が取れないときの進め方

「朝鮮籍だから、先に韓国籍に変えないと帰化できない」と思い込んでいる方は少なくありません。結論から言うと、朝鮮籍のままでも帰化申請はできます。

ただ、朝鮮籍の方は、韓国籍の方が通常提出する韓国の証明書が取れないことがあり、その分、別の資料で身分関係を示す工夫が必要になります。この記事では、在留カードなどにある「朝鮮」という表記の意味、韓国籍の方との書類の違い、韓国の書類が取れないときの進め方を、当事務所が扱った事例をもとにお伝えします。

在留カードの「朝鮮」は何を表しているか

在留カードや特別永住者証明書の国籍・地域欄にある「朝鮮」という表記について、出入国在留管理庁は、朝鮮半島出身者やその子孫などで、韓国籍をはじめいずれかの国籍があることが確認されていない方の表記だと説明しています。つまり、特定の国の国籍を表すものではありません。

同庁の統計では、令和8年6月末時点で、国籍・地域欄が「朝鮮」の方は21,736人です。

引用元:出入国在留管理庁「令和8年6月末における在留外国人数について」

韓国籍に変えなくても申請できる

帰化申請の前に、韓国籍へ変更しておく必要はありません。朝鮮籍のままで申請できます。ご家族の事情やご本人の考えから、先に韓国籍に変更してから進める方もいますが、それは選択肢の一つであって、条件ではありません。

韓国籍の方と、書類で何が違うのか

韓国籍の方は、韓国の家族関係登録簿にもとづく証明書(基本証明書・家族関係証明書など)を取って提出するのが一般的です。一方、朝鮮籍の方は、この登録簿にそもそも登録がなく、証明書が取れないことがあります。

その場合は、日本に残っている記録で、出生から現在までの身分関係を示していくことになります。たとえば、次のような資料です。

  • ・日本の市区町村に出された出生届・婚姻届などの記載事項証明書
  • ・閉鎖外国人登録原票(出入国在留管理庁に開示請求をして取り寄せます)
  • ・ご家族が保管している古い書類

韓国の書類が取れないときの進め方

ある50代の朝鮮籍の方(大阪府)は、韓国の家族関係登録簿にご本人の登録がなく、基本証明書や家族関係証明書が取れない状態でした。この方の場合は、次の順番で進めました。

  • ①韓国の書類が取れないことを、まず確認する
  • ②日本で保管されているご本人とご両親の身分関係の資料を集める
  • ③出生から現在までの家族関係が分かるように整理する
  • ④韓国の書類を出せない事情も含めて、法務局に事前に説明する
  • ⑤法務局から求められた補足資料を追加して申請する

ご相談から帰化許可までは、1年4か月ほどでした。韓国の書類がそろう方と比べて時間はかかりましたが、書類が取れないこと自体が、申請をあきらめる理由にはなりませんでした。

大切なのは「取れない」で終わらせないこと

韓国の書類が取れないと分かったとき、そこで手が止まってしまう方は多いと思います。けれども、法務局が知りたいのは、申請する方がどこで生まれ、誰の子で、どのような家族関係にあるのかという事実です。

なぜ取れないのかを確かめ、代わりに何でそれを示すのかを組み立てる。この順番で考えると、進め方が見えてきます。朝鮮籍であることを理由に帰化をためらっている方は、まず手元にある資料を確認するところから始めてみてください。

  • ※ご紹介した事例は、ご本人が特定されないよう、年代・国籍の区分・お住まいの都道府県のみを記載しています。必要な書類・期間・結果は、ご事情や法務局の審査により個別に異なります。

本記事は、公開日時点の法令・制度および関連情報に基づいて作成しています。
法令改正等により内容が変更される場合があります。
個別にご相談につきましては、行政書士OFFICE LEEまでお問い合わせください。

この記事をシェアする
  • LINE
  • X
  • Facebook

その他の記事