士業コラム
建設業許可に社会保険は必要?個人事業主の適用除外と申請前の確認

建設業許可に社会保険は必要?個人事業主の適用除外と申請前の確認

「建設業許可を取りたいけれど、国民健康保険のままでよいのか」「従業員が少なくても厚生年金に入らなければならないのか」。申請準備で、保険の扱いに迷う方もいるのではないでしょうか。

建設業許可では、加入義務のある社会保険に適切に加入していることが必要です。ただし、法人と個人事業主では扱いが異なり、すべての事業者に同じ加入を求めるものではありません。北海道知事許可を検討する方に向けて、加入義務と適用除外を分ける考え方、申請前の確認事項を解説します。

建設業許可では、三つの保険を分けて確認します

許可要件として確認するのは、健康保険、厚生年金保険、雇用保険です。適用事業所に該当するすべての営業所で、必要な届出・加入をしていることが求められます。適用事業所に当たらないなどの理由で届出が免除される営業所は、その限りではありません。

大切なのは、「未加入」という言葉だけで判断しないことです。加入義務があるのに手続きをしていない状態と、制度上その保険の適用対象にならない状態は異なります。後者を説明するときに使われるのが「適用除外」という考え方です。

また、健康保険と厚生年金保険の扱いを確認しただけでは、雇用保険の判断は終わりません。「従業員が少ないから保険はすべて不要」「国民健康保険に入っているから問題ない」とまとめず、保険ごとに確認しましょう。

なお、労災保険はここで挙げた三つとは別に考えます。労災保険への加入や特別加入だけで、健康保険・厚生年金保険・雇用保険の要件まで満たすわけではありません。

個人事業主と法人では、加入の判断が変わります

個人の建設業では、常時使用する従業員数などを確認

個人で営む建設業の事業所では、常時5人以上の従業員を使用する場合、原則として健康保険・厚生年金保険の強制適用事業所になります。一方、常時5人未満の場合は原則として強制適用の対象外ですが、任意適用の手続きをしている場合もあります。

ここでいう人数は、現場に出入りする人を単純に数えたものではありません。事業主本人、従業員、外注先の一人親方など、誰がどの立場で働いているかを整理する必要があります。家族が手伝っている、短時間勤務の人がいるといった場合も、人数だけで結論を出さず、実態を年金事務所などに確認してください。

健康保険・厚生年金保険の強制適用に当たらない個人事業主が、国民健康保険と国民年金に加入している場合、建設業許可のために必ず法人と同じ保険へ切り替えるということではありません。ただし、従業員については雇用保険の加入義務を別に確認します。

法人は、社長一人でも確認が必要

法人の事業所は、事業主のみの場合を含め、原則として健康保険・厚生年金保険の適用事業所になります。「従業員を雇っていない」「小さな会社である」という理由だけでは、対象外と判断できません。代表者の報酬や勤務実態など、被保険者に関する確認も必要です。

個人事業を会社にした場合も、以前の保険のままでよいとは限りません。法人成りを予定している方は、会社設立、保険手続き、建設業許可の申請をどの順で進めるか、早い段階から検討しましょう。

また、建設国保などの国民健康保険組合に加入している場合は、健康保険の適用除外承認を受けて加入を続ける仕組みがあります。ただし、組合への加入だけで自動的に承認されるわけではなく、厚生年金保険も不要になるわけではありません。現在の加入先と年金事務所に、必要な手続きを確認してください。

従業員を雇っている場合は、雇用保険も確認します

雇用保険は、原則として、週の所定労働時間が20時間以上で、31日以上の雇用見込みがある労働者が対象です。昼間学生などの例外もあるため、雇用契約や働き方に沿って判断します。

例えば、個人事業で従業員が2人の場合、健康保険・厚生年金保険の強制適用事業所でなくても、その2人が雇用保険の対象になることはあります。「5人未満だから、雇用保険にも入らなくてよい」という理解は適切ではありません。

反対に、従業員を雇っていない個人事業主本人や、法人の代表取締役は、原則として雇用保険の被保険者になりません。役員と従業員では立場が異なります。兼務役員や同居親族など、判断に条件がある場合は、ハローワークへ実態を伝えて確認しましょう。

北海道の建設業では、季節に応じた雇用をしていることも考えられます。季節雇用には別の取扱いがあるため、雇用期間だけを一般的な基準に当てはめて判断せず、契約期間、週の労働時間、翌期の雇用予定なども整理することが大切です。

当事務所での取扱いとして、実務上多いのが3月・4月頃に雇入れして、降雪により工事が不能になる11月末や12月の上旬などに契約期間が満了するというような雇用体系にしている事業主様が多く存在します。

こちらは短期雇用特例被保険者という雇用保険の制度で、このような雇用体系を検討されている方はハローワークにご相談下さい。また、当事務所でも労働保険事務組合を併設しておりますのでご不明な点はご相談に応じます。

申請準備は、働く人の一覧と保険関係の控えから

最初に、個人・法人の別、営業所、働いている人の立場、雇用開始日、所定労働時間、現在の加入保険を整理します。外注先についても、従業員との区別が実態に合っているかを確認しましょう。契約書の名称だけで雇用か請負かが決まるものではありません。

次に、事業所の加入手続きや保険料の納付に関する通知・控えなど、現在手元にある資料を確認します。北海道の申請様式には「健康保険等の加入状況」があります。何を記載し、どの資料で裏付けるかは、最新の手引きと申請先の取扱いを照合してください。

資料に書かれた事業所名や所在地が古い、個人から法人へ変わった後の手続きが分からない、労働保険事務組合へ委託しているため控えが手元にない、といった事情も、早めに整理したい点です。加入済みという認識だけで進めず、現在の申請者について説明できる状態にします。

加入義務があるのに未手続きと分かった場合は、保険の窓口で必要な対応を確認し、許可申請の予定を見直します。許可を取ってから加入すればよいと考えたり、適用除外として申請書を埋めたりしてはいけません。

例えば、個人で内装工事を営み、常勤の従業員2人を雇っている方が初めて許可を検討するとします。これは説明のための架空の例です。事業主が国民健康保険・国民年金に加入していても、その情報だけで申請の可否は決まりません。従業員の雇用保険、事業所の適用関係、確認資料を分けて調べる必要があります。

当事務所では、地元の建設業者を中心に、新規・更新の建設業許可申請を取り扱っています。初めからすべての証明書を取得するのではなく、現在の事業の形態や手元の資料をお知らせください。お話を伺いながら、許可申請に向けて確認する事項を整理します。

保険とほかの許可要件を、並行して整えましょう

社会保険の確認が終わっても、それだけで許可を受けられるわけではありません。経営を管理する体制、営業所技術者等の資格・経験、財産的基礎など、ほかの要件も確認が必要です。保険の手続きだけ先に進めても、経験を証明する資料が不足していれば、申請時期は変わる可能性があります。

適用関係と確認資料が明確であれば、最新の手引きに沿って自分で申請準備を進めることもできます。一方、法人成りを予定している、雇用と外注の区別が曖昧、過去の加入手続きが分からない場合は、行政書士と関係窓口に早めに相談すると、必要な対応の順序を検討しやすくなります。

保険制度の適用や加入手続きは、年金事務所・ハローワーク、必要に応じて社会保険労務士などに確認し、建設業許可の準備と調整しましょう。当事務所の許認可申請は、時間に余裕を持って進める方針です。取引先から取得時期を示されている場合も、準備段階から予定をお伝えください。

ご相談は完全予約制で、オンライン相談にも対応しています。現場の仕事で来所の時間を取りにくい方も、相談日時と方法をご検討いただけます。まずは加入している保険と働く人の状況を整理し、支援内容と見積りを確認したうえで、ご依頼をご検討ください。

本記事は、公開日時点の法令・制度および関連情報に基づいて作成しています。
法令改正等により内容が変更される場合があります。
個別にご相談につきましては、行政書士加藤隆行事務所までお問い合わせください。

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