建設業許可の実務経験はどう証明する?書類が足りないときの準備と相談

「長年工事に携わってきたけれど、昔の契約書が残っていない」「以前の会社での経験を使って、建設業許可を取りたい」。許可の準備を始めると、経験そのものより、その経験をどう示すかで迷うことがあります。
書類が少ないからといって、すぐに申請を諦める必要はありません。ただし、現場で働いた年数を伝えるだけで認められるわけでもありません。一般建設業の許可を検討する方に向けて、実務経験の確認方法と、資料が不足するときの準備の進め方を解説します。
まずは、実務経験による証明が必要かを確認する
資格・学歴によって、必要な経験は変わります
一般建設業の許可では、営業所に、申請する業種に対応した資格や経験を持つ「営業所技術者」を置く必要があります。従来の「専任技術者」に当たるもので、工事現場に置く主任技術者とは役割が異なります。
要件には、対象業種に対応する国家資格による方法、指定された学科の卒業後に一定の実務経験を積む方法、10年以上の実務経験による方法などがあります。資格がない方すべてに、一律10年の経験が必要というわけではありません。
また、資格を持っていても、資格の種類や申請業種によって実務経験を併せて確認する場合があります。資格の正式名称、合格・取得時期、学校で修めた学科を確認し、どの要件を使えるかを先に整理しましょう。
例えば、古い工事資料を10年分探し始めた後で、学歴と経験を組み合わせた別の要件を検討できると分かれば、準備をやり直すことになります。資料収集の前に、証明する内容を決めることが大切です。
技術の経験と、経営の経験は分けて考えます
営業所技術者の実務経験を示せても、それだけで建設業許可を取得できるわけではありません。経営を適切に管理できる体制、財産的基礎、適切な社会保険への加入など、ほかの要件も確認します。
現場作業を担当していた期間と、事業主や役員などとして経営を管理した期間は、同じ意味ではありません。代表者が両方の役割を担う場合も、技術と経営それぞれについて確認が必要です。資料を探す際も、何の要件を示す書類なのかを区別すると整理しやすくなります。
「建設業で働いた年数」と「対象業種の経験」を区別する
実務経験は、申請する建設業の種類に関係する内容かどうかを確認します。建設会社に長く勤めていたという情報だけでは、どの業種の経験があるかまでは分かりません。
例えば、住宅の改修を行う会社で働いていても、担当した作業が内装仕上げなのか、塗装なのか、設備配管なのかによって検討する業種が変わります。「リフォーム工事」「修繕工事」という工事名だけで判断せず、実際の作業内容を振り返りましょう。
準備では、勤務先ごとに、在籍期間、担当した工事、具体的な作業、資料の所在をメモしておくと役立ちます。途中で担当業務が変わった場合は、その時期も分けて記載します。
工事内容を思い出すために、当時の見積りの内訳や施工記録などを探すことも考えられます。ただし、振り返りに役立つ資料と、申請先が正式な確認書類として受け付ける資料は区別する必要があります。
複数の業種を申請したい場合も、同じ在籍期間をそのまま各業種の経験として使えるとは限りません。業種ごとの要件や期間の扱いを確認し、希望する業種の数だけで準備を進めないようにしましょう。建設業許可の対象業種は全部で29種類あります。(2つの一式工事と27つの専門工事)必ずどの業種に対して許可を取得したいのかも確認しておく必要があります。どの業種に該当するか不明な場合はご相談ください。
証明書を作る前に、工事内容を裏付ける資料を探す
証明書と、その内容を確認する書類は別です
実務経験による申請では、「実務経験証明書」に経験の内容や期間などを記載します。しかし、証明書の欄を埋めれば準備が終わるわけではありません。記載した内容を確認するための資料も必要になります。
北海道の2026年4月版の手引きでは、実務経験証明書に記載した建設工事を確認する書類として、請負契約書、または注文書と請書が示されています。まずは、該当する書類がどこに残っているかを確認しましょう。
請求書や入金の記録しかない場合は、それだけで十分と決めつけず、工事内容や期間を示すほかの資料があるかを整理します。代わりに使える資料の有無や組合せは、具体的な事情を示して申請先へ確認する必要があります。
インターネット上の書類一覧は、別の都府県の取扱いを説明している場合があります。「他県ではこの資料で申請できた」という情報を、そのまま北海道の申請に当てはめないことが大切です。また、同じ北海道内でも振興局ごとに必要書類の取扱いが異なる場合がありますので、申請書類提出準備の際に疑義のある事項は、あらかじめ提出先の担当に確認を入れておくことも大切です。
前の勤務先には、確認したい内容を整理して連絡します
以前の勤務先での経験を使う場合は、その会社に証明や資料の確認を依頼することが考えられます。連絡する前に、どの期間の、何の工事について確認したいのかを整理しましょう。
「許可を取りたいので何か書類をください」と伝えるよりも、在籍期間、担当業務、探している契約書などを具体的に示すほうが、相手も確認しやすくなります。ただし、相手の協力や資料の保存状況によって、準備の進み方は変わります。
当事務所では、建設業許可の新規・更新申請を取り扱い、過去の勤務先での経験を含む実務経験の証明に関するご相談にも対応しています。連絡の前に状況をご相談いただくことで、確認したい事項を整理しやすくなります。
書類が足りないときは、不足している情報を分ける
資料不足には、いくつかの状況があります。工事を行ったことは分かるものの内容が分からない場合、工事内容は分かるものの時期が不明な場合、本人がどのように関わったかを確認できない場合などです。
大切なのは、「書類がない」という一言でまとめないことです。持っている資料で分かることと、まだ分からないことを分けると、次に誰へ何を確認するかが見えてきます。
例えば、塗装工事に長く従事してきた方が、古い注文書の一部を保管しているとします。これは、準備の進め方を説明するための架空の例です。
資料を並べると、ある時期は工事内容を確認できる一方、別の時期は「改修一式」としか書かれていないかもしれません。その場合、同じ年数の経験として一括して記載する前に、内訳などの関連資料が残っていないか、当時の勤務先で内容を確認できないかを検討します。
反対に、詳しい工事資料があっても、その工事に本人が従事したことを説明できるかは別の確認事項です。会社の工事実績を、本人の経験と混同しないようにします。
以前の会社が廃業している、担当者と連絡が取れないといった場合は、その事情と手元の資料を整理して相談しましょう。代替資料が必ず認められるとはいえませんが、不足の内容を具体的にすれば、申請先に確認する論点を絞れます。
確認が取れない期間を推測で埋めたり、実際には担当していない工事を経験に加えたりしてはいけません。申請できる時期や使える要件を見直すことも、準備の一つです。
行政書士への相談は、資料を全部集める前でもできます
資格や経験の要件が明確で、必要な確認書類もそろっている場合は、北海道の手引きを読みながら、自分で申請準備を進めることもできます。
一方、前職の経験を使う場合、複数業種を希望する場合、古い工事資料が不足する場合は、先に証明方法を相談することが役立ちます。要件と資料を照らし合わせることで、探す必要のある書類や、申請先への確認事項を整理できます。
相談時には、希望する業種、資格・学歴、勤務先ごとの職歴、現在手元にある資料をお伝えください。分からない項目は、分からないままでも構いません。取引先から取得時期を求められている場合は、その予定も共有しましょう。
ただし、資料不足の相談をすれば必ず許可が取れるというわけではありません。経験の内容や証明の状況、ほかの許可要件を確認したうえで、申請の見通しを検討する必要があります。
当事務所は、地元の建設業者を中心に許可申請を支援し、お話を丁寧に伺って課題を整理することを大切にしています。経験をどのように示すか迷っている段階でも、これまでの働き方や資料の状況をお聞かせください。
実務経験の証明は、年数と資料の整理から始めましょう
建設業許可の実務経験は、働いた年数だけで判断できません。申請する業種に関係する経験か、どの要件で申請するか、その内容を何で示せるかを順に確認することが大切です。
上富良野町や富良野地方で、「昔の書類が見つからない」「前の会社の経験を使えるか分からない」とお悩みの方は、まず手元の資料と職歴を整理してみてください。資料が不足していても、何を確認すべきかを明らかにするところから準備を進められます。
当事務所の初回相談は60分無料です。オンライン相談に加え、予約による土日祝・夜間の相談にも対応しています。ご相談後は見積りと支援内容を確認し、ご依頼をご検討いただけます。現場の仕事と並行して許可取得を目指す方も、まずは準備の進め方をご相談ください。
対応エリア
上富良野町、中富良野町、富良野市、美瑛町、旭川市、芦別市、赤平市、滝川市など
本記事は、公開日時点の法令・制度および関連情報に基づいて作成しています。
法令改正等により内容が変更される場合があります。
個別にご相談につきましては、行政書士加藤隆行事務所までお問い合わせください。
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建設業許可の決算変更届を出し忘れたら?期限超過後の対応と必要書類
建設業許可を取得した後、毎年の決算が終わっても、税務申告だけで手続きが済むわけではありません。「決算変更届を出していなかった」「数年前の分まで未提出だと分かった」という相談につながることがあります。 建設業許可を受けた事業者には、毎事業年度終了後4か月以内に、事業年度終了に伴う届出を行う義務があります。期限を過ぎた場合も、放置せず、未提出年度と資料の状況を確認することが重要です。この記事では、北海道知事許可を受けた建設会社や個人事業主を念頭に、期限超過に気付いたときの確認事項と準備の順序を説明します。 決算変更届は許可を維持するための毎年の手続き 税務署への申告とは別の届出 決算変更届は、建設業法第11条第2項に基づき、毎事業年度の終了後4か月以内に、許可行政庁へ提出する書類です。一般に「決算報告」「事業年度終了届」とも呼ばれます。法人税や所得税の申告書を税務署に提出しただけでは、この届出をしたことにはなりません。 たとえば3月31日決算の法人なら、原則として7月31日までが提出期限です。個人事業主は通常12月31日が事業年度末となるため、翌年4月30日までが目安です。休日の扱いや提出方法などは、提出先の最新の案内を確認してください。 工事実績がない年度も対象 「今年は建設工事を受注していないから届出は不要」と考えるのは適切ではありません。許可を受けている以上、工事実績がない年度についても、所定の書類を作成して提出する必要があります。工事経歴書には実績がないことを適切に示し、財務諸表などの必要書類をそろえます。 これは実績などを示すための提出書類ではありません。建設業許可を取得している業者に関しては毎年提出する義務のあるものです。経営事項審査受審の有無などにかかわらず提出が必要です。これに対して、経営状況分析は経営事項審査を受ける業者が対象になりますので混同しないように注意が必要です。 出し忘れに気付いたら、最初に確認すること どの年度が未提出なのかを確定する まず、許可通知書、過去の届出控え、決算書を並べて、事業年度ごとの提出状況を一覧にします。提出したつもりでも、書類の控えが見つからないだけという場合もあります。行政庁に提出状況の確認方法を問い合わせ、未提出年度を確定させましょう。 確認表には「事業年度の開始日・終了日」「決算変更届の提出日」「工事経歴書の有無」「財務諸表の有無」「不足資料」を記入すると、準備の優先順位が見えます。許可更新の時期が近い場合は、その予定も記録します。 未提出をそのままにしない 期限を過ぎた届出について、単に次年度分だけを提出して過年度分を省略することは避けてください。未提出が判明したら、許可行政庁に事情を説明し、過年度分をどのように提出するか確認することが適切です。 未提出があると、許可更新などの手続きに支障が生じる可能性があります。また、建設業法上の届出義務に違反した状態であるため、行政上・法令上の問題を軽視できません。ただし、期限を1日過ぎただけで直ちに許可が失効する、という単純な仕組みではありません。具体的な取扱いは個別に確認する必要があります。 過年度分の書類は何から集めるか 工事経歴書と施工金額を整理する 決算変更届には、工事経歴書や直前3年の各事業年度における工事施工金額など、建設工事の実績を示す資料が含まれます。工事台帳、請負契約書、注文書・請書、請求書などをもとに、年度別・許可業種別の実績を整理します。 北海道では、各業種の工事経歴について請負金額上位10件以上(対象業種の工事が10件以下の場合はすべて記入)の工事経歴を記載しなくてはなりません。それ以下の工事に関してはその他の照光寺としてまとめても差し支えありません。従いまして、工事経歴を整理する資料の紛失などがあると正しい記載に支障が出る恐れがあります。 売上高のすべてが建設工事の完成工事高になるとは限りません。資材販売などの兼業売上がある場合は区分が必要です。また、工事経歴書の記載対象や並べ方は、経営事項審査を受けるかどうかなどによっても確認事項が変わります。記載基準は提出先の手引きに従ってください。 建設業法に沿った財務諸表を作成する 税務申告用の決算書をそのまま添付すれば足りるとは限りません。建設業の届出では、所定の様式による貸借対照表、損益計算書などが必要です。法人・個人で様式が異なり、法人では株主資本等変動計算書や注記表なども確認します。 また、税務申告用の決算書と勘定科目が一部異なるものがありますので、税務上の勘定科目が建設業決算上のどの科目にあたるのかを確認しながら進める必要があります。 さらに株式会社の場合は、事業報告書も作成する必要があります。これは、利益があがっていればその分析、損失が出ている場合はその原因を文章で記載するものです。 複数年度分が未提出の場合は、年度ごとの決算書を確保し、当時の数値に基づいて作成します。現在の数字で過去の年度を埋めたり、根拠のない工事実績を記入したりしてはいけません。決算書と工事台帳の数字が一致しないときは、差異の理由を調べてから記載します。 変更事項の届出漏れも別に確認する 役員、商号、営業所、経営業務の管理体制や営業所技術者等について変更があった場合、決算変更届とは別に変更届が必要となることがあります。決算変更届をまとめて提出すれば、ほかの変更手続きも自動的に済むわけではありません。 未提出期間が長い場合は、登記事項証明書、過去の組織図、人員記録などを確認し、別の届出漏れがないか点検しておくとよいでしょう。 許可更新や経営事項審査が近い場合の注意点 更新期限から逆算して準備する 建設業許可の有効期間は原則5年間で、引き続き営業するには更新申請が必要です。更新申請には所定の期限があり、決算変更届の未提出が残っていると、書類の確認や準備が間に合わないおそれがあります。 更新時期が迫っている場合は、過年度分の作成を進めるのと同時に、許可行政庁へ提出順序や受付上の取扱いを確認してください。未提出の届出を急いで整える必要があるからといって、更新申請の期限を見落とさないようにします。 公共工事を希望する会社はさらに早めに 公共工事の入札参加を考えている会社では、経営事項審査に向けた決算変更届、経営状況分析などの準備が関係します。決算変更届の内容と経審の申請資料に食い違いがあると、確認や修正に時間を要する可能性があります。 年度末にまとめて着手するより、決算確定後に工事実績を整理する習慣をつけるほうが、更新や経審の準備も円滑になります。 相談前にそろえたい資料と今後の管理方法 過年度分の未提出が分かったら、許可通知書、直近数年分の決算書、工事台帳、契約書・注文書、過去の届出控え、役員や技術者の変更履歴を可能な範囲で集めてください。資料がすべてそろっていなくても、どの年度の何が不足しているか整理することから始められます。 今後の出し忘れを防ぐには、決算日から4か月後の届出期限を社内の年間予定に登録し、税理士から決算書を受け取った段階で工事経歴書の作成を始める方法が有効です。経営事項審査を受ける会社では、分析申請や審査日程も含めて管理するとよいでしょう。 行政書士加藤隆行事務所では、建設業許可の新規・更新申請のほか、決算変更届、経営状況分析、経営事項審査を取り扱っています。北海道の建設事業者で、未提出年度の整理や許可更新との関係に迷う場合は、手元にある資料と今後の予定を確認したうえでご相談ください。 建設業決算から経営状況分析、経営事項審査まで一手に依頼くださる業者様は基本的には税務の決算書と工事経歴を提出いただければ、決算報告と経営状況分析までは、スピーディーに行うことができます。また、提出忘れの恐れもなく安心して本業に専念できる環境を作るためのサポートをさせていただきます。
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公共工事を受注したい建設会社は経審が必要?申請の流れと準備書類
民間工事を中心に請け負ってきた建設会社が、自治体などの公共工事にも参加したいと考えたとき、「建設業許可があれば入札できるのか」「経営事項審査(経審)はいつ受ければよいのか」と迷うことがあります。 建設業許可、経営事項審査、入札参加資格審査は別々の手続きです。順番を誤ると、希望する入札の申請時期に間に合わないこともあります。 ここでは、公共工事への参加を検討する会社が確認したい条件と、決算後の実務的な準備を説明します。 公共工事に参加するには何が必要か 建設業許可だけでは入札参加の条件を満たさない場合がある 国や地方公共団体などが発注する公共工事を、発注者から直接請け負おうとする建設業者は、原則として経営事項審査を受ける必要があります。 ただし、経審を受けただけで個々の入札に参加できるわけではありません。発注機関ごとに入札参加資格審査があり、資格登録や工事種別、地域要件などを満たす必要があります。 まず「どの発注者の、どの工事に参加したいか」を具体化することが出発点です。 経審は会社の状況を客観的に評価する仕組み 経審では、経営規模、経営状況、技術力、社会性などを一定の基準で評価します。 結果として通知される総合評定値(P点)は、発注機関が格付けなどに利用する資料の一つです。いわゆる建設業許可を取得している業者の通信簿のようなものです。 しかし、点数が高ければ必ず受注できるわけではなく、発注者ごとの評価や入札条件、価格なども関係します。 経審の目的を「許可の取得」と混同しないことが重要です。 申請前に確認したい3つの前提 どの許可業種で公共工事を請け負うか 参加したい工事の内容と、自社が取得している建設業許可の業種が対応しているかを確認します。 例えば、実際に請け負う工事が許可業種と一致しなければ、経審の準備だけ進めても目的を達成できない場合があります。 工事の名称だけで判断せず、具体的な施工内容を確認してください。 決算変更届の提出状況 経審の準備は決算書だけでは完結しません。 許可行政庁への決算変更届(事業年度終了届)の提出状況を確認し、工事経歴書などの記載内容と整合させる必要があります。 税務申告書と建設業法上の財務諸表は、そのまま同じ形式で使えるものはほとんどありません。 過年度の届出に漏れがある場合は、先に対応方法を確認します。 審査基準日と申請時期 経審は原則として直前の事業年度終了の日を審査基準日とします。 公共工事の請負契約を締結する際には、所定の有効期間内の経審結果が必要です。 経審結果の有効期間は審査基準日から1年7か月であり、通知書を受け取った日から起算するわけではありません。 毎年継続して公共工事を請け負う会社は、決算後の手続きに空白期間が生じないよう逆算する必要があります。 経審から入札参加までの基本的な流れ 1.対象の発注機関と受付時期を調べる まず北海道、各市町村、国の機関など、参加を希望する発注者の入札参加資格申請の案内を確認します。 受付期間が定期受付なのか随時受付なのか、電子申請の有無、求められる経審結果の基準日などは発注者によって異なります。 「経審が終わったら申し込む」と考えるのではなく、資格申請の締切から必要な作業を逆算します。 多くの都道府県や市町村では公共工事の入札資格審査は2年に1度審査を行い、2年間有効という仕組みになっており、公共工事に入札したいとお考えの業者様は当該市町村等のホームページをご確認いただくか、専門家にご相談下さい。 2.経営状況分析を申し込む 建設業法上の財務諸表などを整え、登録経営状況分析機関に経営状況分析を申請します。 分析結果通知書は、その後の経審申請に使用します。 決算書の数字と工事の完成工事高の区分が適切か、税務申告との違いが説明できるかも確認しましょう。 特に、経審では建設業決算報告の完成工事高と消費税の確定申告書を見比べて決算報告の完成工事高の方が高額になっている場合は、消費税の課税標準が誤っている可能性があり、行政庁から注意される対象となりますので事前の確認をしっかり行いましょう。 よくある誤りとしては、建設業決算の損益計算書の完成工事高に税込の価格を入力してしまっている場合などがあげられます。特に経審を初めて受ける業者が自社で手続を行う場合などは注意が必要です。 3.経営規模等評価・総合評定値を申請する 許可行政庁に経営規模等評価の申請を行い、通常は総合評定値の請求もあわせて行います。 技術職員の資格・常勤性、工事種類別完成工事高、社会保険加入状況など、審査項目に応じた資料を準備します。 ちなみに今年7月から法改正により、健康保険、厚生年金、雇用保険の加入状況の確認書類は不要になりました。これは、建設業許可を出す際の前提条件としてこれらの社会保険・労働保険に加入していることを既に確認しているためです。 申請先や提示資料の取扱いは許可区分や行政庁の案内に従ってください。 4.入札参加資格審査を申請する 経審の結果通知書を受領したら、希望する発注機関の資格申請に進みます。 申請には経審結果のほか、納税証明書、許可関係書類、委任状などが求められる場合があります。 必要書類と提出方法は発注機関ごとに確認し、資格登録後も個別案件の入札公告を読むことが欠かせません。 なお、国の機関や北海道、市町村の機関に関しては、電子申請が原則となっており、それぞれのサイトから申請する必要があります。 また、入札資格審査は、公共機関のみに限らず、土地改良区や農業協同組合(JA)なども対象となっております。 私の地域ではこのような機関に関しては、紙での提出を求められていますので、参考にしていただければと思います。 書類準備でつまずきやすい点 完成工事高と工事経歴書の整合 工事別の売上計上、許可業種ごとの完成工事高、決算変更届の工事経歴書が食い違うと、確認に時間を要します。 工事台帳、請負契約書、注文書・請書、請求書などを照合し、工事内容と金額を説明できる状態にしておきましょう。 会計上の売上と建設業法上の完成工事高の扱いが異なる場合は、その理由を整理します。 北海道では、経審受審する各業種の工事経歴書に記載している工事のうち請負金額の上位3件の契約書や注文書の写しの提出が求められます。これは、元請、下請やJV(共同企業体)などを問わず請負金額のみで判断します。 技術職員の資格と在籍状況 技術職員名簿に記載する資格の種類や対象業種、常勤性などは点数に関係します。 資格証の写しだけでなく、雇用・在籍関係を示す資料なども求められます。 決算期末前後に入退社があった場合は、審査基準日時点の取扱いを確認してください。その年に退職している方でも審査基準日現在で在籍していた場合は、技術者に加えることも可能です。 直前になって点数を上げようとしない 経審の評価は、審査基準日時点の状況や対象期間の実績を基礎にします。 決算後に講習を受けたり資格を取得したりしても、今回の審査に反映できないことがあります。 また、注意が必要なところとして監理技術者証と監理技術者講習の有効期限はそれぞれ別なものとなっています。監理技術者証を更新したからといって、講習の有効期限が切れている場合は、その年の点数がその分は上がらないことになります。 改善策は次回以降の審査を見据えて計画し、実態と異なる記載や根拠のない数値調整は避けるべきです。 相談前に用意したい資料と進め方 公共工事への参加を検討し始めた段階なら、まず社内で参加したい発注機関・工事種別・時期を整理し、直近の許可通知書、決算変更届の控え、決算書、工事台帳、技術者の資格資料を集めると見通しを立てやすくなります。 すでに経審を受けている会社は、前回の結果通知書も確認してください。 一方、決算変更届が未提出である、工事の業種区分が分からない、受付期限が近い、初めて経営状況分析を受けるといった場合には、行政書士への相談が役立ちます。 必要な作業と提出先を整理し、申請書類の整合性を確認することが重要です。 行政書士加藤隆行事務所では、建設業許可の新規・更新に加え、決算報告、経営状況分析、経営事項審査、入札資格審査申請を取扱っています。 北海道・上富良野町や富良野地方などで公共工事への参加を検討されている方は、希望する発注機関と決算時期、現在の許可・届出状況を整理したうえでご相談ください。 当事務所は北海道行政書士会から任命された、「建設業相談員」として実際に振興局へ出向して各業者様の経審の審査業務を担当しており、審査する立場として依頼業者様への適切な助言や書類作成が可能となっております。また、建設業決算、経営状況分析から経営事項審査、そして入札資格審査まで一手に引き受けることができますので、お気軽にご相談下さい。
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建設業許可の営業所技術者は現場に出られる?兼務の条件と注意点
建設業許可を取得している小規模な建設会社では、資格を持つ社員が限られており、「営業所の技術者に工事現場も任せたい」と考えることがあります。しかし、営業所技術者等は営業所での職務を担うことが原則です。現場の主任技術者や監理技術者との兼務が認められる場合はあるものの、どの工事でも自由に兼務できるわけではありません。ここでは、兼務の基本的な考え方、例外の確認事項、受注前に準備しておきたい資料を整理します。 営業所技術者等と現場技術者は役割が違います 営業所技術者等は営業所ごとに必要です 建設業許可では、許可を受ける業種について一定の資格または実務経験を持つ営業所技術者等を、営業所ごとに専任で置くことが求められます。一般建設業では「営業所技術者」、特定建設業では「特定営業所技術者」と呼びます。以前の資料では「専任技術者」という名称が使われていることもあります。営業所技術者等は、工事の見積りや契約締結に関する技術的な検討など、営業所の業務を支える役割です。 主任技術者・監理技術者は工事現場の施工を管理します 一方、主任技術者や監理技術者は、工事現場で施工の技術上の管理を担います。建設業者は原則として、請け負った建設工事の現場に主任技術者を配置し、一定の下請契約を締結する元請工事では監理技術者を配置します。現場によっては専任配置が必要です。営業所に配置する人員と、現場に配置する人員の要件を別々に確認することが出発点です。 営業所技術者等は原則として現場と兼務できません 専任を要しない現場にも条件があります 営業所技術者等は営業所に常勤し、専らその職務に従事することが基本です。ただし、専任を要しない現場については、当該営業所で請負契約を締結した工事であること、現場と営業所が近接し常時連絡できること、直接的かつ恒常的な雇用関係があることなど、所定の条件を満たせば兼務が認められる場合があります。単に「現場が近い」「電話がつながる」という事情だけで決めず、条件を一つずつ確認してください。 専任が必要な現場には別の特例があります 2024年12月13日からは、一定の条件を満たす場合、営業所技術者等が専任を要する工事現場の技術者を兼務する特例も設けられています。ただし、兼務できる現場数や工事の規模、営業所と現場との関係、情報通信技術の活用、連絡・施工管理体制など、詳細な要件の確認が必要です。専任を要しない現場の例外と同じ条件だと思い込まないことが重要です。 受注前に確認したい4つのポイント 1.対象工事に専任配置が必要か まず、工事の請負金額や工事の種類、元請・下請の立場、下請契約の内容を整理し、主任技術者または監理技術者の配置要件と専任義務を確認します。法令上の金額基準は改正されるため、過去の基準を使い続けないようにしてください。発注者との契約条件で追加の配置条件が定められていることもあります。 2.営業所と現場の距離・連絡体制は適切か 営業所の技術者が現場に出ている間も、営業所の職務を実質的に果たせることが必要です。営業所からの移動時間、連絡方法、営業所側の対応者、現場での施工管理方法を具体的に確認します。道内では移動距離や冬季の交通事情も業務運営に影響しますが、地理的な近さだけで法令上の要件を満たすとは判断できません。 3.兼務する本人の資格と雇用関係は適切か 兼務予定者が営業所技術者等として担当する許可業種と、現場で必要となる技術者資格・経験をそれぞれ満たすか確認します。直接的かつ恒常的な雇用関係など、該当する制度で求められる条件も確認してください。資格者証や実務経験を証明する資料、雇用関係を確認できる書類を整理すると判断しやすくなります。 4.他の現場との兼務や配置状況に問題はないか すでに別の工事現場を担当している場合、新たな兼務が認められるとは限りません。営業所の業務に加え、現場ごとの工期や施工管理の負担も確認します。現場技術者の兼務特例には別の制度もあるため、複数の特例を組み合わせてよいかを含め、適用関係を個別に確認する必要があります。 少人数の建設会社で想定される判断例 例えば、営業所技術者を務める社長が、同じ会社で新たに受注する工事の主任技術者も担当したいと考えたとします。これは説明のための架空の例です。まず、その工事が専任を要するかを確認します。専任を要しない工事であれば、当該営業所での契約締結、現場との近接性、連絡体制、雇用関係など、適用される要件を点検します。専任を要する工事なら、2024年12月からの特例の対象になるかを別途検討します。 いずれの場合も、社長が営業所技術者であるという事実だけで兼務が認められるわけではありません。また、代表者である場合には、通常の従業員とは異なる雇用関係の確認が必要になることがあります。自社の人員配置や契約内容に応じて、許可行政庁へ確認することが大切です。 兼務を検討するときの進め方と相談資料 受注を確定する前に配置計画を整理します 最初に工事の概要を一覧にし、工事名、請負金額、工期、施工場所、元請・下請の区分、配置予定者を書き出します。次に営業所技術者等の担当業種、資格、日常の勤務状況を確認します。そのうえで、専任義務の有無と適用できる兼務特例を調べ、必要な施工管理体制や書面の準備を進めます。兼務できない場合は、別の有資格者の配置や受注時期の調整も検討します。 余談ですが、一般的に兼務をすることが多い業種と多くはない業種がありますので、兼務が考えられる場合は事前に整理をしておくことも必要です。例えば、建築一式工事を請負う業者に営業所技術者として配置されている一級建築士の方が、大工を兼務するというのはほとんどありません。ですが、第一種電気工事士を取得されている方が現場に出て電気工事を担当するというのは、現実的に考えられるものです。そのような業者個々の事情を踏まえて計画的に上記の検討および人員の確保が必要です。 専門家に相談するときに用意したい資料 相談の際は、建設業許可通知書または許可内容が分かる資料、工事の見積書・契約案、工期と施工場所が分かる資料、技術者の資格証明書、雇用・常勤状況が分かる資料、現在の現場配置一覧などを準備すると確認が進みます。すべてを最初から揃える必要はありませんが、どの条件が未確認なのかを明らかにしておくと有効です。 行政書士加藤隆行事務所では、上富良野町を拠点に建設業許可の新規・更新申請、決算報告、経営事項審査などを取り扱っています。営業所技術者等の兼務を前提に受注を検討している場合は、工事の条件と現在の人員配置を整理したうえで、許可行政庁への確認事項を含めて相談することをお勧めします。
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