士業コラム
相続した不要な土地を手放せる?「相続土地国庫帰属制度」の要件と手続きを解説

相続した不要な土地を手放せる?「相続土地国庫帰属制度」の要件と手続きを解説

相続で土地を引き継いだものの、「遠方で利用予定がない」「固定資産税や草刈りなどの管理負担が重い」とお悩みではありませんか。このような不要な相続土地を国に引き取ってもらえる「相続土地国庫帰属制度」が、令和5年4月からスタートしています。

本記事では、相続土地国庫帰属制度の基本的な仕組みをはじめ、申請できる人の条件や引き取りが認められない土地の要件(却下・不承認事由)を分かりやすく解説します。さらに、法務局への申請手順、審査手数料や負担金といった必要な費用についても網羅しています。

土地の管理責任から解放され、後世代へ負の遺産を残さないための実践的な知識として、ぜひ最後までお役立てください。

相続土地国庫帰属制度とは?制度創設の背景とメリット

不要な相続土地を国に引き渡せる新たな仕組み

令和5年(2023年)4月22日に施行された「相続土地国庫帰属制度」は、相続や遺贈によって取得した不要な土地の所有権を、一定の要件を満たした場合に国庫(国)へ引き渡すことができる制度です。

背景には、所有者不明土地の増加や、地方の山林・農地・空き地などを相続したものの管理できずに放置される社会問題があります。これまで「不要な土地だけを放棄する」ことは原則認められていませんでしたが、本制度の創設により、適切な費用を負担することで土地を手放す選択肢が生まれました。

放置することのリスクと国庫帰属のメリット

相続した土地を未利用のまま放置すると、毎年発生する固定資産税の負担だけでなく、雑草の繁茂や倒木・崖崩れなどによる近隣トラブル、害虫の発生、不法投棄といった様々なリスクが伴います。万が一、通行人や近隣住民に損害を与えた場合は、所有者として損害賠償責任を問われる可能性もあります。

本制度を活用して国庫帰属が認められれば、将来にわたる固定資産税や管理費用の負担から恒久的に解放されます。また、子供や孫などの次世代に「管理できない負の遺産」を引き継がせずに済む点も大きなメリットです。

どのような土地でも引き取ってもらえる?申請要件と不承認条件

制度を利用できる人(申請資格)

本制度を申請できるのは、「相続または遺贈(相続人に対する遺贈)」によって土地を取得した人です。売買や贈与など、自分の意思で購入・取得した土地については対象外となります。

なお、単独で取得した土地だけでなく、複数人で共有している土地であっても、共有者全員で共同申請を行うことで制度を利用することが可能です(共有者の1人が相続で取得していれば、他の共有者が売買等で取得していても申請可能)。

引き取りが認められない土地(却下・不承認事由)

国が土地を引き取った後は国民の税金で管理されるため、過大な管理費用や危険が伴う土地は引き取ってもらえません。法律上、「申請が却下される土地」と「審査で不承認となる土地」が明確に定められています。

引き取れない主な土地の例

  • ・建物が建っている土地(解体撤去が必要)
  • ・担保権(抵当権等)や借地権・借家権などが設定されている土地
  • ・通路など他人の利用が予定されている土地、墓地や不法投棄がある土地
  • ・境界が明確でない土地(隣地との境界トラブルがある場合)
  • ・土壌汚染がある土地
  • ・崖(勾配30度以上かつ高さ2m以上)があり、管理に過分な費用がかかる土地
  • ・雑木や放置車両など、除去・管理に過大な費用がかかる構造物・立木がある土地

申請を検討する際は、事前の現地確認や境界確定、建物の解体撤去などが前提となるケースが多い点に注意が必要です。

申請手続きの流れと必要な費用

相続土地国庫帰属制度の手続きは、事前の相談から国庫帰属完了まで複数のステップを踏んで進められます。

相続土地国庫帰属制度の標準的な手続きステップと費用

具体的な
作業内容・対応窓口
費用および留意事項
事前相談 法務局(本局・支局)にて対象土地の要件確認 事前予約制(チェックシートや登記事項証明書を持参)
申請書類の作成・提出 承認申請書、添付書類(図面・写真等)を法務局へ提出 審査手数料:
1筆あたり1.4万円
法務局による現地調査 実地調査、要件審査(隣地所有者等への意見照会) 申請から承認まで約半年~1年程度の期間を要する
承認通知・負担金確定 法務局から承認通知と負担金納付案内を受領 承認された場合のみ負担金の納付が必要
負担金の納付・国庫帰属 納付書受領から30日以内に負担金(10年分の土地管理費相当額)を納付 基本は20万円、土地の種類・場所・面積によって増額

必要となる費用の内訳

制度利用に必要な費用は、大きく分けると「申請時の審査手数料」と「承認後の管理負担金」の2つです。

  • ①審査手数料:土地1筆(土地の登記単位)につき1.4万円です。申請時に収入印紙で支払います(審査の結果、不承認となった場合でも返金されません)。
  • ②負担金:国が10年間にわたり簡易な管理を行うための費用です。原則として1筆あたり20万円ですが、市街化区域内の宅地や農地、森林など土地の種別・面積によっては面積に応じた加算算定が行われます。

このほか、土地に建物が残っている場合の解体費用や、境界を明確にするための測量費用、添付書類(登記事項証明書や公図、現地写真など)の発行・準備費用が別途実費としてかかります。

制度をスムーズに活用するためのポイントと専門家のアドバイス

早い段階での現地確認と書類準備

「実家の田畑や山林を国に引き取ってもらいたい」と考えた場合、まずは現地や登記事項証明書を確認し、「建物が残っていないか」「境界がはっきりしているか」「他人の私道になっていないか」といった欠格要件に該当しないかを精査することが重要です。

特に境界が不明確な場合、隣地所有者との協議や測量が必要となるため、法務局への申請前に一定の準備期間がかかります。

行政書士など専門家に相談・依頼するメリット

法務局への事前相談や申請書類の作成、図面や現地写真等の添付書類の収集は、一般の方にとって時間と労力がかかる作業です。専門家に相談・依頼することで、次のようなメリットがあります。

  • ・制度の対象となる土地かどうかの事前診断・要件チェック
  • ・法務局への事前相談の同行・協議のサポート
  • ・申請書および添付資料(配置図・現地写真・位置図等)の正確な作成
  • ・土地家屋調査士(測量・境界確定)など関連士業との連携対応

「相続した土地の管理に困っている」「国庫帰属の対象になるか知りたい」という方は、早期に専門家へ相談することをお勧めします。

おわりに

相続した土地の維持管理は、年数が経つほど固定資産税や雑草対応などの負担が重くのしかかります。令和5年に始まった「相続土地国庫帰属制度」は、適切な手続きを踏むことで不要な土地を手放し、将来の不安を解消できる有効な選択肢です。

当事務所では、四街道市や佐倉市での相談員経験を活かし、相続手続き全般から遺産分割協議書の作成、さらには相続土地国庫帰属制度の事前調査・申請サポートまで親身に対応しております。出張相談や初回無料相談も承っておりますので、一人で悩まずどうぞお気軽にご相談ください。

本記事は、公開日時点の法令・制度および関連情報に基づいて作成しています。
法令改正等により内容が変更される場合があります。
個別にご相談につきましては、行政書士わかな事務所までお問い合わせください。

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